第11回 株式会社サイバード 執行役員副社長 兼 CSO(最高戦略責任者) 中島 謙一郎さん (1/3)
C-Suite Talk Live第11回は、株式会社サイバードの執行役員副社長兼CSO(最高戦略責任者)、中島 謙一郎さんのお話を伺います。
サイバードといえば、モバイル・インターネット・ベンチャーの雄として多くの人々に影響を与えてきた、新しい日本を象徴する企業のひとつです。モバイル・インターネット自体の市場環境が目まぐるしく変わる中、色々なチャレンジにも遭遇しつつ、常に新しい挑戦を続けておられます。一昨年末にMBOを実施。中長期の成長を確かなものとするために、今は膝を屈めている状態ではないでしょうか。 中島さんは、1989年に株式会社リクルートに入社、人材マネジメント分野でキャリアをスタートされました。株式会社サイバードには2000年に入社され、取締役就任後、2001年に常務取締役、2005年に執行役員副社長、2006年に執行役員副社長兼CSOに就任されて現在に至ります。持株会社である株式会社サイバードホールディングスにおいても経営の要職にあり、取締役兼上席執行役員を務めておられます。 「人」に関して語らせたら、泉のように思いと知恵が湧いてくる、一家言を持った経営・人材マネジメントのプロフェッショナル・・・。お話を伺うのが楽しみです。
人事の3つの輪~「人」へのこだわり
古森 お元気そうで何よりです。この対談、パブリックに何か良い情報を発信していきたい・・・ということで、はや10回を重ねました。経営の問題に一般解はないですが、どんな会社にも必ず「良いもの」があります。世の中にはネガティブな情報が蔓延していますので、この対談ではその良い部分にスポットをあてて世に伝えたいと思っています。
中島 なるほど、何からお話ししましょうかね・・・。 ![]() 中島 MBOしてから、企業としては新たなフェーズに入りました。MBO当時に発表したとおり、今は中長期の成長へ布石を打つ時期です。とはいえ、投資ファンドに入って頂いているので、短期的な業績状況で一喜一憂することはなくなりましたが、中長期でやると宣言したことは、まさに「実行」することが求められます。そういう意味では、戦略の「実行」が起きる3つの輪の交点を生むことが、かつてにも増して重要になっています。 古森 経営としては、言ったことを本当に実行することでしか、投資ファンドさんからの信頼を保つ手段はないですからね。今はまさに正念場でしょう。その3つの輪をつなぐのは、やはり「人」の分野ですよね。 中島 ええ、「企業は人なり」です。リクルートの営業マンだった頃から、お客様だった中小企業の社長さん達とそんな話をしていました。経営って、結局は人だなと。経営の3資源で「ヒト、モノ、カネ」、といいますが、「モノ」と「カネ」は調達することが出来ます。でも、「ヒト」は同じようにはいきません。 採用に徹底的に賭ける人材戦略
古森 確かに、企業として「ヒト」という資源を「調達」するにも、大変な時間と労力がかかったりしますね。経営の用語でも、「ヒト」に関しては資源といわずに資本という言い方をするようになってきました。
中島 企業というのは、そこにいる人のレベル以上にはならないのです。どんなに素晴らしい戦略を立てても、それを実現できる人がいなければ絵に描いた餅です。 古森 御社では、その「ヒト」に関してどのようなこだわりをお持ちなのでしょうか。 中島 2つの注力点があります。ひとつは採用であり、エントリーマネジメントをいかに徹底するかですね。もうひとつは、採用した人をどうやって活かしていくか。単純に言えば、この二つの話しかないわけです。その中で、弊社では特に採用のほうに経営としての重きを置いています。 古森 何かに対して舵を切り、賭けるのが経営だと思います。詳しくお聞かせください。 中島 企業にとって、採用の影響は本当に大きいと思っています。よく、「人は種か水か」などと言われますが、弊社では断然「種」だと考えています。植物でも、種が強ければコンクリートをも打ち破る力があります。もちろん、肥料や水はやらないといけませんが、ダントツに強い種を獲得することが何よりも大事です。そういう種は、周りにあるものを勝手に肥料や水にして、栄養分に変えていく力があります。リクルートには、「自ら機会を作り出し、機会によって自分を変えよ」という社是がありました。今、弊社にもそういう視点が重要になっています。 古森 その言葉に、強烈な思いを感じます。人材戦略は企業ごとに個性があってしかるべきで、実際色々な形があります。中島さんの語り口を拝見していて、御社の場合は明確に「採用」という入り口へのこだわりが透徹しているのだな・・・という印象を受けますね。鬼気迫るものさえ感じます。 中島 自分を変える肥料さえも自分で作り出して変えていくことを、弊社の人材には求めています。会社のステージが変わり、徐々に組織も大きくなってきました。それでも、私は年間350時間くらいを採用に使っています。 古森 350時間ですか。一日10時間くらい働くとしても、丸々1ヶ月半くらいは採用活動に従事しているということですね。副社長の仕事の仕方としては、非常に踏み込んだ形だと思います。それも経営の意思ですね。 中島 弊社は、ここ数年は中途採用から定期採用中心に採用経路を変えてきています。定期採用、つまり新卒採用というのは、どれだけ採用者側が時間をかけるかによって、獲得できる人材のレベルも変わってくるマーケットです。コミュニケーションの設計、プレゼンの設計、説明会でのプレゼンテーター・・・など、採用にはしっかりと力を使っていますよ。 古森 その努力は、報われそうですか? 中島 既に報われつつあります。ベンチャー企業では、頭でっかちな人材よりは自分でやれるパワーがあって、ストレス耐性が強い人材が不可欠です。熱い思いで動ける人、理不尽な中でも「この人とならがんばれる」と言ってやりぬく人・・・。そういう人材が必要です。ここ数年の取り組みで、そういう種を持った人がどんどん入って来ています。 古森 それは心強い話ですね。 中島 社歴の長い会社を見ると、1人か2人、会社が岐路に立った際に生き延びるきっかけを作った人がいることが多いでしょう。会社のストーリーとして語られています。「あいつがいたから、会社が生き残った」というような話。会社としては、その「あいつ」を採用していたかどうかの勝負なわけです。そういう人をとれる採用活動をしているかどうか。それが、明確な差を生んでいきます。
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