異文化適応への備えは十分か - コンサルタントコラム 773 | マーサージャパン

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異文化適応への備えは十分か
Calendar2017/09/22

ちょうど本コラム執筆中に、サッカー男子日本代表がオーストラリア代表に勝利し、2018年ロシアワールドカップへの出場が決定した。気がつけば、最近の代表選手はその大半が海外のチームに所属する選手から選ばれている。男子日本代表が初めてワールドカップに出場した1998年フランス大会当時の代表選手は、全員がJリーガーで、海外で活躍する選手は一人もいなかったことを思うと、隔世の感がある。今後、海外の主要リーグで攻守の中心となるようなプレーヤーがより増えてくれることを、いちサポーターとしては願っている。

さて、日本人プレーヤーが海外で成功する為には、少なくともサッカーのテクニックやフィジカルにおいて海外一流プレーヤーと遜色ないレベルにあることが必要であるが、それ以外にも、移籍先の国や都市での日本と異なる環境下の生活に馴染んでいくこと、現地住民との円滑なコミュニケーションの為に、現地語の習得に努めることなどが非常に重要であろう。

しかし現実には、海外に移籍してもカルチャーギャップの影響から、現地生活に馴染めず苦労している選手の話や、結果的に短期間で日本に帰国することとなった選手の話などを、しばしば報道等で見聞きする。

そして当然ながら、これらのことはサッカー選手に限った問題ではなく、一般のビジネスパーソンについても同様のことが生じ得る。

実際に、マーサーでコンサルタント業務に従事していると、ビジネスのグローバル化を進めるクライアント企業から、「海外赴任中の社員から、異国でのカルチャーギャップに起因する心身のストレスを抱え、業務に支障が生じかねない状況になっている等の相談を受けることがある。本社としてはどのように対処すべきか。」というようなご質問をいただくことがある。

残念ながら、そのようなケースに対する唯一明快な回答は用意できないため、クライアントである企業に対しては、他社の事例等を引き合いに出しながら、赴任者に最大限寄り添った対応をしていただくよう求めているところである。

いずれにせよ、海外でのビジネスや生活には相応のリスクが付きまとうことには異論の余地は無い。それら海外生活に伴うリスクをゼロにすることは出来ないが、リスクを少しでも減らし、結果的に海外でのビジネスを成功へと近づけるために、赴任者や会社が行うべきことは何であろうか。

赴任者としては、今後は今まで以上に、赴任先でのビジネス慣習や生活に必要な情報を正しく理解し、また自らと赴任先の典型的な人々とのカルチャー特性のギャップを知った上で、そのギャップを埋めるために必要なトレーニングを行っていくことが求められる。

そして会社側としては、海外赴任者をしっかりと支援するために、赴任者毎のカルチャー特性(海外経験の有無、ストレス耐性等)をきちんと把握し、異文化適応に向けたトレーニングを継続的に実施する体制を充実させていくことが、望ましいと考える。異文化環境下でのビジネスや生活のために必要な情報を、会社側が適切に赴任者に提供していくことも求められるであろう。

また最近は日本企業においても、日本人を中心とした日本から海外への異動のみならず、海外現地スタッフや現地幹部の日本への異動や三国間異動(海外から海外への異動)が活発化してきており、企業がカバーすべき海外赴任者の範囲が増大している。

これら外国人も含めた広い意味での海外赴任者達が、異文化を理解し自らを適応させていくために、企業側としてどのようにサポートしていくのか。更には海外赴任者のみならずその家族も含めて、赴任前・赴任中・帰任後のいずれのタイミングにおいても、異文化適応のための適切なサポートが出来るのか。これらは今後、特に日本企業にとってはGlobal Mobility(国際間人事異動)戦略におけるより大きなテーマとなるであろう。

現在の日本の多くの企業は、必要なサポート体制の整備に向けた試行錯誤の段階であろうと理解している。今後の企業側の更なるサポート体制整備に向けたご尽力が、より求められているとも言えよう。

蛇足ながら、マーサーでは、異文化生活における必要情報を各国毎に提供し、また異文化適応のためのトレーニングをいつでも手軽に行えるCULTURAL TRAINING PASSPORT™(カルチャルトレーニングパスポート)というWebツールをご用意している。ご関心のある方は、弊社担当コンサルタントまでご一報いただければ幸いである。


岡田 馨

執筆者: 岡田 馨 (おかだ けい)
プロダクト・ソリューションズ シニア コンサルタント

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