マーサー「グローバル年金指数ランキング」(2018年度)を発表 日本の年金制度は34ヵ国中29位 | マーサージャパン

マーサー「グローバル年金指数ランキング」(2018年度)を発表 日本の年金制度は34ヵ国中29位

マーサー 「グローバル年金指数ランキング」 (2018年度) を発表 日本の年金制度は34ヵ国中29位

  • 2018年10月22日
  • グローバル, 東京
  • オランダがランキング首位、最下位はアルゼンチン
  • 日本の年金制度は改善がみられ、総合指数は過去最高に
  • 対象国として香港特別自治区、ペルー、サウジアラビア、スペインを追加
  • 人口高齢化という課題に対し適切な対応を行っている国、そうでない国が明らかに
  • 私的年金制度が全ての雇用労働者に適用されるべく対象範囲拡大の必要性を示唆

世界最大級の人事・組織コンサルティング会社マーサーは、2018年度グローバル年金指数ランキング「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数」レポートとランキングを発表した。

ランキング首位はオランダ(総合指数80.3)で、2012年より6年連続で首位を堅持したデンマークをわずか0.1ポイント差で抜いた。
日本の年金制度のランキングは34ヵ国中29位と再び下位に留まり総合評価はDとなったが、総合指数は2017年の43.5より上がり2018年は48.2と過去最高値となり、改善がみられた。

世界各国で引き続き人口の高齢化への対応が課題となっており、各国政府は、年金受給者に対する適正な給付の確保と、財政の持続性を適正にバランスさせるよう苦戦している。

「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数 (MMGPI) 」は調査開始から今年で10年目を迎えたが、今回のランキング結果では、人口高齢化という課題に対し、適切な対応を行っている国とそうでない国が明らかとなった。

調査対象国34ヵ国の年金制度を指数化した結果、オランダとデンマーク(総合指数値はそれぞれ80.3と80.2)は、十分な給付を支給する、世界最高水準の「A」ランクの退職給付制度を提供しており、年金制度に対する対応が万全であることが明らかとなった。

ただし、指数評価の結果全ての国に共通しているのは、十分性と持続性の均衡が揺らぎ始めているということだ。この傾向は、特に欧州諸国において顕著に見られた。デンマーク、オランダ、およびスウェーデンは、十分性と持続性の両面においてAまたはBの評価を得ているのに対し、オーストリア、イタリア、スペインは、十分性ではB評価だが、持続性ではE評価となっており、改善すべき領域が明らかとなった。

マーサー・オーストラリアのシニア・パートナーであり当レポートの責任者でもあるデービッド・ノックス博士は、世界トップ水準の年金制度を確立するために着手すべきことは、十分性と持続性の適切な均衡を確保することである、と述べている。

更に、「この適切な均衡こそが、各国政府が取り組んでいる喫緊の課題です。例えば、短期的には高額な年金給付を支給する制度であっても、それを持続することができる可能性は低く、一方長きにわたり持続可能な制度では、その給付額はかなり少ないと考えられます。問題は、どこが適切な妥協点かということです。」とコメントしている。

図1で示されるように、全ての年金制度は、右上の象限に移行するような制度改革を目指すべきである。本調査を通じて、各国政府は優れた年金制度の特徴を把握し、それを自国の制度の改革に役立たせることができる。

図1:グローバル年金制度評価における十分性 (Adequacy) vs持続性 (Sustainability)

出典: 2018年マーサー・メルボルン・グローバル年金指数 (MMGPI)

また、ノックス博士は、年金制度が持続性と十分性を満たすだけでは不十分であると付け加えた。世界水準の制度確立のために何が必要か、という議論において新たな側面として浮上するのは、「年金制度の適用範囲」と、成人の年金制度加入率である。

「企業の年金制度へ強制的に加入させる、または自動的に加入させるシステム等を導入することによって、年金制度が幅広い労働者層に適用されている国もあります。しかしながら、世界中で人々の働き方が変化しつつある状況においては、各国の年金制度が、全ての労働者(契約社員、自営業者、および育児休業給付や障害者給付、失業給付など、なんらかの給付を受領している人々も含む)が退職後に備え、充分な資金を貯蓄できるシステムである必要があります。」と、ノックス博士は述べている。

