C-Suite Talk Live 第60回 クルーズ株式会社 (4/4) | マーサージャパン

C-Suite Talk Live 第60回 クルーズ株式会社 (4/4) | マーサージャパン

C-Suite Talk Live 第60回 (4/4)

クルーズ株式会社

GUESTS:
取締役 プライスレス/社長室/経営戦略 担当管掌役員 対馬 慶祐さん

逃げない決意

対馬 いえ、極論言えば、実はクルーズでしか通用しない人事でもいいとのかなと思って。今、僕はこの会社の人事で少なからず活躍できているという自覚はあります。そこはやっぱり小渕と昔から関係が築けていたり、うちのカルチャーを凄く理解しているとことが結構大きいと思っているのですが、人事になると決めたときに、一つだけ決めたことがあります。それはうちの会社を辞めないということ。

西田 自分からは辞めないということですね。

対馬 最初は人事の仕事が全く分からなかったので、何をして良いのか分からないじゃないですか。それで、今出来ることはなんだろうなと思った時に、それしかないと腹くくりました。入ったばかりの頃って本当にきつかったんですよ。会社がまだ創業期で、全然家に帰れないし、とにかく激務で。入社当時は続けられないかもと思ったことも正直ありましたが、人事をやるとなった瞬間に僕は小渕からもう辞めてくれと言われたら、明日にでも辞められる覚悟はできているけれども、そうじゃない限りは、このクルーズという会社を自分からは辞めない、そう決めたんですね。

西田 すなわち、逃げないと。

対馬 そうですね。やっぱり採用を初めてやらせて頂いた時もそうですし、人事制度を設計した時もそうですけど、僕らの業界だと転職しながらスキルアップをすることは一般的で、それ自体を否定するつもりは全然ありませんが、人生をかけて転職してきてくれる人がいたり、先日やった家族参観日で社員のお子さんの姿を見たりすると、そこで人事が逃げ腰になっては本当に良い会社なんてできないし、働いている方が幸せにはならないなと思って、それだけは決めました。

西田 それは対馬さんの軸の1つですね。

対馬 だとすると、自分が一生居なければいけない会社だから、何かここ嫌だな、と思うことがあれば変えざるを得ないじゃないですか。また明日も明後日も当然会社に来るわけですから、そこでもやもやしながら働いていたらつまらないし、だったら変えてやろうと。お陰様で今そういうことをやらせていただける立場にいるので。この業界は参入障壁が低い、倒れるのも早い。常に僕らは変化しまくってきています。

西田 本当にその点は、業績推移を見ていると右肩上がりで、上場後、一度も赤字転落無くいっていますでしょう。これは変化しまくっている証拠ですよね。

対馬 中は大変なんですけど(笑)。そこですかね、やっぱり。変化のスピードで勝つというのは優位性に繋がると思っていますし、最近何よりも、創業したての会社と比べると、2001年からやってきたという経験値は大きいですね。失敗も沢山してきていますが、その分経験値化して、色んな施策に繋げられています。今までも何回か大きな転換期はありましたよ。

西田 人材ビジネスを売却したりネット広告事業から脱却して、コンテンツ事業やEコマース事業に注力する、そういった意味ですね。

対馬 そうです。元々ネット広告事業をやっていた時代があって、広告事業は薄利多売で、自社でコンテンツ、メディアを作る方が収益性が高いということで広告事業を全部やめました。すごい売上は出ていましたけれど。

西田 そうでしょうね。収益の源泉でしたよね。

対馬 広告の営業マンを全員プログラマーにするって言って(笑)。ただ、広告の営業が好きな人も当時たくさんいたので、広告の営業はもうさせてあげられないから、その場合はうちの中で開発者になってもらうか、どうしても辞めざるを得ない人には、その時は俺が推薦状を書くからさ、と社長が言って。

西田 ああ、そこまで。

対馬 ここでこれだけ売上が出ているのでしがみついてしまうとか、ここはやったことが無いからなんとか慣れているここで勝負しよう、ということになっていたら、今考えたらまずかったかもしれないですね。

西田 今後の御社の展開としては、まだまだマーケット的に日本はポテンシャルがあるのかもしれないですけど、海外展開について人事的側面からどのように考えていらっしゃいますか?

対馬 今の段階では現地で人をたくさん雇って開発を進めるというところまではあまり考えていないですね。当然現地の人にも受け入れられるようなカルチャライズしたものを作らないといけないのですが、それが必ずしも現地で現地の人を雇って開発しなければならないかは、まだ見極め中です。今の戦略では例えば米国向けのものを、米国のカルチャーを理解している米国籍のスタッフ中心のチームが日本で作ったり、現地のカルチャーをよく知っている現地の開発会社と提携して作ったり、後はマーケットとしては最低限の人員を各拠点に置いておいて、広告宣伝をするときに現地を使って配信するとか。そういうエコなグローバル体制を敷きたいなというふうに思っています。

西田 現地化ありきにどっぷりお金をかけるのではなく、コンテンツは日本発で、売り方とゲームのローカライズ、カルチャライズを現地の様式でやる、そういうような感じですね。

