組織人事のアナリティクスの近未来 - コンサルタントコラム739 | マーサージャパン

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コンサルタントコラム 739

組織人事のアナリティクスの近未来

アナリティクス、ビッグデータ、コグニティブの時代、組織人事の分野にはどんな可能性があるのだろうか。本稿では、"アナリティクスの近未来" をテーマに、アナリティクスに関する企業のチャレンジやデータの活用可能性をご紹介したい。

アナリティクスという言葉が出ると、一足飛びにアナリティクスが人の代わりを務める、というような話に発展し、その状態のメリットデメリットに議論が波及するケースを見かけることがある。(一部の分野を除き)人の作業がアナリティクスにとって代わられるまでには、まだ年月を要するに違いないが、人の意思決定や判断のサポートや人の発想に刺激を与えるという目的に対しては一定の役割を果たしているケースとして2つの事例をご紹介する。本稿が、アナリティクスを未来の夢の話ではなく、少しでも身近なものとして自社における活用余地を思い描くきっかけとなれば幸いである。

1. 人材採用 - 自社に適した人材かどうかの適性診断をゲーミフィケーションとモデリングを用いてサポート

ゲーミフィケーションとは、「日常生活の様々な要素をゲームの形にする」という「ゲーム化」(gamefy)から派生した言葉で、社内業務や顧客サービスにゲームで使われている技術やメカニズムを取り込むことで、行動を促すことである。人材の採用にこのゲーミフィケーションションツールを用いて、候補者の行動特性から適正を診断し採用や配置の判断に活用する、といった取組みは既に実験~運用段階にある。例えば、予め社内で各事業・セグメントの高業績人材を対象に実施したゲームの結果や履歴をインプットに自社への適性判断モデルを構築しておき、採用対象者のそれをモデルに重ねて得られた分析結果を採用や配置の意思決定に活用することで採用の品質や効率の向上が見込まれる。

2. 組織編成・人材配置 - ソーシャルネットワーク分析を活用してパフォーマンスを最大化する組織や組合せパターンを提案

作業工程が明確に決まったバケツリレーではなく、チームワークを重視するタイプの機能においては、チームパフォーマンスを高める組織作りは組織人事に関わる重要なテーマのひとつである。人材配置を決める際には、年齢や職位、経験年数やスキルレベルなどの測定可能な項目はもちろんのこと、各個人のキャラクターや相性など定性的な要素に対しても配慮を要する。むしろその方が大切という方もいるかもしれない。これにデータアナリティクスを活用する取組みとして、企業内外のソーシャルネットワークデータ(メールやチャット等)分析が挙げられる。ソーシャルネットワークの中のデータを用いて、組織上の上下関係や業務上の関係を超えた個人・組織間の相互作用、ビジネスパートナーや顧客との相互作用のパターン等を分析する。

分析結果から、パフォーマンスを最大化する人材の組合せや、既存の分析では可視化されてこなかったキーパーソンや、高パフォーマンスを生む組織のコミュニケーションパターンを見出し、組織活性化や人材の組合せのヒントを得ることを目的としている。

どんなアナリティクスも、データそのものや活用実績が蓄積され認知されるまでは、マユツバといわれるリスクを抱えている一方、取組み始めなければその蓄積や学習も始まらないのも事実。本稿でご紹介する内容は、過去にご紹介した「3x3のパターンから見る『データアナリティクス』と組織・人事分野における活用事例」「人事のアナリティクス初級編: 海外子会社のワークフォース見える化とベンチマーク」と比べるとリアリティには欠けるかもしれないが、ここ数年の技術進展のスピードを思えば、これらが現実になる日もそう遠い未来ではないと考えている。