マーサーのインターナショナル・プレジデントを務めるデービッド・アンダーソンは、以下のように述べている。
「平均寿命が伸び続ける中、各国政府は年金改革に積極的に取り組んでいます。先進諸国が、自国の年金制度が人口動態問題に直面していると認識してからしばらく経ちますが、一方発展途上国政府の多くも、自国における同様の問題が浮上しつつある現状を認識し、これに対処するための措置を講じているのは大変良いことです。こうしたアクションは、長期的に見て年金制度の持続性を向上させることになるでしょう。」

また、オーストラリア金融研究センター(ACFS)のディレクターであるディープ・カプール教授は次のように述べている。「人口の高齢化、国によっては高水準の公的債務、世界的な減税競争などにより、退職所得保障制度の改善が制限されている地域もあります。10年にわたる本調査(MMGPI)およびその関連調査で得られた独自のデータから、各国の政府関係者は、各国制度の比較を通じて今後の制度設計に関し、貴重な知見を得ることができます。」

当指数は豪州ビクトリア州政府の支援により、オーストラリアの金融サービスやリサーチの専門分野の頭脳を結集して開発されたもので、優れた退職年金(スーパーアニュエーション)や金融サービスを提供しているビクトリア州の証ともいえる。

ビクトリア州産業・雇用大臣である、ベン・キャロル閣下は以下のように述べている。「ビクトリア州は全国の機関投資家の約60%の本拠地となっていますが、この調査結果はビクトリア州の好調な金融セクターの成功を示すものとなっています。メルボルンは、誰もが認めるオーストラリアの年金業界の中心地であり、同国の主要な8つのスーパーアニュエーション基金(産業別年金基金)のうち6つの基金の本拠地となっています。そのうち上位4つのファンドは合わせて3,000億豪ドルの資金を運用しており、ビクトリア州の強力で洗練された金融サービスセクターが持続的に成功していることを実証しています。」

将来の展望

幾つかの国の年金制度においては、長期的に持続可能な制度とするために、他の国々よりも一層の急進的改革を必要とすることが明らかになった。それぞれの国が抱える独自の事情に合わせ、異なる原点からアクションを起こせば、全ての国がより良い年金制度へ移行することができる。長期的観点からは、完璧な年金制度は存在しないが、”ベストプラクティス“の原則は明確であり、各国政府は改革に必要となる政策や経済状況を検討すべきである。

より良い老後を送るという実現性の観点から、本年の指数は世界の年金制度をより深く、かつ詳細に分析している。本年は調査対象国として、香港特別自治区、ペルー、サウジアラビア、およびスペインが追加された。

評価指数は40以上の項目から構成され、それぞれ「十分性 (Adequacy)」、「持続性 (Sustainability)」、「健全性 (Integrity)」に大別され、34ヵ国の年金制度を検証している。これにより、異なる背景や文化において運営される多種多様な年金制度の国際比較が可能となる。

数値で見るマーサー・メルボルン・グローバル年金指数

2018年の指数評価から、多くの北西ヨーロッパ諸国が世界トップ水準の年金制度を構築し、世界をリードしていることが明らかとなった。オランダの総合指数は80.3で、これまで6年連続で首位を維持してきたデンマークから0.1の差で首位の座を奪った。フィンランドは総合指数74.5となり、72.6のオーストラリアから3位の座を奪い、またスウェーデンは72.5で5位となった。

「当指標 は、世界の各国政府が、持続可能でかつ十分性が高い年金制度から、学び検討する際に重要な参考資料です。各国共通で適用可能な完璧な年金制度は存在しない、ということは明らかですが、同時により良い制度構築のために、共有されるべき多くの共通した特徴があることも事実です。」とノックス博士は述べている。

