C-Suite Talk Live 第66回 早稲田大学大学院 (3/4) | マーサージャパン

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C-Suite Talk Live 第66回 (3/4)

早稲田大学大学院 アジア太平洋研究科

GUESTS:
教授 ロバーツ グレンダ(ROBERTS Glenda S.)さん

中高年へのスキルアップ機会提供

鴨居 次に視点を変え、今度は高齢化についてご意見を伺わせてください。これも日本にとって非常に大きなテーマです。

ロバーツ はい。

鴨居 昨年マーサーでは世界経済フォーラムの中のテーマの一環で、中高年の方々の職場での活用をどう進めるかについて共同調査を行いました。日本では高齢化の問題は喫緊の課題ですし、生産労働人口の推移からも、中高年の方々に活き活き働いていただく環境を作ることは企業にとっても重要なテーマになります。ある会議でご一緒させていただいた東京大学の高齢社会総合研究機構の教授が、昔の60歳が今の70歳、つまり10歳くらいは肉体的にも精神的にも若く、したがって随分昔に決めた定年の年齢制限を守るのではなく、65歳~70歳くらいまで働く意欲を持った方たちには働ける環境を作っていくべきだというご意見をおっしゃっていらっしゃいました。 企業側もこうした状況を受け、中高年の方たちの活躍の場を作ることに注力を始めていらっしゃいますが、残念ながら一部では一定の年齢に達すると役割を制限し、「あなたの役割は以前とは異なりますので」と給料も減らし、成果主義を徹底するなど中高年の人達にしてみると、むしろ働く意欲を掻き立てられない環境が出来てしまっているところもあります。国別に見ると中高年の方の給与水準が高く、企業の大きな負担になっていることの一面では日本の特長にもなっていますが。 そうした分析を踏まえ、マーサーでは中高年の方たちの活用のためのリ・スキル、アップスキルの機会を作ることが必要という提言をレポートにまとめました。

ロバーツ リ・スキルがキーワードですね。

鴨居 はい。中高年の方の多くは、企業業績が右肩上がりで成長する環境で仕事をされてこられました。キャリアへの意識も、事業成長をしている会社が準備したキャリア・シナリオを着実に歩んでいけば自身の成長も得られ、連動してお給料も上がっていくという経験をされた方が多く、「あなたの力で次は何をやりますか」と急に言われても、なかなか即応できない人もいらっしゃいます。リ・スキルとあわせて気持ちの上でのリセットアップが非常に重要になります。 アメリカでは98年に労働力投資法を連邦法として設定して、州は職業訓練をきちんと責任として負いますと決めていますよね。日本はまだ中高年の活用というのは企業の責任においてやっている面が強いかと思います。

ロバーツ 今行っている研究の中で、2003年から今まで同じ会社で働いている既婚女性を追究調査しています。そういう方たちの状況を見ると、ある会社では中高年の従業員にビジネススクール、週末の授業や夜の授業を受ける機会を提供しています。経営企画スキルをつけるコースなど、色々と面白い授業内容があります。会社として別に昇進の資格のような位置づけではなく、彼女達にスキルを身につけてもらうためにそうした学校での授業に出る機会を提供しているわけです。私はこれはすばらしい取り組みだと思います。彼女たちの意識も明確に変ってきて、一層今は仕事をする意欲が沸いてきたと言っています。当然ですよね。こうした機会を得て視野が広がり、自分の仕事にも生かせるわけです。その話を聞いて、彼女たちの会社は本当に社員のことを考えているんだなと思いました。とても彼女達を輝かせています。長く同じ会社、同じ環境で仕事をしてきた人たちにとっては、リフレッシュのいい機会にもなっています。

鴨居 今おっしゃっていただいた例のように、中高年の方達が週末のビジネススクールに行く、そこで会社が補助を出すというのは、それもひとつのリ・スキルの機会提供です。会社が用意したキャリア・シナリオを歩んできた人達が立ち止まって今のように新しい知識を得る、あるいはビジネススクールの生徒の中には若い人達もいるでしょうから、その人達と一緒にケーススタディをやることで刺激を受け、さらに一層視野が広がっていく機会になりますね。多くの方にそうした環境を公平に提供することは出来ないでしょうが、いい試みだと思います。先ほども仕事への意欲とおっしゃっていたように、まだまだ5年、6年は仕事を継続して活き活きと活躍してみたい、そのためには今まで身につけてこなかった新しいスキルや知識が自分では必要だということに気がつく場所になっているということですね。

ロバーツ 彼女たちの場合はイノベーションの創出、クリエイティブ・シンキングなど、色々な授業をとっています。労使関係も勉強しているそうです。

鴨居 やはりそういうことをやれば新しいことにチャレンジしようとする意欲がわいてくるってことでしょうね。

ロバーツ はい。顔がきらきらしているわけですよ。おっしゃるとおり、色々な人と出会えますしその刺激もありますしね。同じ会社の人としか交際のない人であれば特にそうなんだと思います。会社だけなく政府も、助成金等の仕組みを作ってこのような中高年の方々の勉強の機会をもっと提供してほしいですね。

 

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