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第6回 日本GE株式会社 取締役 シニアHR マネージャー 八木 洋介 さん (1/5)
C-Suite Talk Live第6回は、日本GE株式会社の取締役で日本全体のGEビジネスの人事を管掌しておられる、八木洋介さんのお話を伺います。

八木さんは、伝統ある日本企業で約19年にわたり人事をご経験され、米国子会社でCEO補佐なども務められました。その後、GE横河メディカル・システムを皮切りに、GEグループ各社で人事分野の要職を歴任され、2009年1月より現職。メディアや講演などの場を通じて、八木さんをご存知の方々も多いことでしょう。

GEといえば、多くの企業がベンチマークする優良企業の一つです。ここ数年間の"ecomagination"の取り組みに加え、最近では"healthymagination"を経営のテーマに掲げて、この不透明な環境下で巨額の研究開発費の「行き先」を世界に宣言しましたね。

GEを思うとき、私はある種のフラストレーションを感じます。世間はなぜ、GEのやっている「こと」に目を向けるのか。表面的にGEのやっていることを仕入れて、消費するだけに終わっていないか。GEの本質を、我々はもっと知るべきではないか・・・。

今回のC-Suite Talk Liveでは、いわゆるGEの事例紹介ではなく、その根底にある本当の強さについて、少しでも解きほぐすことが出来ればと思います。一般論の限界を十分知りつつ、あえて八木さんにお願いした話題は「GEの常識から見た日本」。楽しみです。

C-Suite Talk Live 第6回 ~対談エッセンス~
  • あえて問うてみる、「GEの常識から見た日本」
  • はじめに「勝ちの定義」ありき
  • 目指すものに「ウソ」がない組織
  • グローバル経営時代における「日本的なもの」
  • 人事の役割は、人のやる気を引き出すこと
  • GEの本当の強さとは

◇ あえて問うてみる、「GEの常識から見た日本」
古森 GEにおける人材マネジメントについては、既に多くの情報が世の中に出ています。今日はあえて、日本における人材マネジメントの平均的な姿とGEの何が違うかを考えてみることで、本質的な部分での論点を発信したいと思っております。

八木 そういう視点でまず思い当たるのは、「日本企業における人事」という言葉自体が存在することへの違和感ですね。「日本企業」という意識を持ちすぎることが、人事分野でも発想の妨げになっているのではないかと思うのです。

古森 なるほど、メッシュの粗すぎる議論が多いのかもしれません。しかし、「日本の・・・」という言葉は、むしろ登場しないほうが珍しいくらいで、多くの人事的議論の場面で耳にします。

八木 例えば、「年功序列は日本の慣習だから」とか、「通勤交通費は日本の人事慣行」といった話の類ですね。他にもたくさんあります。こうしたカルチャー的な要素を論じる前に、まず「人事がその会社の成功に貢献するには、どうあるべきか」という「人事戦略」を持たなければならないと思います。まず戦略があって、その上で、日本が持っている特性もうまく使っていくという順序で考えるべきでしょう。

古森 人事としての課題の置き方がそもそも大丈夫なのか、という問いかけですね。

八木 職能資格制度をめぐる議論も、同じような傾向があります。職能資格制度は1970年代に提唱されたもので、現在の環境・戦略の下で事業を行う企業にとって、普遍的に有効かどうかは分かりません。年功序列的な運営も、しかり。高度経済成長下での一般的な事業モデルを前提にした場合に役立つ仕組みであったわけで、現在の個々の企業にとって意味があるかどうかは、分からないわけです。

古森 結局は、企業ごとの経営戦略やビジネスの狙いがあって、それに紐づく議論をしていかなければ意味がない、ということですね。

八木 なのに、ともすれば議論は起源論や歴史の世界に入っていきがちです。例えば、日本の企業組織が江戸時代の大名制や明治時代の華族制に端を発するだとか。それをどう見るかは面白い議論ですが、企業にとっての論点はそこではないはず。皮肉なことに、日本の人事の「三種の神器」という言葉だって、それこそ「起源」をたどれば日本ではなくてOECDの言い出したことなんですよ。

古森 経緯や歴史は無意味ではないが、結局は会社ごとの個別文脈の中で意味のあるツールかどうか、ゼロベースで判断すべきだということですね。一方、そうした経営目線でのゼロベース思考というものは、平均的な傾向で言えば、日本の人事の得意分野とはいえないように思います。

八木 「この定期異動をどうするか」といった議論にたいへんな時間を使う一方で、「会社の方向性に照らして、そもそも何をすべきか」という議論は必ずしも十分とは言えないのでは。あるいは、他社をベンチマークして良い施策を取り入れるという活動が盛んに行われますが、目的を間違うとベンチマークしても十分に生かせません。

古森 マーサーでも、事例照会やベンチマーク活動の依頼を受ける場合が多々あります。いつも留意しているのは、「それだけ」から答が出るのではなく、最終的には企業独自の目的に照らした議論が重要であり、それに資する形で活かして頂きたいということですね。ベンチマーク情報は思考の生産性を大きく助けますが、「何のために」の軸足がないと、情報の適否を判断できないはずなのです。



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