C-Suite Talk Live 第64回 株式会社ワーク・ライフバランス (3/4) | マーサージャパン

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C-Suite Talk Live 第64回 (3/4)

株式会社ワーク・ライフバランス

GUESTS:
代表取締役社長 小室 淑恵さん

国際女性ビジネス会議で人口オーナスをベースに課題を整理

小室 はい。大きくとらえて今後の国家戦略として労働時間法制については、労働時間の規制をまず決めた上で労政審に渡していく必要があります。数年のうちに介護世代のニーズが飛躍的に拡大し、私たち団塊ジュニア世代の女性が出産適齢期を終えることを考えると、このままの両立困難な社会のまま10年、20年経った頃の日本は国としての力も大きく損なわれていくと思います。このままでは2100年までには4900万人になっていると言われています。今の半分以下です。これまた大きな話なのですが、それでも急ぐんだって言い続けるしかないっていうところで私たちは戦っています。

鴨居 一方で、現在の企業の中核をなしている人達が人口ボーナス期の成功を自分で体験してきている人たちですから、私も例外ではないですが、その方達の意識を変えていくってことがひとつの大きな流れになっていくんですかね。

小室 去年の7月にこの人口ボーナス期、オーナス期に注目をしたプレゼンテーションを、安部総理も出席された国際女性ビジネス会議の基調講演で行いました。すごく驚いたのは、その人口ボーナス期、オーナス期で整理してお伝えしたときの経営者の方の反応が今までにないものだったんです。ご自身の成功体験を強く持ちながらも、それがどうして再現できないのか、自分達の体現してきたことと現在の社会が違うのかっていうことについて、ご自身の中での整理がついていない中で模索していらっしゃる経営者が大変多く、プレゼンテーションを通じてその課題を明確に意識されたという変化を感じました。
日本の人口ボーナス期は60年代半ばから90年代半ばまでのたった30年のことなので、その30年に経済も急成長し、環境が良かったということなんです。このたった数十年の成功体験にとらわれているほうが大きなものを見失うことに気づき始めた経営者が多くなってきているのを感じます。



鴨居 少し視点を変えて生産労働人口の推移を見ていくと、もっと働ける、働きたいっていう中高年の方たちをどう活用させていくのかも重要な視点になります。一方で、企業がとっている政策は、年齢が一定までいくと給料を減らして、そこに実力主義を入れて、どちらかというと効果的な活用というより中高年のモラルを阻害するようなことをしているわけです。働く意欲を持つ中高年の方々の働く環境をどう整理していくのか。お子さんを抱えながらも働きたいという意欲を持っている女性の方達をどのように取り入れていくのか。理想的にはそこに外国人の方達をどう取り入れていくのか。そういう形で労働の総量を上げていきながら、かつ、先ほどのように生産性を向上していく必要があります。例えば、中高年の方達には昔のようにフルフルの時間では働けない、別のことをやりたいという意向を持つ人も多くいます。そのような場合には副職や時短勤務を認めることも含め、決められた短い時間の中で効率的に働くことが、全ての部分につながる原点になるのではないでしょうか。

小室 本当にそうですよね。365日24時間出勤していろと言わんばかりだったり、メールの返事が2日来ていないことに怒るビジネス文化なので、全ての仕事をそれぞれの一人に属人化させる仕組みを見事にかちっと作ってしまっているわけです。その中に、60歳を越えても仕事に参加していたいって人たちを入れようとしても、さすがに身体的に長時間労働はできないんですよね。一人一人の時間は有限で、かつ体調を崩すこともあるので、7人いたら5人で稼動できるところをイメージして対応できるモデルを前提として置くと、この課題も解決してくると思います。女性も高齢者も活用する機会が広がりますし、また外国人に必要なところでその能力を発揮してもらうこと、あるいは障害を持った方に在宅勤務してもらうこともできるようになり、一気に様々な呪縛から解き放たれますね。余裕がある企業の綺麗ごとではなく、リスク管理しながら生産性を徹底的に高めていく手法なのです。今のビジネス文化は実にもったいないなと思います。

