「マーサー・グローバル年金指数2014」 レポート全文 (英文-PDF: 約6MB) 本プレスリリースは米国マーサーが発表したプレスリリースを翻訳・編集 したものです。 本リリースURL: http://www.mercer.co.jp/newsroom/2014-global-pension-index.html オーストラリア金融研究センター (ACFS)は、 モナッシュ大学、RMIT大学、ビクトリア州政府からのシード資金で2005年に設立された、メルボルン とFinsia (オーストラリアの金融サービス機関)の大学の非営利コンソーシアムです。 また、ACFSのための資金は企業スポンサーや、研究パートナーシップを通じて導出されます。ACFSの使命は、オーストラリアの政府、金融機関や大学の研究、実践、教育および評価を強化するために金融業界の学者、実務家や政府間のリンクを構築することです。ACFSは最先端の金融研究、論評、ソートリーダーシップを進めています。詳細は以下をご参照ください: マーサー(英語社名:Mercer、本社: ニューヨーク、社長兼CEO:Julio A. Portalatin) は、組織・人事、福利厚生、年金、資産運用分野でサービスを提供するグローバル・コンサルティング・ファームです。 マーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズ (ニューヨーク証券取引所コード: MMC) は、グローバルプロフェッショナルサービスを提供する企業グループとして、顧客企業にリスク、戦略、人材分野の助言とソリューションを提供しています。 マーサージャパン株式会社
当ランキングは、世界各国の年金制度を比較したもので、全世界的に年金制度を比較した最も包括的な調査であるといえる。
今年度の調査結果でも、世界共通で適用可能な完璧な年金制度は存在しないということが明らかとなったが、個々の国におけるより良い制度構築のために共有されるべき、多くの共通した特徴が明らかになった。
「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数ランキング」は今年で6年目になり、2014年の対象国はフィンランド、アイルランド、南アフリカ、イタリア、オーストリアが追加され、2009年実施当初の11ヶ国から25ヶ国に拡大、全世界の人口の60%近くをカバーしている。各国の公的ならびに私的年金制度の積み立てや、個人貯蓄などの年金以外の資産についても客観的な評価をしている。
当ランキングはマーサーの協力とビクトリア州政府による資金提供の下、オーストラリア金融研究センター(ACFS)によって開発されている。評価指数は50以上の質問項目から構成されており、「十分性 (Adequacy)」、「持続可能性 (Sustainability)」、「健全性 (Integrity)」に大別される(※調査方法の詳細は別表"FACT SHEET"を参照のこと)。
ランキング首位はデンマークで、2012年より首位の座を保ち、総合指数は82.4であった。また、同国は2012年より最高ランク"A"の評価を得た唯一の国である。十分に積み立てられた年金制度や、多くの加入者数、優れた資産構成と掛け金の水準、十分な給付レベル、および法令の整った個人年金制度が首位となった主な理由である。デンマークと共にオーストラリア、オランダは3年連続トップ3の順位を維持している。
日本の年金制度については、昨年2013年より指数・ランキング共にほぼ変化がなく、制度の安定性はみられるも、高齢化社会をめぐる課題に対する取り組みなど、引き続き改善の余地があることが明らかになった。日本の総合指数は2012年、2013年、2014年ともに44.4であった。各項目の指数にもほぼ変化はなく、最も低い項目である"持続性"(Sustainability)は28.5、十分性(Adequecy)"の項目は48.0、"健全性(Integrity)"の項目指数は60.9であった。
マーサージャパンの年金コンサルティング部門シニア・アクチュアリーの塩田強は以下の通りコメントしている。
「日本の年金制度の総合評価は前年度と同じであり、ランキングは世界の対象国の中で、前年度と同様に下位に位置づけられる結果となりました。さまざまな項目の中で、総合評価への影響が大きい"所得代替率"(現役世代の年収と年金給付額の比率)が低いことが、総合評価が下位となる要因の一つとなっています。本年度に公表された日本の公的年金の平成26年度財政検証(厚生労働省)では、現状の制度を変更しない場合、少子高齢化の進展に伴う所得代替率の低下が不可避であることを示唆する結果となっており、将来的に総合評価が良くなることは難しいかもしれません。」
「現在の日本の年金制度は、マクロ経済スライドの見直し、短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大、高齢期の就労と年金受給の在り方等、数々の課題があります。今後、永続的に持続可能となる年金制度を構築するためには、これらの課題解決も含め、年金制度の改革を速やかに実行していくことが必要です。世界各国の年金制度を毎年評価している当指数が、今後の年金制度の改革にあたり少しでも参考になれば幸いです。」
日本の年金制度は、どのように改善しうるか?
