健康寿命と幸福度 - コンサルタントコラム 731 | マーサージャパン

コンサルタントコラム 731

健康寿命と幸福度

リオオリンピックが閉幕し、日本は金メダル 12、銀メダル 8、銅メダル 21 を獲得し、国別順位で第 6 位と健闘した。いろいろと問題が指摘されてはいるものの、次回 2020 年の東京オリンピックでの日本人の活躍が楽しみなのは筆者だけではないだろう。特に、自由形や 400 メートルリレーといった日本人の体形では不利と思われる競技での躍進には、隔世の感がある。昔に比べると日本人の体形もずいぶん大型化したので、当然といえば当然かもしれないが。

話は変わるが、先般、世界保健機関 (WHO) が、2015 年時点の各国ごとの平均寿命の順位を発表した。

男女合計では日本が 83.7 歳でトップ、次いでスイスの 83.4 歳、シンガポールの 83.1 歳と続く。いずれの国も医療施設の発達したある意味医療先進国であることは偶然ではないだろう。

しかし筆者は「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」である健康寿命をもっと重視すべきだと考えている。WHO の調査では、日本人の健康寿命は男女合計で 74.9 歳。先ほどの平均寿命との差が 8.8 歳なので、単純に考えると何らかの病気を抱えながら生きる期間が、約 9 年あるということになる。医療技術の進化による恩恵なのだろうが、病院嫌いの筆者からすれば、9 年も病院通いをするのかと暗澹たる思いがする。

厚生労働省の施策の一つに「健康日本 21 (第二次)」というものがあるのをご存じだろうか?

平成 25 年度から 34 年度までの国民健康づくり運動を推進するもので、基本方針は以下の 5 つとなっている。

  1. 健康寿命の延伸と健康格差の縮小
  2. 生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底
  3. 社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上
  4. 健康を支え、守るための社会環境の整備
  5. 栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙、歯・口腔の健康に関する生活習慣の改善及び社会環境の改善

そのための具体的な目標は下表のとおりである。

基本的な方向
具体的な目標の例
(括弧内の数値は現状)
目標
1) 健康寿命の延伸と健康格差の縮小
・ 日常生活に制限のない期間の平均(男性70.42歳、女性73.62歳)
・ 平均寿命の増加分を上回る増加
2) 生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底
・ 75歳未満のがんの年齢調整死亡率の減少(84.3 (10万人当たり))
・ 73.9(10万人当たり)
 
・ 最高血圧の平均値(男性138mmHg、女性133mmHg)
・ 男性134mmHg、女性129mmHg
 
・ 糖尿病合併症の減少(16,271人)
・ 15,000人
3) 社会生活を営むために必要な機能の維持・向上
・ 強いうつや不安を感じている者(10.4%)
・ 9.4%
 
・ 低出生体重児の割合の減少(9.6%)
・ 減少傾向へ
 
・ 認知機能低下ハイリスク高齢者の把握率の向上(0.9%)
・ 10%
4) 健康を支え、守るための社会環境の整備
・ 健康づくりに関する活動に取り組み自発的に情報発信を行う企業数の増加(420社)
・ 3000社
5) 栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙、歯・口腔の健康に関する生活習慣の改善及び社会環境の改善
・ 20~60歳代男性の肥満者の割合(31.2%)
・ 28%(自然増から15%減)
 
・ 食塩摂取量(10.6g)
・ 8グラム
 
・ 20~64歳の日常生活での歩数(男性7841歩、女性6883歩)
・ 男性9000歩、女性8500歩
 
・ 生活習慣病のリスクを高める量(1日当たり純アルコール摂取量男性40g、女性20g以上)の飲酒者割合の減少(男性16.7%、女性7.4%)
・ 男性14.0%、女性6.3%
 
・ 成人の喫煙率(19.5%)
・ 12%
 
・ 80歳で20歯以上の歯を有する者の割合(25%)
・ 50%

 

この内容を見て、読者はどのような感想を持つだろうか?

健康寿命を伸ばすために行政や関係機関ができることとしては、まず妥当といえるだろう。5 つの基本的方向に対応して、さらに 53 項目にわたる具体的な目標が実際には設定されており、関係部門の意気込みが感じられる。

その一方で、国連が発表する「世界幸福度報告書 2016」では、世界で「最も幸せな国」にはデンマークが 1 位、スイスが 2 位、以下アイスランド、ノルウェー、フィンランドと上位の多くを北欧諸国が占めている。残念ながら、日本は 53 位と決して高いとはいえないランキングである。

このランキングの主な要素は次の 6 つの指標である。

  • 「一人当たりの国内総生産」
  • 「社会的支援」
  • 「健康寿命」
  • 「人生における選択の自由」
  • 「寛容性」
  • 「政治やビジネスにおける汚職のなさ」

「幸福度」という抽象的かつ個人差のあるものを、データ分析で語ることの是非はさておき、「健康寿命」をさらに伸ばすことが少なくとも「幸福度」ランキングを高めることに繋がることは間違いないようだ。

また「健康寿命」を伸ばす取り組みに関連しては、日本経済再生本部でも「世界最先端の健康立国を目指す」プロジェクトを推進しているので、ご興味のある方は下記を参照されたい。

日本再興戦略 2016

オリンピックのメダリストは、総じて、目標達成のために食生活を含めて相当ストイックな生活をしているとインタビューで答えていた。遅まきながら筆者も「健康寿命」を伸ばすために、日々の生活改善を図るべきなのかもしれない。それが「幸福度」につながるのかどうかは若干心もとないが。