マーサー 『2023年 世界生計費調査(Cost of Living Survey)‐ 都市ランキング』を発表 


2023年6月29日


  • 香港(SAR)が首位、シンガポール2位という結果に
  • 東京は昨年の9位からランキングを10下げて圏外19位へ
  • アジア圏トップ10のうち中国が5都市を占める

 

マーサーの「2023年世界生計費調査(Cost of Living Survey)」によると、香港(SAR)とシンガポールは海外で働く駐在員にとって世界で最も物価の高い2都市である。香港(SAR)は昨年に引き続いてトップを維持し、シンガポールは6つ順位を上げて2位となった。

スイスのチューリッヒ(3位)、ジュネーブ(4位)、バーゼル(5位)、ベルン(7位)の4都市と、米国のニューヨーク(6位)、イスラエルのテルアビブ(8位)、デンマークのコペンハーゲン(9位)、バハマのナッソー(10位)がトップ10入りした。


アジアでは、49都市中9都市が順位を維持または下げた。これには2022年にトップ10入りしていた北京(13位)と東京(19位)が含まれている。また日本の都市は、順位を56下げた大阪(93位)、62下げた名古屋(113位)、65下げた横浜(115位)という結果だった。

本調査について、アジア太平洋地域モビリティリーダーであるトレイシー・マーは以下のように述べている。

「アジア圏においても、シンガポールなど主要な都市の多くでインフレが発生しています。今回シンガポールが大きく浮上したのは主に通貨高に加え、サプライチェーンの混乱や燃料費の高騰によるインフレが原因です。中国本土と日本のほぼすべての都市が、40~60位順位を下げています。その主な理由は、消費が比較的鈍いことと米ドルに対する通貨安です。日本も国内消費が低迷しており、パンデミックからの回復に影響を及ぼしているのでしょう」

2022年に世界経済を形成した主な要因は、2023年になっても影響し続けるだろう。最近、各国で導入された積極的な金融政策とそれに伴う厳格化により、今年多くの国では失業率の上昇とともに所得の伸びが鈍化すると考えられる。多くの国の債務水準は依然として高く、コアインフレ率は多くの市場でまだピークに達していない。インフレと為替レートの変動は、国際的に活躍する海外駐在員の給与や貯蓄に直接影響を与えている。

さらにリモートワークの普及によって、多くの従業員が自分の優先順位を見直し、ワークライフバランスを重視し自分が住む場所について考えるようになった。また、このような背景から多くの企業が仕事の仕組みを再構築する必要性に迫られている。多くの企業、特に厳しい労働市場で事業を展開している企業は、グローバルに分散した人材をどのように管理するかが問われる。

人事リーダーが取り組むべきもう一つの優先事項は、エンプロイーエクスペリエンスを向上させることだ。人材を惹きつけ維持するためだけでなく、全体的な企業のブランディングのためにも重要である。組織は既存のポリシーや慣行を定期的に見直し、その規程が現在の情勢において競争力を維持し適切であることを確認する必要がある。

アジア ハイライト

Mercer 2023 Cost of Living City Ranking – Most and least expensive cities across Asia

上海は12位を維持したものの中国本土のほぼすべての都市が2022年に比べ順位を下げた。これは住宅市場の縮小と賃貸物件の需要減退が原因であると考えられる。しかし全体的に順位が下がったとはいえ、アジアで最も物価の高い都市トップ10のうち、上海(12位)、北京(13位)、深圳(20位)、広州(36位)、青島(55位)の5都市は中国本土の都市である。

東南アジアでは、バンコク(105位)がシンガポールに次いで2番目に高い都市となった。その他、プノンペン(132位)、マニラ(133位)、ジャカルタ(151位)、ハノイ(156位)、ホーチミン(164位)、バンダルスリブガワン(172位)、クアラルンプール(180位)、ヤンゴン(204位)、ビエンチャン(209位)、そして東南アジアで最も安価な都市はジョホールバル(212位)だった。

今回調査対象となったアジアの49都市のうち、パキスタンのカラチ(226位)とイスラマバード(227位)は、アジアでも世界でも、海外駐在員が住むのに最もコストがかからない都市となった。

