資産配分を実行へ - 運用機関構成の策定

マーサーではお客様の運用機関構成を構築するご支援を行います

マネージャーストラクチャー

運用機関構成は、通常、策定された資産配分を実行に落とし込むためのものであり、Plan-Do-Seeのプロセスで言えば、PlanとDoを繋ぐ段階に当ります。実際には、資産配分から敢えて乖離させて(アクティブリスクを取って)、市場(ベンチマーク)に対するプラスアルファ(超過収益)、つまり付加価値の創出を狙うことも目的の1つとなります。但し、いたずらにリスクを取ってもリターンが上がる訳ではなく、資本市場の特性や現状などを踏まえて効率的にリスクを取る必要があり、同時に、投資家としてのリスク許容度やリスク管理体制などの制約も考慮する必要があります。(図表1)

(図表1) 運用機関構成の策定の考え方

運用機関構成を考える際にベースとなる考え方として、上述の通り、リスクの効率的な活用・配分を資本市場の特性に応じて検討します。具体的には、資産ごとの市場における超過収益獲得(=付加価値)の創出状況を概観して、相対的に超過収益獲得の確信度が高い市場へリスクの重点的な配分を検討します。

超過収益獲得の難易度を計る一例として、平均的な運用機関の超過収益の推移を確認する方法があります。図表2は、マーサーが保有する運用機関のデータベースを用いて、国内株式と外国株式のユニバース(類似戦略の集まり)からメジアン(中央値)のリターンを抽出して、その超過収益の推移を3年移動平均で示した図表です。ご覧の通り、国内株式のメジアンは外国株式のメジアンに比べて、より高い超過収益を継続的に獲得していることが見て取れます。従って、この図表は国内株式が外国株式よりも超過収益の獲得が容易な資産である、という可能性を示唆しており、アクティブリスクを取る場合には国内株式でより多くリスクを取ることが合理的と言えます。

(図表2) 超過収益獲得の難易度の検討

超過収益獲得の難易度を踏まえて、トップダウンの観点から、どの資産にアクティブリスクを重点的に配分すべきか、そのイメージとして図表3をお示しします。図表3は、上部に分散投資の枠組み、言い換えれば、資産に期待する役割を示しており、下部に各資産のアクティブ配分比率のイメージを示しています。ポートフォリオにおける各資産の役割と、資産ごとの超過収益獲得の難易度でバランスを取りながら、同時に個々の事情(例えば、利用可能な運用機関の制約の有無など)を勘案して、アクティブ配分比率を策定します。また、伝統的資産以外の資産としてその他(=オルタナティブ)がありますが、資産や個別商品の特性によってパッシブなのかアクティブなのかが異なるので、具体的な運用商品を想定した上で検討していきます。(資産配分戦略上、その他に期待する役割によって、その他がベース・ポートフォリオに属することもあります)

(図表3) マーサーの考える分散投資の枠組みと超過収益獲得の難易度に応じたアクティブ配分比率

アクティブ配分比率の決定と同時に、運用スタイルについても検討します。運用スタイルとは、運用を行う際に基本となる考え方、又は手法のことを指します。この運用スタイルを分散させることによって、資産全体の超過収益獲得を目指しながら、特定の市場環境だけでしか超過収益を獲得できない事態や、特定の市場環境で著しく劣後する事態を回避できるよう検討します。図表4、図表5で国内株式と国内債券の収益源泉分散のイメージをお示しします。当然、現状の運用機関構成が収益源泉を分散する形となっているのか否か、確認していく必要があります。

(図表4)国内株式運用機関構成のイメージ

(図表5)国内債券運用機関構成のイメージ

運用機関構成の詳細検討では、上述までの概念的な検討ではなく、個別の運用戦略ごとに、より詳細に適切な組み合わせ・配分比率に関する検討を行います。特に株式では市場環境により大きな変動を生じることがないよう、定量ツールを用いて、想定通りのスタイルとなっているかを確認します。(図表6)また、その他の投資についても、マーサーのポートフォリオ構築の考え方に基づきながら(図表7)、マーサーのツールを用いたリスクファクタープレミアム分析を行い、特定のリスクファクターに著しい傾斜が無いか検証します。(図表8)

(図表6)国内株式ポートフォリオのスタイル分析例(保有銘柄ベース)

(図表7)グロース・ポートフォリオにおけるヘッジファンドのポートフォリオ構築のイメージ

(図表8)マーサーのツールを用いたリスクファクタープレミアム分析例