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少子・高齢化社会

マクロな課題としての少子高齢化は、いわば生活習慣病のようなものでしょうか。今日明日に何か影響が出るわけではなく、このままではいけない、と理解しつつも、具体的な行動に移すことが難しい。現在の痛みの回避、享楽の代償として、将来へそのツケを回す、というところまでそっくりです。

マクロ的な課題の代表例は、労働人口の減少でしょう。

2000年の労働人口(15歳~64歳)と高齢人口(65歳以上)の割合は、1名の高齢者を4名の労働人口で支えるモデルでしたが、このままでは2040年には1名の高齢者を1.5人で支えることになると予測されています。そのため、公的年金や医療といった社会保障制度の持続可能性の観点から、少子高齢化が議論されることが取り上げられることが多かったように思います。

一方、経済成長の観点からも労働人口の減少が課題として認識されています。従来、国や組織の総生産は「生産人口 x 生産性」で量られ、生産性の違いに大きな差が無ければ、人口が多ければ多いほど、その国や組織の総生産は高い、と考えられてきました。そのため、労働人口を将来に亘って維持するため、職場における女性の活躍の促進や高齢者の雇用継続等、官民それぞれ様々な施策を打ち出しているのは周知のとおりです。

一方、ミクロなレベルでは既に様々悪影響が出始めているように思われます。

まず、いま最も活発に議論されているのは、高齢社員の雇用継続に伴う「リスキル」の問題と思われます。

2013年の高齢者雇用安定法の改正に伴い、60歳定年を設定している企業においても、定年後の継続雇用を希望する者については、この機会を提供することが求められるようになりました。「年上の部下問題」や「部下無し管理職問題」など、高齢者の雇用継続に関して多くの企業で課題を抱える中、年々高まる変化のスピードに対応する「リスキル」は、その中でも益々重要になってくると予想されています。「リスキル」に対する心理的な抵抗は何も高齢者に限った話ではないと思われますが、多くの企業の実情としては、高齢社員の再教育に悩まされているというのが現実のようです。

もう一点、ミクロなレベルで課題に挙げられるのが、優秀な若年層の獲得と引き止めと思われます。ただでさえ、少子化に伴い新卒世代の人数が年々減少する中、いかにして優秀な人材に選んでもらうか、そして定着してもらい価値を発揮してもらうか。人材の流動性が益々加速する中、もはや市場ベースの価値を正しく認識して、適切に報いる報酬体系を考えないことには、せっかく採用した優秀人材をみすみす手放すことにもつながりかねません。特に、多くの企業でテクノロジーの活用を掲げる中、年次や年齢というメトリックではない、職種に応じた市場価値を意識した報酬体系が求められると考えられます。

生活習慣病もいずれは痛みを伴います。将来命取りになるかもしれない課題に、そろそろ向き合ってみませんか?

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執筆者: 奥平 剛次(おくひら たけつぐ)

年金コンサルティング部門リーダー プリンシパル 日本アクチュアリー会正会員・年金数理人