第2回 住友スリーエム株式会社 執行役員 人事担当 森田 準さん (1/3)
C-Suite Talk Live第2回は、住友スリーエムの執行役員人事担当、森田準さんにお越し頂きました。東芝という日本を代表する製造業から一転してアストラゼネカ、ボストン・サイエンティフィックと外資系の医薬・医療関連企業に転進され、昨年から現職に就任されています。この間一貫して人事畑を歩いて来られた、文字通り人事分野の"The professional"のお一人です。C-Suite Clubの場を通じて、これまでにも様々な議論をさせて頂きました。
「3M」といえば、「イノベーション」という言葉が自然に浮かびます。消費財から産業財まで、様々な分野で革新的商品を世界に提供し続けてきた輝かしい歴史。一方、変化し続ける世界で、イノベーションを生み続けることは容易ではありません。イノベーションを生みやすくするために、組織・人事面では今後どのような仕掛けが必要なのでしょうか。壮大なテーマを前に、聴き手と語り手で成り立つインタビューというよりも、対談の場を借りたブレーンストーミングのような展開になりました・・・。
世界同時不況の中、敏速なギア・チェンジ
古森 住友スリーエムさんに移られて、1年になりましたね。折しも世界同時不況の真っ只中で着任最初の一年を過ごされることになったわけですが、現在はどのような状況ですか。
森田 こちらに移った当初から金融情勢は悪くなっていましたが、製造業がこれほどまでの事態になるとは思っていなかったというのが、正直な感想です。100年に一度の不況と、その後の日本でのビジネス・シュリンクを、まさにこの一年で経験しました。昨年の秋から今年の第二四半期あたりまでは、組織のダウンサイジングや効率化に奔走しましたね。ようやくそのフェーズも脱しつつあり、これから再び成長志向へと舵を切って行く段階です。 古森 色々な指標に回復の兆しが見えるとはいえ、第三四半期から経営がギア・チェンジできているというのは、なかなか敏速な対応ですね。"Agility"という言葉が、ふと浮かびました。 森田 そうは言っても、実際に何をすればいいか。製品開発や販促の予算を大幅に増やすような性質の手は、当面は打てない。そうした現実的制約の中で、「シェアを増やし、新製品が出て当たり前」という方向に組織全体のマインドを切り替えていかなければなりません。経営として、まさに議論を重ねているところです。 日本発のイノベーションを求めて
![]() 森田 歴史を紐解きますとね、日本発でグローバルの3Mに対して発信していったイノベーションも、かなりあるんですよ。例えば、PCの液晶ディスプレイの中にある膜のような製品 - 液晶輝度上昇フィルムがあるのですが、これは日本発。世界の産業財市場で、堂々とした存在感を持つ商品になりました。要素技術自体は米国発ですが、その商品化は日本がやりました。 古森 なるほど、誇らしい歴史があるわけですね。 森田 ところが、ここ5年ほどを振り返ると、日本発の革新的な大型商品や技術というものは出てきていないのです。もちろん、何もしていないわけではありませんし、大型イノベーションというものが必ず定期的に起きるものだとも思っていません。しかしながら、経営としてはこの世界同時不況に入る以前から、この点については危機感を持っていました。 古森 何か、経営として思い当たる背景や原因のようなものが、あるのでしょうか。 森田 その都度を振り返れば、皆一生懸命やってきているわけです。あからさまに阻害要因となるようなものを、そうそうクリアに特定できるものではありません。もっとも、今回のギア・チェンジを契機にして、より深くそのあたりの背景も掘り下げてみるべきだと思っています。あえていえば、ここ数年は顧客市場の動向をにらみながら事業ポートフォリオもシフトしてきたため、現実への対応が優先になって、根本的なイノベーションに手をつけることができなかった・・・という面は、あるかもしれません。いずれにしましても、今後かなり踏み込んで日本発のイノベーションの再興に力を入れていくことになります。
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