C-Suite Talk Live 第64回 株式会社ワーク・ライフバランス (4/4) | マーサージャパン

C-Suite Talk Live 第64回 (4/4)

株式会社ワーク・ライフバランス

GUESTS:
代表取締役社長 小室 淑恵さん

2016年女性活躍推進法案

小室 一方で、非常にハードワークの方が多いある会社でご支援をさせていただいた例も象徴的でした。この会社では長時間残業も恒常化されていたのですが、優秀なチームを評価する制度に労働時間の上限を条件として入れたんですね。誰か一人でもそれを超えると評価の対象外になるので、みんながお互いの労働時間を見るようになって。どうしてこんなに残業になっちゃっているのということを関与し合って。今までは個人商店化していたのが、ノウハウを共有することで残業を最小限してチームで成果を出す形になりました。また、有給消化のパーセンテージも下限を決めたら、3月末に協力して「あの人休ませないと。」と仕事を引き取るように意識が変っていきました(笑)。

鴨居 それは、すばらしい変化ですね(笑)。

小室 「あと3日とれていない!」「3月28日から休んで!みんなで何とかするから」みたいな感じで皆に言われてですね。そのようにやっていくと、結果ノウハウ共有が進み、ちゃんと休める人が出てくるようになります。休日出勤が86%削減、深夜労働が68%削減と劇的にメリハリもついてきて。

鴨居 サイクルが出来ているってことですよね。

小室 一番象徴的だったのが、その会社で女性従業員が出産した子どもの数が1.8倍になったという点です。みんながちゃんと時間内で成果を出して評価されるってことが分かってきたときに、育児中の女性も時間内で頑張れば評価されるって気持ちになったんですよね。そういう人たちがむくっとやる気を起こして勝負に出たら、期の前半で予算を達成して後半ハワイ旅行に行ったりする人が出て(笑)。それを見た後輩女性たちは、時間内で成果を出せばちゃんと評価されるならば子どもも持ちながら働きたいという意欲も向上したのです。

鴨居 そうした成功例をお聞きしていると、時間が短い中できちんと働いて成果を出していくということは、今までよりも実力が明確に出る厳しい環境になっていくという風にも思えますね。今までは長く働いてなんとなく成果を出していれば「良く頑張ったよな。」とも言われたのに、短い時間の中で同等以上の成果を出していく環境では、仕事の仕方を考えて生産性をかなり向上させる必要もありますし、周囲の人たちへも効果的に影響を与えていく必要もあり、真の実力が発揮される場ですよね。

小室 そうですよね。8時間一本勝負なわけです。営業が非常に強い金融系の会社では、4年くらい前から営業支店全部19時退社っていうのを徹底されていらっしゃいます。それを始める前、その会社では資格保有者数が業界最下位だったんですが、19時退社を徹底した直後から、資格取得に皆さんすごく力を入れられるようになりました。時間内でお客様を説得しきらなければいけないですし、19時以降対応していなくても、お客様がやっぱりあの人に頼みたいと信頼を置いていただける専門性を作ることが必須になってきたわけです。まさに、真の実力での勝負の場におかれ、専門性をつけるために資格取得の勉強を進める環境が出来、いまや一躍、業界で資格保有者は最多になりました。このように学ぶことに時間を投資していくと、その成果は継続性が出て来ます。生涯学習をしていくことが、生産性の高い会社を作ろうという思いとセットになってくるのではないかと思います。

鴨居 時間の関係で最後の質問になりますが、このC-Suite Talk Liveは人事関係の指導的立場にある人たちに閲覧していただいていますので、読者の方達に向かってのメッセージも含めて今後の活動の展望をお聞かせください。

小室 今国会で通過する見通しの女性活躍推進法案について少しお話したいと思います。女性活躍推進法案って実はものすごく大きな内容が入っていて、2016年の春から300人以上の企業は、平均残業時間・女性管理職比率・女性役員数・男女の離職率と勤続年数の差をすべて公開することが義務化になるんですね。これは多分5、6年前でしたら企業側が買い手市場でしたので、大したインパクトではなかったかもしれませんが、現在売り手市場である中でそれらのデータが一覧化されてリクナビやマイナビを通じて開示されることになります。
企業側は開示された時点から対応してももう数字は変えられないので、女性の役員は何人なのか、管理職率は何%なのかなど、来年の春に表示される数字を今から作る必要があります。例えて言うならば、人口ボーナス山は沈下していっていて、人口オーナス山は隆起していっているわけですから、対応が遅れれば遅れるほど、人口ボーナス山からオーナス山へ乗り移るのが非常に困難になり、移行のコストがかかるようになります。どれだけ早いタイミングで飛び移れるのかが勝負となります。
私自身のチャレンジとしては、政府の委員会などで、ドイツをもう少し見本に考えを変えていくことが必要じゃないかと思っています。ドイツは最近大きな決断をして、労働省の大臣が夕方5時以降はメールサーバーを止めるかもしれないという話を始めています。そしてそれをフォルクスワーゲンに試運転させたりしているんです。ITの利便性から仕事場にいなくても精神的ストレスにさらされるのが今の社会の特徴であって、こういうことに対しての対策を国レベルで取り、労働力人口が減る中で健康な状態で働ける人をキープする方向に舵を切り始めています。日本以上の少子化になったことのあるドイツが、欧州の優等生として今復活してきているわけなので、こうした取り組みのスタディをちゃんと日本が学べるかどうかが重要なことだと思っています。

鴨居 今日はお忙しいところ、貴重なお時間をいただき本当にありがとうございました。非常に示唆に富み、かつ、具体的なお話が聞け、大変に参考になりました。私たち自身も行動していかないといけないと強く感じました。

小室 こちらこそ、ありがとうございました。 鴨居さんもぜひ、こうした点について色々な場面で声を出していただき、そうした活動が広がっていくと大変に嬉しく思います。


 

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