買収価格を正当化するだけの高い業績を、日本企業はどのように担保するか。 組織・人事の観点から、クロスボーダーM&Aにおける「経営」と「経営者」の諸問題を解説。
買収直後は、多くのケースで現経営者をリテインし、間接統治を行うのが、良くも悪くも日本企業の現実である。その際は、1) リテンションの構造は要するに間接統治であるから、親会社からのコントロールをしっかりと行って間接統治の品質を高めること、そのうえで、2) 組織の独立性は維持しても経営的には一枚岩である「経営統合」を確立すること、さらに、3) 必要時にレポーティングラインを組み替え、買収先を買い手の内部に取り込む組織統合をタイムリーに行うこと、の3点が依然として重要である。
本書では、コントロール確立と経営統合を分化して、統合の全体像をわかりやすく整理する。さらに、最初を上手にやるための経営者オンボーディングという概念を提唱し、統合の行き着く姿と時間軸や手法の選択肢を示し、間接統治の完成度をいかに高めるかを論じる。また買収時に敷いたリテンション構造に終止符を打ち、レポーティングラインを組み替えて買収先を内部化する組織統合や、M&Aの全体における人事部門の役割と動きについても、紙幅を割いて論じる。
「買収の前提となる考えが間違っていた」「買収価格がどうにも高すぎた」といった大失敗さえ慎重に避けるならば、多くのM&Aで本当に注意すべきは、いつの間にか、そこそこの業績(あるいはそれ未満の悪い業績)からどうにも抜け出せない「長い道」に入ってしまうことだ。但し、入ってしまったことに気が付けば、そこから出る方法はある。医療の現場とは違って、PMIに挽回不能の手遅れはないものと考えている。
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