第9回 日本郵船株式会社 経営委員 甲斐 幹敏さん (1/4)
C-Suite Talk Live第9回は、日本郵船株式会社の経営委員でIR・法務・調査各グループと社史編纂室をご担当の甲斐幹敏さんにご登場いただきます。
日本郵船は、三菱グループの中でもその発足の原点に位置する企業の一つ。海運にとどまらず「海・陸・空にまたがる総合物流企業グループ」として発展を続けてきました。「モノ運び」において、文字通り世界のリーディング・カンパニーです。世界同時不況の中で「モノ」の流れも縮小する中、新たな挑戦のときを迎えています。 甲斐さんは、これまで経営企画分野を中心にご活躍され、現在は経営委員の一員です。在デンマーク日本国大使館への出向や韓国駐在など、海外でのご経験も豊富。現在はIRという投資家向けの「会社の顔」としてご活躍されていますが、本日は人・組織のアングルも意識して、ざっくばらんにお話をうかがいたいと思います。
世界同時不況~「荒波が甲板を洗う」
古森 日本郵船さんといえば、いわずと知れた日本の優良企業の一つです。創業は1885年、長きにわたり日本の通商を物流面から支えて来られました。多くの人が、この会社の名前とともに「海へのロマン」を漠然と想起します。でも、さすがに今回の世界同時不況の中では、難しい舵取りを迫られているようですね。
甲斐 ええ、今は世界経済の荒波にもみくちゃにされています。大きな波が甲板を洗っているような状況です。 古森 御社の場合は、海や航海のアナロジーが、まさにぴったりときますね。 ![]() 古森 好むと好まざるとに関わらず、難しい問題と向き合わざるをえない時代ですね。 甲斐 したがってこの1年間は過剰なものをいかに減らすかということに注力してまいりました。投資額が大きい新造船計画を見直したり、船齢が高くなった古い船をスクラップしたり、また、出張費などの一般管理費削減も全世界的に行っています。 古森 多くの企業が、今は無傷ではいられない状態です。 甲斐 当社は戦後に2回、大きな荒波を経験しています。最初の波は、1964年の東京オリンピックの年。中核6社体制ということで、日本郵船と三菱海運が合併しました。他にも大阪商船と三井船舶が合併して大阪商船三井船舶になるなど、政府主導で業界の整理統合が一気に起きました。 古森 業界としての余剰感、非効率があった時代ですね。 甲斐 二度目は、プラザ合意の後です。円高によって、こちらが何をしなくても一気に売上高が半分に目減りするという事態。国際競争で生き残るためには、コストのドル化が避けられないということで、日本籍船や日本人船員の大幅な削減をせざるを得ませんでした。大変つらい経験として弊社の記憶に残っています。 古森 今回は、当時よりもさらに事業がグローバル化しているために、まさに連結ベースでの大コスト削減・合理化という形になっているのですね。 甲斐 プラザ合意以後の世界では、日本の企業のオペレーションもどんどん海外に出て行きました。弊社はモノの流れについていきますので、当然この四半世紀の間に事業は大幅にグローバル展開しています。たとえば、日本発着のコンテナ貨物は、全体の荷動きの1割を切るところまで小さくなっています。 古森 商流のほうを見ていますと、いわゆる三国間取引も活発化しているようです。日本発着のものが1割を切ったというのは、日本経済の今の姿を映す鏡のような話だと思います。 甲斐 海外のネットワークも自然と大きくなって、そこで働く人も増えてきました。そのような状況では、成長も縮小も、日本の枠組みを超えた視点で考えていかなくてはなりません。
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