マーサー「グローバル年金指数ランキング(2015年度)」を発表 - 日本の年金制度は25カ国中23位 |マーサージャパン

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マーサー「グローバル年金指数ランキング(2015年度) 」を発表 - 日本の年金制度は25ヶ国中23位

  • 2015年10月19日
  • 日本, 東京

 

  • デンマークが4年連続首位を堅持、最下位は昨年に引き続きインド
  • 日本の指数・ランキングは変化なく下位に留まる
  • 日本は少子高齢化の進展に伴う問題解決など根本的な改善が求められる
  • 過去7年間の調査レポートレビュー:世界の年金制度の持続可能性、リスクを分析

 

世界最大級の人事・組織コンサルティング会社マーサーは、2015年度グローバル年金指数ランキング「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数ランキング」を発表した。

当ランキングは、世界各国の年金制度を比較したもので、各国年金制度を横断的に比較し、かつ最も多角的、包括的に調査した指数であるといえる。
今年度の調査結果でも、世界共通で適用可能な完璧な年金制度は存在しないということが明白になったが、個々の国にとってより良い制度構築のために共有されるべき、多くの共通した特徴が明らかになった。

「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数ランキング」は今年で7年目になり、認知度が高まっている折、2009年実施当初の11ヶ国から25ヶ国に拡大、全世界の人口の60%近くをカバーしている。各国の公的ならびに私的年金制度の積み立てや、個人貯蓄などの年金以外の資産についても客観的な評価をしている。

当調査の指数はマーサー社の協力とビクトリア州政府による資金提供の下、オーストラリア金融研究センター(ACFS)によって開発されている。評価指数は40以上の質問項目から構成されており、「十分性(Adequacy)」、「持続可能性(Sustainability)」、「健全性(Integrity)」に大別される(※調査方法の詳細は別表"FACT SHEET"を参照のこと)。長寿リスク、高齢者の人口割合増加、長寿化による貯蓄額の不足など、現在多くの退職者が直面しているリスク – 経済的、社会的にも大きな問題となる可能性がある-から市民を守るため、各国政府がどのように適切かつ持続可能な給付の提供をし得るか、について提案している。

ランキング首位はデンマークで、2012年より首位の座を保ち、総合指数は81.7であった。同国とオランダのみが最高ランク“A”の評価を得ている。十分に積み立てられた年金制度や、多くの加入者数、優れた資産構成と掛金の水準、十分な給付レベルおよび法令の整った個人年金制度が首位となった主な理由である。デンマークと共にオーストラリア、オランダは3年連続トップ3の順位を維持している。

マーサーのシニア・パートナーであり、当レポートの責任者でもあるデービッド・ノックス博士は次のように述べている。 「年金制度を改革し、退職後の経済的安定を保証するための適切な改革を行うタイミングとしては、個人にとっても社会にとっても、今しかありません。

当ランキングは、各国の政策立案者が、持続可能でかつ、十分性が高い年金制度から学び得る重要な参考資料です。各国共通で適合し得る完璧な年金制度は存在しないということは承知していますが、個々の国におけるより良い制度構築のために共有されるべき、多くの共通した特徴があることも事実です。」

日本の年金制度については、例年指数・ランキング共に大きな変化がなく、制度の安定性はみられるものの、高齢化社会をめぐる課題に対する取り組みなど、引き続き改善の余地があることが明らかになった。日本の総合指数は例年とほぼ変わりなく44.1で、評価はDであった。各項目の指数については、最も低い項目である"持続性(Sustainability)"は28.5から26.5(評価E)とさらに下がり、"十分性(Adequecy)"の項目は48.8(評価D)、"健全性(Integrity)"の項目指数は61.2(評価C+)とほぼ変化はなかった。

