健保シミュレーション

健保組合が抱えるリスクを把握し、長期的な財政シミュレーションにより、リスクを可視化します。

健保組合コンサルティング サービス概要

健保組合が抱えるリスクを把握していますか?
長期的な財政シミュレーションにより、リスクを可視化します

健保組合の財政悪化の現状

多くの健保組合は今、危機的な財政状況にあります。2010年度決算では、健保組合全体で4千2百億円の経常赤字を計上しており(図1)、赤字組合は全組合の約8割となっています。また、2012年度予算では、さらに財政状況が悪化し、健保組合全体で5千8百億円の経常赤字、赤字組合は全組合の約9割となることが見込まれています。そのため、赤字を埋め合わせるために保険料率の引き上げが必要になりますが、近年では、増加する保険料負担に耐えられず、健保組合の解散を選択する母体企業も増えており、健保組合数は減少の一途をたどっています。

このような状況の主な理由のひとつに、高齢者医療制度が挙げられます。加入者に対する給付である保険給付費とは別に、「後期高齢者支援金」、「前期高齢者納付金」、「退職者医療拠出金」の拠出金・納付金等の拠出が求められ、2012年度予算では、保険料収入に対する割合が過去最高の46.2%となりました(図2)。拠出金・納付金等の拠出は高齢者医療の現役世代の負担と言えます。

その他、各健保組合が抱える個別の問題による財政悪化もあります。例えば、

  • 従業員の高齢化が進んでいる
  • 報酬が低い従業員が増えた
  • 扶養率の上昇
  • 平均給付額の増加

などの理由が一般的なものとして考えられます。

図1  経常収支状況と保険料率引き上げ組合数の推移

図2 平成24年度予算早期集計 経常収支の内訳

出所: 健康保険組合連合会 「平成24年度健保組合予算早期集計結果の概要」

健保組合のリスク

企業経営において、健保組合を運営する最大のリスクとは、突然保険料を上げなければならない事態になることと考えます。特に、単年度赤字ながら、別途積立金を取り崩すことで保険料率の引き上げを回避している場合は、急に大きな保険料が必要になることも想定されます。保険料を上げなければならないことに直面してからではなく、あらかじめ把握し、上手くコントロールしながら健保組合を運営していくことが、現在の状況下では非常に重要だと考えます。

企業年金制度の財政においては、長期的に安定した運営を担保するため、アクチュアリーが確率論・統計論などを用いて将来の収支を分析することで、適正な掛金率を算出し、定期的に財政運営の健全性を検証することが法で定められています。一方、健康保険組合の財政においては、将来の収支の分析は必要なく、単年度ごとの予算のみが現在求められています。しかし、企業のリスクマネジメントの視点からは、将来シミュレーションを行い、どの程度の費用の増加がおこりうるのか、把握することが必要なのではないでしょうか。

 特に、M&A等で従業員の性質が大きく変化する場合は、単純に過去の収支項目から将来を予測することは難しいため、アクチュアリーの手法による、被保険者の推計を元にした分析が非常に有効と考えられます。また、解散等、組合形態の変更を検討している場合は、重要な意思決定となりますので、定量的・定性的の両側面から精緻な分析を行うことが必要と考えられます。

マーサーの「健保組合コンサルティング」について

アクチュアリーの手法に基づく将来シミュレーション

  • 健保組合の保有する過去のデータの解析によるシミュレーションの計算前提の提案
  • 母体企業の就労状況に合わせた、被保険者の人員・給与の将来推計
    - M&A等で、従業員の性質が大きく変化する場合も、適切に推計に反映可能
  • 日本の将来推計人口等に基づいた、後期高齢者支援金・前期高齢者納付金の算定に用いる諸数値の合理的な予測

  • 収支予測により健保組合が抱えるリスクの可視化
    - シナリオ分析による費用へのインパクトを算出

健保組合形態の変更に対する分析

統合・分割、協会けんぽへの移行、総合型健保組合への加入、健保組合の立ち上げ等、考えられる組合形態の変更について、定量的・定性的に分析(法令等からの制約条件も含め)

本社・経営層とのコミュニケーション

英語での資料報告・ご説明も可能

将来シミュレーションのポイント

 高齢化の進展

一般的に年齢が1歳が高くなるにつれて、療養給付費は、おおよそ4~5%給付額が増加する。採用計画や過去の退職実績、また、従業員特性の変化も勘案し、将来の従業員の推移を予測し、各年齢別の給付モデルと掛け合わせることで、全体の給付額がどのように変化するのかを検証。

被扶養者数の変動

扶養率は、会社・個々の被保険者の年齢・性別に応じて大きく異なる。年齢別の扶養率モデルを作成し、今後、家族療養費がどのように推移するのかを検証。

扶養率は一般的なケースでは40代前半が最も多くなるため、単純に被保険者が高齢化したからといって、一定割合で増えるといった結果にはならない。

高齢者医療の負担増(後期高齢者支援金・前期高齢者拠出金)

算定に用いる諸数値の算出方式は法令で定まっており、日本の将来推計人口・賃金上昇率・保険給付費の伸びの前提を置けば、合理的に予測可能。

その結果と、加入者の将来推計をあわせることにより、従業員特性が変わっていく場合の、支援金・拠出金の変化も、合理的に予測可能。また、算出方式の変化といった法令の改正の影響も分析可能。

関連提供サービス