上昇を続ける海外現法福利厚生保険 - コンサルタントコラム708 | マーサージャパン

コンサルタントコラム 708

上昇を続ける海外現法福利厚生保険コストへの対応

マーサーでは毎年2月に、MERCER MANAGEMNET FORUM を行っており、まさに先ほど全てのセッションが終了した。私は、リーダーズセッション1として「上昇を続ける海外現法従業員福利厚生保険コストへの対応」1というテーマで講演をしたのだが、まだ熱がさめないうちに、このメルマガで主な要旨をご紹介したい。

海外に1万人以上の従業員を擁する日本企業では、海外拠点が加入する「従業員福利厚生保険(死亡保障、後遺障害補償、就業不能補償、健康保険、医療保障を指す)」を、「見える化」する動きが急速に広がっている。その背景には特に「医療費」コストの大幅な増加があると言われており、日本人の駐在員向け医療保険をご担当されている方はご存じのとおり、医療費コスト増が毎年平均15パーセントといった例や、年間保険料よりも支払医療費のほうが多いいわゆる赤字の医療保険が増えているのが実情だ。

では、これらを何の対策もとらずに放置した場合どうなるのか? 図1を参照願いたい。今回のセッションで最もお伝えしたかったことの一つは、グローバルでの保険料コストの推移予測である。医療保険を含む福利厚生保険は国によって多少の相違はあるものの、概ね5~10%程度、毎年保険料が上昇する。
それを1万人が海外で働く場合の平均的な年間保険料を30億円と仮定すると、2020年には36.4億円と20%以上のコスト増になる。しかもこの予測は人数が1万人で増えない前提で、である。

今回のセッションで、マーサー・マーシュ・ベネフィッツ(以下MMB)では、二つのソリューションを提案した。一つは、国際プーリング制度の活用により国際配当金の拡大を図るソリューションである。プーリング制度は、航空会社のマイレージに似ており、一言でいえばそれぞれの国でプーリングに参加している現地保険会社に契約を寄せることで、スケールメリットによる国際配当金獲得を目指す制度である。ただ、この仕組みを持っているだけでは国際配当金はなかなか増えないのだが、MMBはグローバルベースで国際配当金を増やすために提供可能なサービスとその結果のコスト削減効果を実例でご紹介した。ざっくり言うと、プーリングに新たに出せた保険料の5~10%は国際配当金が出る換算となっている。

もう一つのソリューションは、国際保険ブローカーとしてのMMBの能力を発揮することで、社員数の多い特定の国の福利厚生保険制度を「ハーモナイゼーション」することによる現地保険料の削減効果である。ある日本企業で中国に約50拠点、20,000名の社員を擁するケースで、このハーモナイゼーションの手法によって年間保険料が20%超、削減した。保険制度のハーモナイゼーションというと、現地拠点からの反発が強いと思われがちだが、完全に一つの保険制度に統合するのではなく、「松竹梅」といった複数の保険プランの中から現地法人が希望するプランを選択することにより、無理のないハーモナイゼーションを目指したのが大きな特徴である。

MMBの目指す方向は、欧米の多国籍企業が目指す「中央集権型のコスト削減史上主義」ではない。「現地法人を尊重しながらコストコントロールを行い、本社と現地法人間でWIN-WINの関係を構築する」ことである。
セッション後の質問で、1万人以下の人数でも可能なのかというものが複数あったが、極端な話、2,000名~3,000名といった企業に対しても何らかのソリューションの提供は可能となっている。
ご興味のある方はぜひ一度、マーサージャパンのホームページにアクセスしていただければ幸甚である。

1) 2月26日開催「マーサー・マネジメント・フォーラム2016 Session 1: 上昇を続ける海外現法従業員福利厚生保険コストへの対応」講演資料より、「世界的なヘルスケアコスト上昇の背景」のスライドを無料ダウンロードいただけます。