日本の退職所得制度は、均一料金の基礎年金と、収入に応じた年金、任意の補足年金からなる。 日本の年金制度の総合指数は、下記の方策により向上が可能だと考えられる:
ラーストン教授はまた、「各国の退職所得制度はそれぞれ固有の歴史背景を反映したものですが、多くの国が今後数十年同様の問題に直面するにあたり、いくつかの共通したテーマがあることが見受けられました。本調査結果は、最適な解決策に光をあて、世界的に共有することを目指しています」と語る。
「年々平均指数が上昇しているのは喜ばしいことで、年金改革を世界中に提案してきたことが成果に結び付いてきているのを感じます。2010年における14ヶ国の平均指数は61.7だったのに比べ、2014年に同じ国々を対象とした平均指数は、64.3にも上昇したのです。」適切なガバナンスが、世界を変える決定的要素となる
「多くの国において、退職時の経済的安定を保証する責任は、国家や雇用主から個人へと移行してきています。この傾向は、平均余命が延び続け、多くの政府が高齢層における一人当たりの支出を減らしているため、今後も続くものと考えられ、あらゆるステークホルダーからの関心を引き付けています」とマーサーのシニア・パートナーであり当レポートの責任者でもあるデービッド・ノックス博士は話す。
「透明性を確保し、個人の信用を得ることが、ますます重要になってきています。年金制度において、社会の信用を失うことは、制度の有効性を失う危険性につながります。行政機関や業務監査機関、金融業界は、適切なガバナンス・フレームワークとその実行のために、明解なコミュニケーション、給付見込額の明確化、比較可能情報へのアクセス等の推進を費用効率の高い方法で確立しなければなりません。」
「年金業界は、全ての利害関係者に対して透明性が高く有意義かつ効果的なメソッドを創出する必要があり、それ以外の選択肢がないという時代になっているのです」とノックス博士は語る。
FACT SHEET– 調査方法
公的ならびに私的年金制度の積み立てや、個人貯蓄などの年金以外の資産についても客観的な評価をしている。
定義
例えば、公的年金が老後の生活に十分なだけ支払われているか、老後のための貯蓄は十分になされているか、等が評価対象になる。
例えば、年金が支払われるのに十分な環境が整っているか、平均寿命と支給開始年齢の関係はよいか、国家の破綻のリスクがなく持続可能なものか等が問われる。
なお、今年より世界銀行が発表している世界ガバナンス指標を評価に加えている。
* 世界銀行-プレスリリース
「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数ランキング」の詳細・参考資料は以下をご参照ください:
Infographics (英文‐グラフ中心のパンフレット‐4ページ)
コラム564 「世界の年金制度と比較する日本の年金制度~マーサー・メルボルン・グローバル年金指数2012」
Melbourne Mercer Global Pension Index 2014 (オリジナル英文)
マーサー・メルボルン・グローバル年金指数(2014)
総合指数によるランキング
各項目の指数
ランキング
国名
総合指数
十分性 40%
持続性 35%
健全性 25%
1
デンマーク
82.4
77.5
86.5
84.5
2
オーストラリア
79.9
81.2
73.0
87.8
3
オランダ
79.2
75.3
76.3
89.4
4
フィンランド
74.3
72.2
64.7
91.1
5
スイス
73.9
71.9
69.7
83.1
6
スウェーデン
73.4
67.2
74.7
81.6
7
カナダ
69.1
75.0
58.6
74.3
8
チリ
68.2
57.3
68.7
85.0
9
英国
67.6
69.8
52.4
85.4
10
シンガポール
65.9
56.4
68.5
77.4
11
ドイツ
62.2
75.8
37.6
75.0
12
アイルランド
62.2
75.8
37.6
75.0
13
米国
57.9
55.2
58.5
61.2
14
フランス
57.5
76.4
37.7
54.9
15
ポーランド
56.4
61.7
41.4
68.9
16
南アフリカ
54.0
48.3
44.6
76.3
17
オーストリア
52.8
67.5
18.9
76.6
18
ブラジル
52.4
61.8
26.2
74.2
19
イタリア
49.6
68.1
13.4
70.7
20
メキシコ
49.4
49.9
53.1
43.5
21
中国
52.8
67.5
18.9