日本の年金制度の特徴と課題

2018年の日本の年金制度の総合指数は48.2(過去最高値)で34か国中29位、総合評価はDであった。

各項目の指数については、十分性(Adequacy)“の項目が、48.0(評価D)から54.1(評価C)に上がり最も改善がみられた。最も低い項目である“持続性”(Sustainability)も、2017年の26.0から32.4(評価E)に上がった。”健全性(Integrity)“の項目指数は、60.7(評価C+)と一昨年から変化はなかった。

マーサージャパン年金コンサルティング部門代表である北野信太郎は、日本の年金制度の評価について以下のようにコメントしている。
「2018年の日本の年金制度の総合評価は例年と同じDとなりましたが、昨年の総合指数が43.5であったのに対し、今年は48.2と、少なからず改善が見られ、総合C評価まであと少し、というところまで来ています。この要因として、年金制度への加入率の改善が挙げられており、平成30年5月まで段階的に施行された確定拠出年金 (DC) 法の改正、並びにiDeCoの普及等によるDC制度の活用が背景にあります。
しかし、現行でのDCへの拠出上限が年間66万円に抑えられていることなど、DCを老後の生活を支えるための軸として位置付けるためには、まだまだ改善の余地は残されていると考えます。

一方、今年マーサーが発表した、「健康で、豊かに、賢く働く」レポートによると、日本人の8割近くが将来の経済状況に対して不安を抱えている、という結果が出ています。中でも、公的年金の先行きに対する不安をその理由に挙げた割合が、世界全体の平均の約2倍となっており、公的制度に対する心理的な依存が垣間見えます。そのような中、リンダ・グラットン著のベストセラー「ライフシフト」の副題である「人生100年時代」が話題になったように、先の見えない不透明感の中、どのような人生の設計図を描くのか、明確な指針を多くの人が求めているように思われます。
公的年金をはじめとする社会保障制度とともに、超高齢化社会における雇用と、国・企業・個人がそれぞれ果たすべき役割についての、本質的な議論が進むこと、そしてそのきっかけとして、本グローバル年金指数(MMGPI)がその契機となれば幸いです。」

日本の制度を更に改善するために可能な対策として、以下の対策が挙げられる。

  • 家計貯蓄額の増加
  • 年金給付額の引き上げに伴う、所得代替率の改善
  • 退職給付の年金形式での受給を促す制約の導入
  • 平均余命の延びに伴う公的年金制度の支給開始年齢のさらなる引き上げ
  • GDPに対する政府債務残高比の引き下げ

FACT SHEET
「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数」調査方法

「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数(MMGPI)」は、2009年に11ヵ国を対象として調査を開始。10年目の2018年の対象国は2009年実施当初の11ヵ国から34ヵ国に拡大、全世界の人口の60%以上をカバーしている。

特長

  • 対象国の様々な年金制度への取り組みが指数として表される。
  • 公的ならびに私的年金制度の積み立てや、個人貯蓄などの年金以外の資産についても客観的な評価をしている。調査では、対象国の年金制度に0から100までの評価が付けられ、「十分性(Adequacy)」、「持続性(Sustainability)」、「健全性(Integrity)」の平均評価値が指数として表される。
  • 各国の老後の所得保障制度における40以上の検証項目から構成され評価付けされている。
    各項目の評価指数における構成は次の通り:
    • - 十分性 (Adequacy) 40%
    • - 持続性 (Sustainability) 35%
    • - 健全性 (Integrity) 25%

定義

  • 十分性 (Adequacy) の項目において高い評価を得ている国は、平均以上の最低年金額によって貧困の緩和がみられ、中所得者の所得代替率がよく、老後の所得として定期的に給付を受け取れるシステムがあり、その他の制度が制定されている。
    例えば、公的年金が老後の生活に十分なだけ支払われているか、老後のための貯蓄は十分になされているか、等が評価対象になる。
  • 持続性 (Sustainability) の項目において高い評価を得ている国では、年金制度に優良なカバレッジ(通常、年金制度の義務化および自動登録などによる)、対GDP年金基金運営資金高比率が達成され、制度の義務化、政府債務が低いことが挙げられる。
    例えば、年金が支払われるのに十分な環境が整っているか、平均寿命と支給開始年齢の関係は良いか、国家の破綻のリスクがなく持続可能なものか等が問われる。
  • 健全性 (Integrity) の項目では、包括的な規制を設け、年金制度のガバナンスおよび政府と国民間のコミュニケーションにおいて数ヵ国が高評価を得ている。
    例えば、年金制度をうまく運用するための見直し機能や透明性が担保されているか、また私的年金のスキーム等が評価される。