マーサージャパンの年金コンサルティング部門シニア・アクチュアリーの塩田強は以下の通りコメントしている。「日本の年金制度の総合評価は前年度とほぼ同じ結果となりました。世界各国の中でのランキングでみると、残念ながら前年度と同様に下位の評価となっています。 日本の総合評価が低い主な理由としては、年金給付による所得代替率(現役世代の年収と年金給付額の比率)が低いことによる年金給付の十分性への懸念および、公的年金の期待支給期間(平均余命と年金支給開始年齢の差)が長いことによる年金制度持続性へ懸念等が挙げられます。

2015年は、公的年金において支給額の伸びを賃金や物価の上昇分より抑えるマクロ経済スライドが初めて発動された年になりましたが、他国と比べても少子高齢化の進展が進んでいる日本においては、持続可能な年金制度となるために必要な対応を早急に実施することが求められています。公的年金制度が見直されていく中では、老後の生活保障として、公的年金だけに頼るのではなく、公的年金を補完する役割を担う企業年金制度の役割がますます重要になっていくと想定されます。各自が改めて企業年金制度の役割についても検討することも重要となっています。」

日本の年金制度は、どのように改善しうるか?

マーサー・メルボルン・グローバル年金指数ランキングは、各国に対して改善の余地のある部分を提示している。参考にすることにより、より多くの退職給付の支給が可能となり、持続可能性が増し、年金制度への信頼も増すことが期待される。

日本の年金制度の総合指数は、下記の方策により向上が可能だと考えられる:

  • 家計貯蓄額の増加
  • 年金給付額の引き上げに伴う、所得代替率の改善
  • 退職金の一部を収入源とみなすことを課する制度を導入
  • 平均余命の延びに伴う公的年金制度の支給開始年齢のさらなる引き上げ
  • 政府債務残高GDP比の引き下げ

オーストラリア金融研究センター(ACFS)でエグゼクティブ・ディレクターを務めるエイミー・アウスターは次のように述べている。「各国の政策立案者や研究員は、自国の年金制度のメリットを査定するために、引き続き当指数を活用するものと思われます。

当指数は、各国の年金制度の相対的な強みに焦点を当てる一方で、制度改革のために適した機会やオプションを特定するためにも使用されています。過去7年間の結果を振り返ると、自国の年金制度を強化するにあたって、この「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数」レポートからの提言を採用していた国が数ヶ国ありました。

当レポートの提言が後押しとなり、政策立案者や年金制度の専門家が長期的視野を持ち、自国の年金制度の改革へ向けて取り組む様を見るのは、我々にとっても励みとなります。

人口構成や市場環境が変化していく中、政策立案者が次世代以降においても十分な給付が行われるよう、自国の年金制度改革を継続していくことは、必ずしも容易なことではないものの、それを目標に政策立案が行われているのは明らかです。」

「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数ランキング」レポート7年間のレビュー:
世界の年金制度の持続可能性は?

2015年度の「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数ランキング」レポートでは、毎年の指数比較のみならず、過去7年間の変化を分析し、どの国の年金制度が持続可能で、どの制度に破綻リスクがあるのかを査定している。「私たちの7年間のスナップショットは、年金基金の年金支給開始年齢変更、高齢者の労働市場への参加拡大、将来の退職給付金のための追加積立金、などの施策の重要性を浮き彫りにしています。」と、ノックス博士は語る。

定年退職後の平均余命は伸びつつある

2009年の当指数調査開始時に調査対象国であった11ヶ国全てにおいて、2009年から2015年にかけて、退職後の平均余命は16.6年から18.4年へ延びている。

オーストラリア、ドイツ、日本、シンガポール、英国の5ヶ国では、平均寿命の延びに伴い、公的年金制度の支給開始年齢を引き上げたが、退職後の平均余命の延びには完全には対応してきれていないのが実情である。

当指数において、20年後の退職後予想平均余命を比較したところ、3ヵ国において、期間の短縮が見られた。そのうちカナダとオランダは、公的年金制度の支給開始年齢が、現在の65歳から67歳へ引き上げられる予定であることがその背景であり、米国は平均寿命が僅かに縮んだためである。他の8ヶ国では退職後平均余命の延びが示された。

