Mercer
Mercer - Consulting. Outsourcing. Investments.

効果的な要員計画によるビジネスリスクの低減

更新日 2009年4月2日

 



Jay Dohertyはマーサーの組織・人事コンサルティング部門のプリンシパルで、組織における人材戦略を専門としています。 今回は、世界的に組織がどのような人材リスクに直面しているのか、また特に経済危機状況下における堅実な要員計画策定が、リスク管理にどのように役立つのかについて、話を聞きました。


Q: 現在、私達は非常に厳しいビジネス環境に置かれています。企業が世界的に直面している人材リスクとは何でしょうか。

Jay Doherty:確かに私たちは厳しい時代をむかえています。まず明らかに言えることは、人材の適材適所の実現なくしてビジネスプランは実行できない、ということでしょう。
いくら緻密に立案された企業戦略であっても、然るべきスキル・能力をもった人材によって適切に実行されなければ、意味がありません。様々な企業が顧客の期待に応えるために、在庫管理、サプライチェーンの整備、財務管理などについて細かく判断する仕組みを設けています。一方で残念なことに、必要な人材が十分備わっているかどうかの判断がきちんと行われているとは言い難いのです。


かつて、企業はビジネスの整理統合の際、必要に応じて人材を採用しながら短期的に人員計画をまわしていく余裕がありました。
ところが現在、多くの業界で仕事に必要なスキル・能力を持った従業員が不足しており、特に熟練した高度技術者に依存している組織にとって、この問題は一層緊急を要するものとなっています。人口統計上、多くの国々で労働者の高齢化が進む一方、新興国では若い高学歴の労働者が増加しています。この傾向は、活用可能な人材群や、組織と従業員の関係に変化をもたらしています。


仕事をする上で、十分な経験をもった人材が不足しているという状況は、皆さんもお気づきでしょう。例えば 石油ガス業界では、主要な採掘・生産プロジェクトが延期されています。 宇宙航空業界では、早まる納期に対応できていません。また 電力業界では、重要な職務をこなせる人材の育成に5~10年もかかっているのです。


Q: 組織はこのようなリスクにどう対処すればよいのでしょうか。

JD:これらのリスクを緩和するには、まず今後5年間で必要となる人員数を定量化できなければなりません。
次に、どのような経験とスキルが必要で、そうした人材をどこに配置すべきかを明らかにすることが必要です。
したがって私達は、量・質・配置の3つの視点で要員計画を策定するようお客様にお勧めしています。いずれの視点も、設計上欠かすことはできません。

こうした効果的な要員計画の策定は、現在および将来のビジネスの要件を、明確かつ定量的に理解することから始まります。まずは、方程式を需要側から解くのです。

次に、供給側から考えます。現行の人材調達・活用を続けた場合、将来の人材構成がどうなるのかを定量的に明らかにし、さらに調達対象となる社外の人材群が将来逼迫するか、それともより充実化するかをみるのです。こうすることで、外部市場からの人材採用と社内での人材育成のバランスをどうとっていくべきか判断することができます。さらには、今後生じうる人材ギャップを予測することもできます。ほとんどの企業で、重大な仕事とそれ以外に分けて人材ギャップを考えることが出来るでしょう。
人材ギャップが明らかになれば、重大な人材ギャップを埋めるために最も有効な方針や施策を、既存・新規の両面で判断することができます。 そうすることではじめて、人材投資に関する意思決定を行うことができます。こうしたプロセスを経て意思決定を行わない限り、過剰な取組みや、問題解決につながらない取組みにコストを費やすことになってしまいます。


Q: これまで、上記のような要員計画を策定したことがない企業は、どのように対応していけばよいのでしょうか。

JD: 要員計画というと、量と配置に関するプランしかないという組織もあります。その場合には、まずは供給側から手をつけるとよいでしょう。つまり、過去数年間の従業員データに基づき、将来必要となる人材を予測するのです。これによって、自社が人材ギャップのリスクを負っているか、ギャップの大きさはどの程度か、いつそれが生じるかがわかるでしょう。
需要側では、マネジメント層と人事担当者を集め、将来の人材ニーズを定性的に検討することから始めます。
こうすることで、今後の技術、製品またはサービスの変化に対応するためにはどのような新しいスキルと能力が求められるのかを、明らかにすることができます。
この2点、つまり人材予測と将来ニーズの定義が、要員計画策定上の最初のステップとなります。
その後、企業は人材の採用方法を決めたり、重大な人材ギャップを埋めるための諸施策を検討することになります。また、こうすることで、人材マネジメントの効果検証も可能になります。
さらにもうひとつ付け加えるならば、要員計画は簡潔であるべきです。
分析は綿密でなければなりませんが、その結果策定された計画は4 - 8ページ程度にとどめるべきです。


Q:昨今の雇用構造の劇的な変化は、一部の業界で大きな影響を与え始めています。その理由は何でしょうか。また、そうした業界において効果的な要員計画の策定がいかに重要か、事例も含めてお聞かせ下さい。

JD:確かに現状、大きな打撃を受けている企業があり、そのような企業はビジネスを実行する上で効果的な要員計画の策定が不可欠なプロセスであることを身にしみて感じはじめています。ヘルスケア、エネルギー、航空宇宙、運輸、鉱業、教育業界は厳しい局面を迎えており、例えば小売業やハイテク産業とは全く異なる課題に直面しています。
業界により状況は異なっています。石油ガス業界のように、需要増加に対応しきれず人材不足に悩んでいる企業もあります。しかし大抵は複数の要因が絡み合っており、例えば電力会社などは、 需要増加や技術力向上に対応しなければいけない一方で、多くの人材が定年を間近に控えており(重大な仕事であるにも関わらず、その仕事についている人材の半数が定年間近というケースも多々ある)、これらの人材が定年退職すると、十分な経験を持っていない30代・40代の従業員だけがとり残されてしまいます。

私達のクライアントだった公益企業では、5万人のベテラン人材の定年退職が差し迫っていたことと、外部市場における人材競争がますます激しくなってきたことに対処するために、要員計画を一から作り上げました。まずは分析が完了した時点で、マネジメント層と人事部門が取組案を年度計画に組み込み、その後は毎年「要員計画検証サミット」を開き、実務部門との間で進捗状況の確認や検証を行い、実務ハンドブックを作成したのです。 このプロジェクトの結果、必要な人材維持にかかる予算を数千万ドルも節約することに成功しました。

要員計画の策定自体、特に目新しいことではありません。しかし、量・質・配置の観点を全て踏まえた、効果的な要員計画を策定している企業が非常に少ないのが実態です。
前述の企業例が示すように、優れた要員計画はいつどのような経済状況下であっても、企業の役に立つのです。事実に基づく効果的な要員計画を策定することは、困難な時代に耐え、将来成長していく上で大きな鍵を握っていくことでしょう。

 


サービス内容
組織・人事変革
コンサルティング


Contacts

Jay Doherty
(Richmond)
電話+1 804 344 2614
 jay.doherty

Bill Sipe
(Pittsburgh)
電話 +1 412 355 8885
bill.sipe

Rick Guzzo
(Washington,DC)
電話 +1 202 331 3695
rick.guzzo

Wei Zheng
(Beijing)
電話 +86 10 65334299
wei.zheng


日本国内問い合わせ先

マーサージャパン株式会社
組織・人事変革コンサルティング
明吉 美佳
電話03-5354-2041
 Mika.Akiyoshi