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大は小を兼ねるか ? 確定拠出年金制度等の動向

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大は小を兼ねるか ? 確定拠出年金制度等の動向
Calendar2014/08/21

外にいるだけで汗が噴き出る時期になり、いよいよ夏が来たのだと実感する。夏といえば花火大会等の祭が多く、日本中が活気に満ち溢れている光景をニュース等で連日目にする。筆者がまだ子供の時、近所でやっている祭りに行くと「一掴みで取れたお菓子はどれだけ取っても袋に入る限り料金は一緒!頑張ってたくさん掴んで入れてください!」と声を張り上げる露天商の方を毎年見かけよくチャレンジしていた。

小さい頃は手が小さく、一掴みで掬える量も少なかったので袋には余裕で収まっていた。しかし、体が大きくなるにつれ一掴みの量が袋の容量を超え、掴んだお菓子を全部入れることができなくなった。たくさんのお菓子を掴んでいるのに、袋の大きさに制約されて全てを入れることができない。「もう少し袋が大きければ良いのに」と思ったことを今でも覚えている。

企業年金に話を移すと、企業型確定拠出年金制度(以下、確定拠出年金制度をDC (Defined Contribution pension plan))の掛金拠出上限を引き上げる政令が先般公布され、他の企業年金制度を持たない場合の上限が51,000円から55,000円(他の企業年金がある場合は半額)に変更されている。拠出上限を超える分を仕方が無く前払い退職金として支払っている企業にとっては朗報となった。掛金は税控除され、年金資産の運用収益も非課税であるため、企業型DCにできるだけ多く掛金拠出をしたいと思っている従業員にとってもメリットが大きい改正である。
ニュースレター 第21号: 確定拠出年金の拠出限度額引き上げについて

会社から従業員への付与額が給与に依存している場合の、付与額と拠出上限の関係を簡単に考えてみる。新卒入社時は給与が低く、付与額が拠出上限未満で全額を企業型DCに拠出できる。しかし、経験を積んで担う役割が大きくなり給与も上がっていくと付与額が拠出上限を超え、全額拠出したくてもできないということが生じ得る。お菓子を掴む手が大きくなりすぎると、掴んだ全てを袋に入れることができなくなる。お菓子を入れる袋と同様に、「拠出上限が大きければ良いのに」と思うことになる。

個人型DCの拠出上限は今回の法改正では見送られているが、個人型DCについても最近動きはある。今年の1月から始まった少額投資非課税制度(NISA)に類似したものとして注目を浴びたことからか、厚生労働省公表数値によると2013年の個人型DC加入者数の増加は過去最大となっている。個人型DCも企業型DCと同様に節税メリット等の恩恵を受けることができ、年金制度の普及を担うものである。注目を浴びている今こそ、こちらの拠出上限の引き上げについても近い将来の実現に期待したい。
厚生労働省 DCの規約等数推移

厚生年金基金制度の将来的な廃止によって確定給付企業年金(以下、DB (Defined Benefit pension plan))とDCは受け皿として活躍することは間違いない。近年の企業年金制度の目まぐるしい変動の流れをそのまま引き継ぎ、今後も多様化する年金制度のニーズに応じ様々な改正・緩和が行われることは必至であろう。

その中でも特にホットな話題として、第7回社会保障審議会企業年金部会(7月25日実施)で検討課題に挙がった「DB・DCの特徴を併せ持つ制度」に筆者は注目している。制度内容・税制の整備等は今後詰められるようだが、双方のデメリットをうまく相殺する制度が可能となれば、会社・従業員間のリスク分担を今まで以上に柔軟に扱える。国の年金の財政検証結果が公表されたばかりで未だ盛り上がりを見せる時期にこの検討課題・・・今後も年金関係の報道等から目が離せない!
厚生労働省 第7回社会保障審議会企業年金部会 資料


荒木 啓太

執筆者: 荒木 啓太 (あらき けいた)
年金コンサルティング アソシエイト コンサルタント

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