高齢者の労働参加率の増加: 経済へも個人にも好影響

2011年以降の当指数の対象国である16ヶ国においては、55歳から64歳までの平均労働参加率は、2011年から2015年にかけて、57.9%から62.2%に増加しているが、これは年率1%以上の増加である。

但し全体の平均値のみでは誤解を招く恐れがある。個別に見ていくと例えば、米国では高齢層の平均労働参加率は実際には下がっており、ブラジル、インド、中国では4%未満の増加に止まっている。

ノックス博士はこう述べている。「平均寿命が延びている社会において、各個人の就労期間を延長することが、今後持続可能な年金システムを作りだす最適な方法の一つです。

高齢者の労働参加率には当然限界があり、大多数の国において労働参加率は70%以下に留まっている一方で、労働参加率は世界中で大幅に増加する余地を残しており、これは今後多くの年金制度の持続性を高める鍵となるでしょう。」

次世代へ経済的負担をかけないために

将来の想定年金受給額が次世代への経済負担とならないようにするためには、今確保すべき資産レベルの見直しを行ってこそ、年金ファンドの持続可能性について査定することが出来る。

年金資産レベルは、インドネシアの対GDP比1.8%、オーストリアの対GDP比6.0%からオランダの対GDP比160.6%、デンマークの対GDP比168.9%と、非常に多岐にわたっている。

「対GDP比率に対する年金資産レベルの多様性は、ある国では極々限定された個人年金プランしかないという現実がある一方で、充実し成熟した年金制度を持つ国もあることを示しています。しかしこれは、全ての国が事前に準備を整えるできである、という重要な警告です。」とノックス博士は述べる。


FACT SHEET– 調査方法

「メルボルン・マーサーグローバル年金指数」は、2009年に11カ国を対象として調査を開始。7年目の2015年の対象国は2009年実施当初の11ヶ国から25ヶ国に拡大、全世界の人口の60%近くをカバーしている。

  • 対象国の様々な年金制度への取り組みが指数として表される
  • 公的ならびに私的年金制度の積み立てや、個人貯蓄などの年金以外の資産についても客観的な評価をしている
  • 調査では、対象国の年金制度に0から100までの評価が付けられ、「十分性(Adequacy)」、「持続性(Sustainability)」、「健全性(Integrity)」の平均評価値が指数として表される
  • 各国の老後の所得保障制度における40以上の調査項目から構成され評価付けされている
  • 各項目の評価指数における構成は次の通り:
    • 十分性(Adequacy) 40%
    • 持続性(Sustainability) 35%
    • 健全性(Integrity) 25%
定義
  • 十分性(Adequacy)の項目において高い評価を得ている国では、平均以上の最低年金額によって貧困の緩和がみられ、中所得者の所得代替率がよく、老後の所得として定期的に給付を受け取れるシステムがあり、その他の制度が制定されている。
    例えば、公的年金が老後の生活に十分なだけ支払われているか、老後のための貯蓄は十分になされているか、等が評価対象になる。
  • 持続性(Sustainability) の項目において高い評価を得ている国では、年金制度に優良なカバレッジ (通常、年金制度の義務化および自動登録などによる)、対GDP年金基金運営資金高比率が達成され、制度の義務化、政府債務が低いことが挙げられる。
    例えば、年金が支払われるのに十分な環境が整っているか、平均寿命と支給開始年齢の関係はよいか、国家の破綻のリスクがなく持続可能なものか等が問われる。
  • 健全性(Integrity) の項目では、包括的な規制を設け、年金制度のガバナンスおよび政府と国民間のコミュニケーションにおいて数カ国が高評価を得ている。例えば、年金制度をうまく運用するための見直し機能や透明性が担保されているか、また私的年金のスキーム等が評価される。
    なお、世界銀行が発表している世界ガバナンス指標を評価に加えている。
    * 世界銀行-プレスリリース

「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数ランキング」の詳細・参考資料は以下をご参照ください:

