C-Suite Talk Live 第60回 クルーズ株式会社 (2/4) | マーサージャパン

C-Suite Talk Live 第60回 クルーズ株式会社 (2/4) | マーサージャパン

C-Suite Talk Live 第60回 (2/4)

クルーズ株式会社

GUESTS:
取締役 プライスレス/社長室/経営戦略 担当管掌役員 対馬 慶祐さん

“オモシロカッコイイ”をツクル

西田 その社長が語るビジョンというのは例えばどういったことですか。

対馬 例えばですね、その切り口として最近もよく言っているのが、「適材適所適者(社)」という事です。世間でいうタレントマネジメントみたいなことですが、本当に得意なものをやらせる、褒めれば人は伸びるというよりは、“褒められるようなミッションやポジションを与えられるようにする”にはどうしたら良いかということに重きを置いています。

西田 場を与えるだけでなく、結果がでるような環境まで整えてあげるということですね。そこまで踏み込むのは素晴らしい。

対馬 ビジョンに関しては、小渕との会話のキャッチボールの中でキーワードを拾い出して詰めたのですが、大そうなものを掲げるのではなく、もうちょっと身近なもの、おもしろいだけでもかっこいいだけでもダメで、やはりおもしろくてかっこいい会社にもしたいし、そういうコンテンツも作りたいなというコンセンサスが出来上がっていきました。ソニーのウォークマンやアップルの製品が出てきた時は、凄くかっこよかったし面白かったじゃないですか。僕らは製造業じゃありませんが、やはりああいうものを作りたいというのは昔からありました。

西田 会社のステージが上がることで視座が高くなり、いろんな切り口が生まれ、ビジョン化がされていったのですね。

対馬 会社にNHKのプロジェクトXのDVDがあって、ソニーがウォークマンを作った時のものなどを、たまにみんなで見るのですが、やはりいいなぁと。インターネットのコンテンツって利便性もありますけど、こういうものを作れる可能性もあるのではないかと・・・。ですから、今やりたいのは本当にそこなのですよね。

西田 “オモシロカッコイイ”をツクルための指針として揚げているFLAG、CREW、MASTにはどう繋がるのですか?

対馬 入社したら渡すキットの中に、キーワードが書かれたボードがあります。船の用語になぞらえているのですが、FLAGはプロダクトを作るときのヒントにしようと言っているボード集です。MASTも船のマストとかけているのですがクルーズのカルチャーを読み物風にしたものになります。CREWは会社で働くメンバーに対して求める素養をまとめています。

西田 まさに、ストーリー仕立てになっているので腹に落ちやすいですね。ところで、「適当社内恋愛禁止」というのもあるようですね。

対馬 はい。本気じゃないのは駄目ということです。クルーズが大切にしている文化の一つに、「自分の家族を働かせたい場所であること」というのがあります。だから仲間を傷つけるようなことはやめてねっていうことですね。なので、真剣に結婚を前提に社内でお付き合いする場合は全力で応援します。

カルチャー伝承のために

西田 会社としての指針みたいなものは、創業時はある程度の人数なので守られているのでしょうけど、急激に人が増えるとどうしても薄れてしまいますよね。これはどの会社でも経験することですが、それをどう乗り越えるかについて対馬さんにアイディアはありますか?

対馬 はい。一つは新卒採用だと思っています。今、中核をなしているのが2007年入社の新卒社員です。新卒社員はスキルも大切ですが、むしろカルチャーにコミットして入ってきている人が殆どじゃないですか。なので、昔ちょっと新卒採用を抑制した時期もあったのですが、今年来年あたりはかなり採りに行くと思います。カルチャーが維持できていたり、その意識が高い企業ほど、新卒採用に重きを置いていると思います。

西田 新卒採用の活動を通じて、徹底的に会社の上位概念などをPRして刷り込みながら、それに共鳴した人を採ることで、入った段階で既に良い意味でカルチャーが伝承されているということですね?

対馬 そうですね。そこは一つ狙っていますね。あとは中途採用の場合も、耳障りの良い言葉だけを並び立てるような中途半端な露出は避け、実際に中ではこんな厳しいこともあるなど、包み隠さず開示するのが一つの方法だと思いますね。

西田 大手人材会社のアンケート調査で社風No.1になられたのですよね。実際にどのような工夫をされたのでしょう?