対馬 そうですね。あとは、まだ日の目を見ていないけど非常に優秀なゲームを作っている会社さんがあった時は、僕らがパブリッシャーとしてライセンスをお借りして、僕らの名前で僕らの会社のゲームとして売り出していくとか。

西田 あるいはM&Aしたり。

対馬 直近の決算発表資料でもあったように注力することは、M&Aと資本提携を強化をしたいという話と、あとは今まではMobageさん、GREEさんといった日本のプラットフォームにゲームを提供していましたが、今後は、Google PlayとかApp Storeというところにも注力していきます。海外はすごく意識していますね。真の“オモシロカッコイイ”をツクルには、世界で通用するプロダクトなしでは実現できないので。

誇りをプレゼントする

西田 それもかっこいいですよね。ところで、対馬さんは次の10年間は何をしたいと考えていますか?

対馬 )この10年間、およそ普通のサラリーマンでは全然経験できないようなことをやらせてもらってきました。未上場の会社に入社してそこが上場して、株式売買代金で日本一になるという。それこそ、本当にこの10年間はプライスレスだったと思っていますし、本当に良い経験をさせてもらったなと思っています。ただ、この10年は社長におんぶに抱っこで、タダ乗りさせてもらったみたいな部分が少なからずあるなと思っているんですね。だから次の10年は僕がやりたいなと思っています。

西田 なるほど、かっこいいなあ。

対馬 売上や会社の規模で世界一になるとかじゃなくて、今の僕らのビジョンは本当に“オモシロカッコイイ”を創って、私たちがこれを作ったんだとか、私今この会社にいるんだっていう“誇り”を、社員だったり、社長にプレゼントしてあげたいなという気持ちが本当に凄く強いです。割と人事の仕事っていうのはそういうことが出来るポジションなのかな、という気はしますね。

西田 誇りを創り上げるサポートができるということですね。

対馬 究極的にはそれもやっぱりプロダクトが無いと、達成はできないので。やっぱりそういう誇りあるプロダクトを作れるようにするためのことを全方位でサポートしてあげられるのが人事の仕事じゃないかなと。

西田 それは素敵ですね。

対馬 いや、本当は単に恩返ししたいだけですよ、社員と社長に。一昨年に入院していた時に、もしかしたら生死に関わるかもしれないと言う時があり、一般的には「もう会社のことは気にしなくていいからいくらでもゆっくり休めよ」という話をしてくれると思うんですけど、小渕は「何やってるんだよ、早く帰ってこいよ、お前がいないと凄く大変だよ」とずっと言ってくれていて。僕は社会に出てからそんなに長期間休んだことが無く、本当に戻れるのかな、自分がいなくても回る会社を考えるとやっぱりちょっと怖いな、という思いはありました。そんな中でも、お見舞いにきて、「対馬この件なんだけどさ、お前どう思う?」と相談されるのは凄く嬉しかったですね。その一方では、やっぱり体調のことを誰よりも気にしてくれていて、僕に気を使わせないようにしっかりと休職期間や就業時間の融通をきかせてくれたり。でも、早く戻って来てという話をいつもしてくれていましたね。

西田 それが究極の激励ですものね。

対馬 そうですね。僕の手術の日に、なんだか他の患者さんや看護師さんがざわついていて、窓の外を見たら社員や社外の取引先の人たちがたくさん来てくれていて、人文字で「ガンバレ」と作ってくれていたりして。嬉しかったですね、本当に。僕は本当に人生かけてこの人たちに恩返ししたいなという気持ちはその時さらに強まりましたね。おかげさまで今はこうして完全復活できました。

西田 僕はそのような経験は無いので本当の意味では分からないですけど、生きるか死ぬかという瀬戸際に立たされた時に、きっと何のために生きているのか、働いているんだろうと考えるわけですよね。

対馬 本当はまったくそういうタイプじゃないんですよ。尊敬する人は高田純次と言うぐらいで(笑)。高田純次だったらどう考えるか、と思うほど適当なので、全然そういうキャラじゃないんですけど、不覚にも考えてしまいましたよね。そんな時に、僕がやりたいことって何だろうと考えたときに、それなんですよね、シンプルに。

西田 生死をさまよう経験をされた中で、本当に何が自分にとって大事なのか、誰のために頑張りたいのかということに気づかされるということがあったのでしょうね。

対馬 大きかったですね、割と。人間の感情って複雑なようですけど、でも実はすごいシンプルじゃないですか。だから、僕なりにアカデミックな文献読んでみたり、勉強もそれなりにするんですけど、なるべくシンプルに考えたいですよね、人事の仕事っていうのも。

西田 そろそろお時間になったようです。今日はたくさんお話をお聞かせ下さりありがとうございます。人事に携わっている皆さんはもとより、特にこれからベンチャーを立ち上げようとする方、その支援をしようと思っている方など、非常に参考になったのではないかと思います。

対馬 こちらこそ、西田さんと話して改めて自分の考えていたことがまとめられたような気がします。このような機会をいただきありがとうございました。

 

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