本国生計費と自然対数 - コンサルタントコラム 724 | マーサージャパン

本国生計費と自然対数 - コンサルタントコラム 724

コンサルタントコラム 724

本国生計費と自然対数

海外派遣者報酬の決定方式として、欧米を始め日本を含む多くの多国籍企業において、本国の購買力を任地でも補償する購買力補償方式が、最も多く利用されている。

この購買力補償方式により海外派遣者の任地生計費を算出する場合、弊社が提供する「生計費指数」と「本国生計費」を掛けて決定する必要がある。この「本国生計費」をどのように決めるかであるが、こちらについても弊社が提供する「本国生計費データ」をご利用いただくことが可能である。

弊社では、「本国生計費データ」を、本国年間給与に応じたテーブルの形で提供しているが、弊社のICSサービスでは、この「本国生計費データ」を、本国給与の関数の形でも提供させて頂いている。

この関数は、自然対数というもので表わされているが、自然対数という言葉が耳慣れないという声も頂くので、本稿ではその特徴も含めて解説することとしたい。

「本国生計費」は「本国給与」の関数となっており、以下の方程式で表される。

本国生計費関数: Ln y = Ln A + B × Ln x ・・・(1)

  • x: 本国給与
  • y: 本国生計費
  • A、B: 弊社が提供する変数

上記式の Ln とは自然対数を表している。
自然対数とはオイラー数 e (= 2.71828 18284 59045 23536 02874 71352 …)を底とする対数である。

まず対数について説明すると、x が定数 b の y 乗(x = b y )として表される場合において y は x の関数となるが、この時 y を「b を底とする x の対数」と呼び、y = Log b x と書き表す。・・・(2)

例えば、y = Log b x について、b = 2、x = 8 とすると、y = 3 となる。

自然対数に戻ると、自然対数とは e を底とする対数であるから、Log e x と表記することもできる。しかし、通常は e を省略して、Log x か Ln x のように表記される。

次に自然対数関数 y = Ln x ・・・(3) の形状を見てみよう。

横軸を x 軸、縦軸を y 軸とする y = Ln x のグラフは、以下のようになる。

x = 1 の時、(2)より、y = Ln x は、x = e y と表せられ、1 = e y となる y は 0 であることから、y = 0 となる。同様に、x = e の時、y = 1 となる。

自然対数関数の形状を見ることができたので、本題の本国生計費関数の形状を見てみることにしたい。

(再掲) 本国生計費関数: Ln y = Ln A + B × Ln x ・・・(1)

  • x: 本国給与
  • y: 本国生計費
  • A、B: 弊社が提供する変数

ここで、式(1) について、A = 3、B = 0.5 とすると(1) のグラフは以下のように表される。

このように、自然対数により表される本国生計費関数により、本国給与 ( x軸) の増加に従って、本国生計費 ( y軸) が上昇していくが、本国給与が増加する程には、本国生計費は増えない関係として表すことができる。

また、「本国生計費データ」では、家族人数に応じた変数を提供している。
上の例では、変数A、Bを、「A = 3、B = 0.5」と置いたが、「A = 3.2、B = 0.52」、「A = 3.4、B = 0.54」と置いたグラフを以下に示す。

このように変数を変えることで、異なる形状のカーブを描くことができる。一般的に家族人数が増える程、生計費が増える関係にあると思われるが、「本国生計費データ」で提供している家族人数別の変数により、家族人数に応じた本国生計費の計算が可能となる。

給与と生計費の関係を、自然対数を用いて表現できることがとても面白いと思うが、この本国生計費関数はどのようにして推計しているかという疑問が残る。次回コラムでは、本国生計費関数を推計する上で使用されている回帰分析という手法等について解説したいと思う。

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