76.6
22
インドネシア
45.3
37.5
37.8
68.3
23
日本
44.4
48.0
28.5
60.9
24
韓国
43.6
42.6
42.5
46.7
25
インド
43.5
37.1
40.6
57.7
平均
60.6
63
49.7
71.9
年度別総合指数によるランキング推移
総合
ランキングランキング
2014
2013
2012
2011
2010
2009
1
デンマーク
デンマーク
デンマーク
オランダ
オランダ
オランダ
2
オーストラリア
オランダ
オランダ
オーストラリア
スイス
オーストラリア
3
オランダ
オーストラリア
オーストラリア
スイス
スウェーデン
スウェーデン
4
フィンランド
スイス
スウェーデン
スウェーデン
オーストラリア
カナダ
5
スイス
スウェーデン
スイス
カナダ
カナダ
イギリス
6
スウェーデン
カナダ
カナダ
イギリス
イギリス
アメリカ
7
カナダ
シンガポール
イギリス
チリ
チリ
チリ
8
チリ
チリ
チリ
ポーランド
ブラジル
シンガポール
9
イギリス
イギリス
アメリカ
ブラジル
シンガポール
ドイツ
10
シンガポール
ドイツ
ポーランド
アメリカ
アメリカ
中国
11
ドイツ
アメリカ
ブラジル
シンガポール
フランス
日本
12
アイルランド
ポーランド
ドイツ
フランス
ドイツ
-
13
アメリカ
フランス
シンガポール
ドイツ
日本
-
14
フランス
ブラジル
フランス
日本
中国
-
15
ポーランド
メキシコ
中国
インド
-
-
16
南アフリカ
中国
韓国
中国
-
-
17
オーストリア
日本
日本
-
-
-
18
ブラジル
韓国
インド
-
-
-
19
イタリア
インド
-
-
-
-
20
メキシコ
インドネシア
-
-
-
-
21
中国
-
-
-
-
-
22
インドネシア
-
-
-
-
-
23
日本
-
-
-
-
-
24
韓国
-
-
-
-
-
25
インド
-
-
-
-
-
オーストラリア金融研究センター(ACFS)について
http://www.australiancentre.com.au/ www.globalpensionindex.comマーサーについて
全世界約20,000名のスタッフが40カ国以上約180都市の拠点をベースに、130カ国以上で、25,000超のクライアント企業のパートナーとして多様な課題に取り組み、最 適なソリューションを総合的に提供しています。
日本においては、35年余の豊富な実績とグローバル・ネットワークを活かし、あらゆる業種の企業・公共団体に対するサービス提供を行っています。組織変 革、人事制度構築、福利厚生・退職給付制度構築、M&Aアドバイザリー・サービス、グローバル人材マネジメント基盤構築、給与データサービス、年金数理、資産運用に関するサポートなど、「人・組織」を基盤とした幅広いコンサルティング・サービスを提供しています。
マーサーは、ニューヨーク、シカゴ、ロンドン証券取引所に上場している、マーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズ(証券コード: MMC)グループの一員です。 マーサーについての詳細は、以下をご参照ください:
マーサー ジャパン
http://www.mercer.co.jp
Mercer(Global)
http://www.mercer.com
マーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズについて
マーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズはマーシュ(保険仲介とリスクマネジメント)、ガイカーペンター(再保険仲介・コンサルティング)、マーサー(組織・人事マネジメント・コンサルティング)、そしてオリバーワイマン(戦略コンサルティング)から構成されており、年間総収入110億米ドル超、全世界に53,000名の従業員を擁し、100ヶ国以上で顧客に分析、アドバイスを行い、各種取引を支援しています。本件に関するお問い合わせ
広報
小原 香恋 Karen Ohara
Tel: 03 6775 6639 pr.japan@mercer.com
年金コンサルティング部門
塩田 強 Tsuyoshi Shiota
retirement.japan@mercer.com
http://www.mercer.co.jp/about-mercer/lines-of-business/retirement.html