ベネズエラのインフレ率が2006年のジンバブエに並ぶ見通し - コンサルタントコラム 716 | マーサージャパン

コンサルタントコラム 716

ベネズエラのインフレ率が2006年のジンバブエに並ぶ見通し

IMFによると、ベネズエラの2016年の消費者物価の上昇率が720% となることが予測されている(World Economic Outlook Apr. 2016)。
720% とは、ハイパーインフレーションに見舞われ2009年に自国通貨を放棄したジンバブエの2006年の水準と同じであると言う。

原油輸出に依存するベネズエラ経済は、近年の原油価格の下落により、外貨収入の急減に見舞われ財政が急激に悪化している。
その中で今年の2月、ベネズエラのマドゥロ大統領は通貨ボリバルの切り下げを発表した。
同国に3つあった為替レートを2つ(CENCOEXとSIMADI)に集約。
生活必需品(食料や医薬品等)の輸入に適用される公定レート(CENCOEX)を6.3ボリバル/ドルから10ボリバル/ドルへ変更し、実質的に37% の切り下げを実施したほか、生活必需品の輸入以外の為替レートを変動相場制(SIMADI)に移行した。

マーサーでは、現在、最も多くの企業で採用されている海外駐在員給与決定方式である「購買力補償方式」に基づき、任地生計費を算出するための「生計費指数(派遣元を100とした場合の任地生計費を表す指数)」などのデータを提供している。
この「生計費指数」について、「国際人世界生計費レポート」のベネズエラの首都カラカスを見ながら、実際のベネズエラのインフレを見てみることにしたい。

「国際人世界生計費レポート(カラカス)」について、2014年秋季版(2014年9月調査)と2015年秋季版(2015年9月調査)を比較すると、総合指数(平均対平均)では、前年比 +172% (現地通貨ベース)となっている。

「国際人世界生計費レポート」では、総合指数以外にも、カテゴリ別の指数や、調査品目の価格が公表されている。
カテゴリ別に見てみると、例えば「電話・水道・電気・ガス」が前年比▲0% (現地通貨ベース)と、大きな変化が見られない一方で、「アルコール飲料・タバコ」が前年比 +426% (現地通貨ベース)、「外食」が前年比 +308% (現地通貨ベース)となっており、カテゴリによりインフレに偏りがみられる。

また、個別品目で見てみると「自動車・公共交通機関」の中にある「ガソリン(1L)」は、変化率が前年比 ±0% となっている。

ベネズエラのインフレ率は総じて高くなっているものの、庶民の生活に直結するようなガソリンや電気、水道等の価格については、政府により上手くコントロールされてきたことが、「国際人世界生計費レポート」から伺える。

このように「世界生計費レポート」では、総合指数の他に、カテゴリ別の指数や、調査品目の価格が公表されているので、購入されている企業の方々は一度詳しくご覧になって頂くと面白いと思う。

ちなみにマーサーがよく受ける質問として、この「生計費指数」の変動が任地の「消費者物価指数(CPI)」の変動のイメージと合わない、というものがある。

これは、マーサーの「生計費指数」が海外駐在員の任地での購買力を補償する目的で、調査品目・店舗を選定し物価調査を実施しており、「消費者物価指数(CPI)」の調査品目・対象店舗とは一致しないことや、住居費、教育費については、一般的に企業が負担するものとして、「生計費指数」の算出項目からは除外している等の理由で、両者の動きは必ずしも一致しない、ということにご注意いただきたい。