鴨居 働き方を変えていくコンサルテーションをされている中で、上手くいくケースとなかなか言いづらいかもしれませんが期待するように変わっていかない企業がいらっしゃるのではないかと思うんですが、御社によるコンサルテーションで効果的に働き方が変わり、業績にもプラスの方向になる企業には何か共通の特徴はありますか。


小室 企業の特徴はそれぞれの事情で違うので一概に言うのは難しいのですが、私たちはいつも朝夜メールという仕組みを最初に入れさせていただきます。毎朝、自分達の仕事内容を15分単位でブレイクダウンして上司同僚にメールで共有し、夜にどこがずれた要因だったかという振り返りをして上司同僚全員にメールで共有するという仕組みをコンサルティングをしてきた900社全部に導入してきたんです。この朝夜メールをやったあと、そこから見えてきた課題を抽出し、働き方見直し会議を2週間に1回程度やって、そこで決めた施策を実施するというすごくシンプルな仕組みになっています。この朝夜メールを「うちにはそぐわないからやらない。」っていう風にするとですね、働き方見直し会議のときに出てくる問題点っていうのが、外的要因ばかりになります。上司が仕事を振ってくる、取引先がひどい、国の制度がひどいというような(笑)。

鴨居 他責にするわけですね(笑)。

小室 朝夜メールをやらないと、内的要因に目を向けるという一番嫌なことをしないんです。いくつかの省庁にもコンサルに入らせていただいていますが、どこも最初は「9割は永田町のせいだ。」って言うんですよね(笑)。要するに国会マターが多くて、それによって忙殺されてしまうんだから自分側を見直しても無駄であると。朝夜メールって、ちょっと地味なんですけれども、ちゃんと廻していただくと内的要因が見えてきます。これがのちのち重要になるのは、内的要因を発見して自分達の働き方を自分達で変えようとしている人を見たときに初めて、人事や役員が会社のシステムをもうちょっと変えなきゃって言い始めるんですよね。当初、役員の方は「あいつらが効率が悪いんだろう」って思っていたのに。
私が見事だったなと思うのは、建設コンサルティング会社のケースです。国土交通省を相手にビジネスを進められており、8割が3月末納期の仕事であったため、3月は繁忙を極める働き方を皆がしていて、4月はその反動が来ていました。その繫閑の大きさによってすごくロスが多く、心身を病む人も多く出ていたという状況です。しかし、朝夜メールを基盤とした自己分析などの結果、取引先の理解も必要だと言う方向につながり、こうした取り組みを見た社長が「自分が国交省に行って交渉する。」と言ってくださって。私も連れて行かれたんですけど(笑)。
実際に訪問してみると、国交省の方も、自分達も実は繁忙期に体調を崩す人が出てしまっているとおっしゃってくれまして、国交省も巻き込んで、年度末に工期を集中させないように平準化された発注計画にするような動きにもつながったんです。そういう働き方ができるようになって、社員の方は計画的に仕事をこなし、時短にも取り組めた結果、忙しさの中で後回しにしがちな新しいイノベーションを起こすような技術の勉強を皆さんできるようになりました。一番大きな変化としては、資格保有者がものすごく増えたんですね。

鴨居 生産性の向上から、自己研鑽の時間をたくさん取れるようになったわけですね。

小室 はい。勉強ができるようになり、資格保有者が増えると、入札できる案件も増えて、より高利益の高い案件に入札できるというサイクルになり、業績も非常に好転されました。

鴨居 なるほど。朝夜メールもそうですけれども、計画的にきちんと自分の活動を見直すことで無駄を省くという自分でできることと、組織だってやらなくちゃいけないことと、それから今おっしゃったように、活動の枠組みが取引先だとか納入業者さんですとかとチェーンでつながっていくようになると、確かに広がりは出てくるでしょうね。

 

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