世界最大級の人事・組織コンサルティング会社マーサーの日本法人であるマーサージャパン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長・鴨居達哉)は、日本における役員報酬に関する市場調査「Mercer Executive Remuneration Guides (以下MERG) 」の2018年版レポートを発表した。
マーサージャパン組織・人事変革コンサルティング部門の亀長尚尋は、 「『日本再興戦略改訂2014』において、「コーポレートガバナンス改革」が成長戦略の最重要課題の一つとして位置づけられて以降、持続的な企業価値の向上にむけた改革が進んでいる。本サーベイにおいても過去最多となる287の企業に参加頂いており、政府の方針や市場の動向に 対する関心の高さを表していると考えられる」と述べている。
近年、日本においては、コーポレートガバナンスに関する関心がこれまで以上に高まっている。特に、有価証券報告書の記載内容を規定する「企業内容等の開示に関する内閣府令」が本年改正され、役員の報酬について、報酬プログラムの説明(業績連動報酬に関する情報や役職ごとの方針等)、プログラムに基づく報酬実績等の記載が新たに求められることとなったのも記憶に新しい。同部門の栄立土志は、「これまでは、親会社役員の指名・報酬の議論が先行していたが、経済産業省主導のコーポレート・ガバナンス・システム研究会においては、『グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針』が新たに取りまとめられ、その中において、グループ企業役員の指名・報酬について言及されている。グループ経営が基本となっている中、今後はグループ全体での指名・報酬に関する検討を行っていく必要がある。検討に際しては、市場のプラクティスや他社事例は非常に有用であり、本サーベイでは、報酬データだけでなく、ガバナンスに関する企業の対応状況やサクセッションプラン(後継者計画)の策定・運用等、時流を踏まえて項目をアップデートしているので、ぜひ活用して頂きたい」と述べている。
調査結果ハイライト
マーサー役員報酬サーベイ(MERG)について
本サーベイの結果からみると、日系企業の役員の総直接報酬は近年おおむね上昇傾向にあるといえる。しかし海外に目を転じると、依然諸外国より低い水準にあることが分かる。今後、グローバル経営を志向する多くの日系企業にとっては、グローバルでの優秀な経営人材の獲得・リテンションを妨げないよう、グローバルで一定の競争力を有する報酬水準を実現していくことが求められる。
役位を報酬決定要素とする場合、社内における序列や位置づけを報酬に連動させることができる一方で、
の2つの理由から必ずしも適切ではない、という課題がある。今後、日系企業でも、社外人材の登用やグローバルでの報酬ガバナンスを考慮した場合、「職務」や「役割の大きさ」を軸とした報酬水準設定が必要になると思われる。
改正内閣府令による開示規制の進展等、報酬決定プロセスの透明性に対する要請が強まる中で、日系の上場企業においても、報酬水準ポリシーを明確に定める企業が多くなりつつあることがうかがえる。
株主との利害共有や中長期的な企業価値向上を狙いとした、役員へのインセンティブ付与の観点から、中長期インセンティブの導入・拡大に対する社会的な要請が強くなっており、導入率は今後さらに高まっていくことが予想される。
昨今の税制改正の議論における譲渡制限付株式の導入促進の流れを受け、株式報酬型ストックオプションや自社株信託スキーム等、日系企業独自のLTIビークルを見直す動きは今後も継続する可能性がある。
2019年1月に実施された東京証券取引所の調査では、補充原則4-10①(独立社外取締役を主要な構成員とする任意の指名委員会・報酬委員会など独立した諮問委員会の設置)に対して、約52%が“comply(遵守)”している。また、諮問委員会を設置していない会社のうち、約30%が検討中としている。このことから、独立した諮問委員会の設置は一般的になりつつある。
日系企業においても諮問委員会の設置はプラクティスとしてスタンダードになりつつあるといえるが、形式要件を整えるだけでは十分ではなく、諮問委員会の目的を定め、いかに活用していくかを十分に検討するなどして、実効性のあるガバナンス体制を構築することが今後の日系企業の課題となる。
多くの日系企業が経営陣の後継者育成を課題だと認識している一方、サクセッションプランニングを実際に実施している企業は約40%に留まっている。事業環境の変化や競争の激化に対応するためには、より競争力と持続性の伴った経営体制を構築する必要があり、体系的で実効性の高い後継者育成の仕組み作りが今後の日系企業の課題となる。
経済産業省主導のコーポレート・ガバナンス・システム研究会において、『グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針』が新たに取りまとめられたことを踏まえ、海外子会社の報酬水準の管理・把握はより一般的になっていくことが予想される。
尚、役員報酬サーベイ(MERG)は2019年にも引き続き実施され、現在参加企業を募集中である。
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