対馬 はい、例えば結構僕らの業界は夜遅くなることが多いのですが、他社に先駆けて22時までしか働けないという制度を作ったりするなど、他社がなかなかやっていないところに手を出して広報していったのが、インパクトとして大きかったのかもしれないですね。

西田 理想であることはわかっていても、現実的な影響を考えると踏み出すのには勇気が必要ですね。

対馬 はい、最初は躊躇しましたね。でも、1回やってみようという感じでやってみたら、案の定売上も落ちなかった。

西田 落ちなかったのですか?

対馬 はい。現在も、繁忙期のプロジェクト等で22時以降まで仕事する例外はありますが、8割くらいは本当に帰っていますね。時間を制約することで、今まで24時までやっていた仕事をどうやったら22時までに終わらせるかという風に頭を使うようになりました。仕事の効率化もそうですが、これまで手作業でやっていることをシステム化してボタン一つで出来るようにしたり。

西田 ルールとして追い込めば創意工夫が生まれるのですね。

対馬 もう一つの施策としては、四半期に一度ある社員総会で、ビジョンを体現する中で本当に活躍した人を表彰しています。

西田 褒めるということですね。

対馬 そうです。褒める切り口もいろんな切り口からいろんな褒め方をします。

西田 例えば?

対馬 業績に貢献した人ももちろん褒めますが、ちょっとした手伝いをしてくれた時に「ありがとうメダル」を渡せる制度があって、たくさんメダルもらった人を表彰します。あとは、他の部署からでは分かり難い専門的な凄い成果を自慢できる「すごイイネ」というシステムがあり、なぜ凄いかの説明を書いてボタンを押すと、社内の随所に設置されているモニターにバーンと出て、みんなで拍手を贈ります。

西田 ヤマト運輸さんにも「満足バンク」という相互に褒め合うシステムがあって、普段、なかなか日の当たらない人もこれで発掘して褒めているのですが、上手くいっている企業ほど本当に良く褒めていますね。他社事例をそのまま真似るのもありますが、自社内の必要性に基づいてこうした仕組みが生まれてこそ魂が宿った良い施策になりますよね。

対馬 ちょっと前からそこは思っていて、色んな人事制度を聞いたり本を読んだりしながら参考にさせていただくのですが、制度そのものを同じように導入しても意味がなくて、やっぱりその制度を作るまでのプロセスが大切だと思います。

西田 おっしゃる通りですね。

対馬 だから、人事制度って、うちも色々やっていますけど、所詮人事制度なんですよ。福利厚生制度もそうですが、そのもっと手前のどこに本質的な課題があって、それをどうやってきちんと迅速に抽出して解決していくかという方がよっぽど重要だと思っています。だから、他社が何人でどんな風にやっているかという運用体制にはあまり興味ないですね。

西田 本質が理解できていれば、運用をコピーする必要もなく、むしろ、そうすることが無意味であることもわかる。

対馬 はい。私が尊敬しているサイバーエージェントの曽山さんから教えて頂いたのですが、サイバーエージェントさんの有名な「ジギョつく」も新規の事業を作ることだけが目的ではないんですよね。新規事業を提案しやすい雰囲気が醸成されればそれでOKというもうひとつのゴールがあったりするわけじゃないですか。だからやっぱり会社によってカルチャーも違いますし、中で働いている人も違いますし、あとは業種業界も違う訳なので、参考にするのはとても良いことだと思いますけど、まるまるコピーしても何の意味もないと思います。

西田 新卒採用での刷り込みと褒める仕組みの他に何かありますか。

対馬 ちょっと強化していかなきゃと考えているのは教育、育成系ですかね。自部門の中では、「活育」という言葉をキーワードに使っています。

西田 これは具体的にはどういうことですか?

対馬 教えることは手段であって、活躍するように育てることを本質的な目的とする、という意味合いで使っています。教育=座学研修や実戦形式のOJTも当然必要なのですが、スキルや経験を身に着けさせたうえで、どの部署の何のミッションで一番その人が活躍できるか、一緒にやるチームメンバーとの相性はどうか、何年後にどういう人材に育てあげたいのか、その人の得意不得意を見極めて、そこから逆算して活躍できる環境を総合的・多角的に作っていくという感じですね。

 

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