マーサー・グローバル年金指数2015」レポート全文 (英文-PDF: 約6MB)
Infographics (英文‐グラフ中心のパンフレットPDF: 約1MB)
コラム698 「年金制度の国際比較 ~「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数ランキング(2015年度)」
本プレスリリースはマーサー(オーストラリア)が発表したプレスリリースを翻訳・編集 したものです。
Melbourne Mercer Global Pension Index 2015 (オリジナル英文)
Japan Overview (英文)
本リリースURL: http://www.mercer.co.jp/newsroom/2015-global-pension-index.html (日本語)


マーサー・メルボルン・グローバル年金指数(2015)
総合指数によるランキング

  各項目の指数
ランキング 国名 総合指数 十分性 40% 持続性 35% 健全性 25%
1 デンマーク 81.7 77.2 84.7 84.5
2 オランダ 80.5 80.5 74.3 89.3
3 オーストラリア 79.6 81.2 72.1 87.6
4 スウェーデン 74.2 71.1 72.6 81.5
5 スイス 74.2 73.9 68.4 82.9
6 フィンランド 73.0 70.7 61.8 92.4
7 カナダ 70.0 79.4 56.2 74.3
8 チリ 69.1 62.8 65.0 84.8
9 イギリス 65.0 64.2 51.3 85.5
10 シンガポール 64.7 55.7 65.9 77.2
11 アイルランド 63.1 77.0 36.2 78.5
12 ドイツ 62.0 76.0 36.8 75.0
13 フランス 57.4 77.2 36.6 54.9
14 アメリカ 56.3 55.1 54.4 61.1
15 ポーランド 56.2 61.8 40.6 69.0
16 南アフリカ 53.4 47.3 43.0 77.7
17 ブラジル 53.2 64.6 24.5 75.1
18 オーストリア 52.2 67.6 17.2 76.8
19 メキシコ 52.1 56.4 53.5 43.4
20 イタリア 50.9 68.4 12.1 77.4
21 インドネシア 48.2 41.3 40.1 70.8
22 中国 48.0 62.7 29.8 50.0
23 日本 44.1 48.8 26.5 61.2
24 韓国 43.8 43.9 41.6 46.8
25 インド 40.3 30.0 39.9 57.6
  平均 60.5 63.8 48.2 72.6

年度別総合指数によるランキング推移

総合
ランキング
ランキング
2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009
1 デンマーク デンマーク デンマーク デンマーク オランダ オランダ オランダ
2 オランダ オーストラリア オランダ オランダ オーストラリア スイス オーストラリア
3 オーストラリア オランダ オーストラリア オーストラリア スイス スウェーデン スウェーデン
4 スウェーデン フィンランド スイス スウェーデン スウェーデン オーストラリア カナダ
5 スイス スイス スウェーデン スイス カナダ カナダ イギリス
6 フィンランド スウェーデン カナダ カナダ イギリス イギリス アメリカ
7 カナダ カナダ シンガポール イギリス チリ チリ チリ
8 チリ チリ チリ チリ ポーランド ブラジル シンガポール
9 イギリス イギリス イギリス アメリカ ブラジル シンガポール ドイツ
10 シンガポール シンガポール ドイツ ポーランド アメリカ アメリカ 中国
11 アイルランド ドイツ アメリカ ブラジル シンガポール フランス 日本
12 ドイツ アイルランド ポーランド ドイツ フランス ドイツ -
13 フランス アメリカ フランス シンガポール ドイツ 日本 -
14 アメリカ フランス ブラジル フランス 日本 中国 -
15 ポーランド ポーランド メキシコ 中国 インド - -
16 南アフリカ 南アフリカ 中国 韓国 中国 - -
17 ブラジル オーストリア 日本 日本 - - -
18 オーストリア ブラジル 韓国 インド - - -
19 メキシコ イタリア インド - - - -
20 イタリア メキシコ インドネシア - - - -
21 インドネシア 中国 - - - - -
22 中国 インドネシア - - - - -
23 日本 日本 - - - - -
24 韓国 韓国 - - - - -
25 インド インド - - - - -
               

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