「マーサー・メルボルン・グローバル年金指数ランキング(MMGPI)」の詳細・参考資料は以下をご参照ください:


マーサー・メルボルン・グローバル年金指数ランキング(2018)

年度別総合指数によるランキング推移

MMGPI 評価基準表

※各国の制度の総合指数は、3つの項目指数を加重平均して算出している。


マーサー・メルボルン・グローバル年金指数について

マーサー・メルボルン・グローバル年金指数はマーサー社の協力と、豪州ビクトリア州政府による資金提供の下、オーストラリア金融研究センター(ACFS)によって発行されている。また、フィンランド年金センター(The Finnish Centre for Pensions)による財政支援も受けている。

オーストラリア金融研究センター(ACFS)について

オーストラリア金融研究センター(ACFS)は、モナッシュ大学ビジネススクールの非営利研究センターです。ACFSは、最先端の金融及び投資の研究を専門とし、オーストラリアの金融業界のグローバルでの信用を高め、学界と産業界間の隔たりを埋め、金融の実践、研究、及び教育のための国際センターとなっています。
ACFS www.australiancentre.com.au

インベスト・ビクトリア( ビクトリア州の投資促進機関)

インベスト・ビクトリアは、ビクトリア州の輸出機会を増やし、雇用創出や経済成長のために同州への国際的なビジネス投資を誘致するビクトリア州政府の戦略を推進します。
インベストメント・ビクトリアは世界中に22のオフィスを持ち、そのグローバル・ネットワークを通じ、潜在的および既存の海外パートナーに無料で専門的な投資助言と機密のサービスを提供し、投資機会創出や輸出市場への参入を補佐します。 ビクトリア州で投資、事業機会の発掘、研究機関との連携を考えている企業は、インベスト・ビクトリアに詳細をお問い合わせください。
Victoria - The State of Momentum www.tradeandinvestment.vic.gov.au

マーサーについて

マーサー(英語社名:Mercer、本社: ニューヨーク、社長兼CEO:Julio Portalatin) は、組織・人事、福利厚生、年金、資産運用分野におけるサービスを提供するグローバル・コンサルティング・ファームです。
全世界約23,000名のスタッフが44ヵ国、約180都市の拠点をベースに、130ヵ国以上でクライアント企業のパートナーとして多様な課題に取り組み、最適なソリューションを総合的に提供しています。

日本においては、40年の豊富な実績とグローバル・ネットワークを活かし、あらゆる業種の企業・公共団体に対するサービス提供を行っています。組織変革、人事制度構築、福利厚生・退職給付制度構築、M&Aアドバイザリー・サービス、グローバル人材マネジメント基盤構築、給与データサービス、年金数理、資産運用に関するサポートなど、「人・組織」を基盤とした幅広いコンサルティング・サービスを提供しています。
マーサーは、ニューヨーク、シカゴ、ロンドン証券取引所に上場している、マーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズ(証券コード: MMC)グループの一員です。 マーサーについての詳細は、以下をご参照ください:
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マーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズについて

マーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズ(ニューヨーク証券取引所コード: MMC)は、グローバルプロフェッショナルサービスを提供する企業グループとして、顧客企業にリスク、戦略、人材分野の助言とソリューションを提供しています。
マーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズはマーシュ(保険仲介とリスクマネジメント)、ガイカーペンター(再保険仲介・コンサルティング)、マーサー (組織・人事マネジメント・コンサルティング)、そしてオリバーワイマン(戦略コンサルティング)から構成されており、年間総収入140億米ドル超、全世界に65,000名の従業員を擁し、世界各地の顧客に分析、アドバイスを行い、各種取引を支援しています。
当グループは責任ある企業市民として事業展開しているコミュニティに貢献しています。詳しい企業情報については www.mmc.comをご覧ください。

 

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