アジアの全体的な成長予測を踏まえ、企業がこの地域に海外駐在員を派遣する際に考慮すべき点について、マーは次のように指摘する。

「アジアの新興国経済の成長は、2023年に回復力を示していますが、政府は今後リスクを確実に管理する必要があります。パンデミックはアジアの一部の地域経済のサービス業に影響を与えており、それ以前のレベルまで完全に回復するにはまだ時間がかかるかもしれません。国や都市が国際的なビジネスやグローバルモビリティに関わる従業員を惹きつけるために絶えず努力している中、企業は国際間を異動する人材のための柔軟なガバナンス、高い生活の質、妥当な生活費をうまく組み合わせることができる場所を探すべきです」

他の地域におけるランキング

ヨーロッパ

世界トップ10にヨーロッパの5都市がランクインした。スイスの4都市、チューリッヒ(3位)、ジュネーブ(4位)、バーゼル(5位)、ベルン(7位)とコペンハーゲンである。その他は、ロンドン(17位)、ウィーン(25位)、アムステルダム(28位)、プラハ(33位)、ヘルシンキ(34位)だった。

サラエボ(203位)は、ヨーロッパで最も物価の安い都市となった。スコピエ(200位)、クラクフ(190位)、ヴロツワフ(186位)、ミンスク(182位)などが低コストの都市となった。

インド、中東

ムンバイ(147位)は、インドで最も物価の高い都市となった。他のインドの都市は、ニューデリー(169位)、チェンナイ(184位)、ベンガルール(189位)、ハイデラバード(202位)、コルカタ(211位)、プネ(213位)である。

テルアビブ(8位)は海外駐在員にとって中東で最もコストのかかる都市である。この地域で次にコストが高いのは、アラブ首長国連邦のドバイ(18位)とアブダビ(43位)である。リヤド(85位)やジェッダ(101位)といったサウジアラビアの都市もランキングに名を連ねた。

アフリカでは、バンギ(26位)、ジブチ(27位)、ルアンダ(30位)が最も物価の高い3都市となった。この地域では、キンシャサ(32位)とコナクリ(39位)も上位にランクインした。アフリカで最も物価の安い都市はウィントフック(222位)となった。

北米・南米

北米で最も物価の高い都市はニューヨーク(6位)、次いでロサンゼルス(11位)、サンフランシスコ(14位)となった。カナダで最も物価が高いのはトロント(90位)、次いでバンクーバー(116位)、モントリオール(135位)、オタワ(137位)、カルガリー(145位)である。

中南米では、ナッソーが海外駐在員にとって最も物価の高い都市(10位)にランクされ、サンフアン(44位)、ブエノスアイレス(45位)がそれに続く。ハバナ(225位)は最も低く、ボゴタ(214位)、マナグア(201位)と続いた。

パシフィック

シドニー(56位)は、ヌメア(70位)を抜いて太平洋地域で最も物価の高い都市となった。ニュージーランドのオークランド(111位)とウェリントン(139位)は、この地域の海外駐在員にとって最も物価が安い場所となった。

今回のランキングについて

今回発表のランキングはマーサーの世界生計費調査を基に、プレスリリース用として以下の条件で各都市を比較したものです。

  • ニューヨークをベース都市として、ニューヨークを100として各都市と比較している
  • 国際人用バスケットに基づいて、住居費、交通費、食料、衣料、家庭用品、娯楽費用などを含む200品目以上の価格を調査している
  • 調査時期は2023年3月
  • 米ドルを基軸通貨とし、為替レートは2023年2月の平均を使用している

マーサーの世界生計費調査(Cost of Living Survey)

マーサーの世界生計費調査は、世界で最も包括的な生計費調査の一つであり、多国籍企業や政府機関が海外駐在員の報酬・手当を設定する際に利用されています。一般的な物価指数を測るものではありません。400を超える都市で調査を実施しています。

マーサー世界生計費レポート

調査対象都市の個別レポートは、マーサーよりお求めいただけます。派遣元の都市および派遣先の都市を選択いただいた上で、派遣元の生計費を100 とする現地生計費の指数をご提供いたします。
マーサーでは、国籍を問わない一般的な海外駐在員モデル(国際人)の購買パターンを予想し、それに沿った生計費を調査した上で、指数を算出しています。詳細はこちら
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