C-Suite Talk Live 第66回 早稲田大学大学院 (4/4) | マーサージャパン

C-Suite Talk Live 第66回 早稲田大学大学院 (4/4) | マーサージャパン

C-Suite Talk Live 第66回 (4/4)

早稲田大学大学院 アジア太平洋研究科

GUESTS:
教授 ロバーツ グレンダ(ROBERTS Glenda S.)さん

外国人の活用-”Meet in the middle”という視点

鴨居 そうですね。最後に日本企業にとっては一層ハードルが高い課題だと思いますけれども、外国人の活用、特に先生が今テーマにされているような移民の受け入れについてお話を聞かせてください。

ロバーツ これからは、日本の企業も公的機関も考え方は随分変わると思います。変わらざるを得ないですね。今はダイバーシティといえば女性と中高年の活用にはなっていますが、労働力が圧倒的に足りなくなります。もう手遅れだ、とまでいう人口学者もいます。とにかく今の段階から考えないとだめです。短期滞在とか短期の契約だけではなく一緒に日本の未来を作っていく人たちを受け入れるような心構えが必要です。未熟練労働者(アン・スキルド・レイバー)の人達の手も借りる必要があります。彼らの知恵を活かして一緒に新しい日本を作ろうという発想がないと、いつも悲観的な「移民いらない」というような見方になり、それでは前向きな発展になりません。

鴨居 そうですね。意識的にはそうした側面はありますね。

ロバーツどういう風に仕事上、様々なスキル、経験レベルの人たちをうまく構成させるかが重要な課題です。どちらかからの一方通行ではなくて、日本の方も考え、彼らも考え、双方平等な立場で考えを整理していく“Meet in the middle”という視点が重要です。現状は双方に警戒感があるように感じています。 

鴨居 今、先生は政府の委員としてこのエリアで活動をされていますが、政府の意識、あるいは外国人に実際に仕事を提供する企業の意識も先生の目から見て変化を感じますか。

ロバーツ 少しずつ変ってきていると思います。特に今、高度人材に関しては、政府は受け入れましょうと強く行っているわけですね。会社も受け入れようとしているとしています。私たちの研究科の外国人の学生も大勢、内定をもらって日本の企業で働いています。20年前とは全然違います。例えば以前は、看護学校を卒業した外国人は自国に戻らないといけない、という日本の仕組みがあったのですが、最近は制度変更があり、看護学校を卒業した人達は日本人の看護師と同じテストに合格すれば日本にずっと仕事をしていけるようになりました。あえて言えば、それは英語では“No-brainer”、つまり当然なことではあるんですが、そうした見直しがなされています。少しずつではありますが確実に変化がいい方向で起きています。

鴨居 日本では、そうした海外の方たちからのサービスなどを実際に受け入れる消費者側の心理的な抵抗も乗り越えていく課題かと思います。日本が不自由はないけれど母国語ではない看護師さんと日本人の看護師さんがいたとしたら、気持ち的にはやっぱり自分が見てもらうなら日本人の看護師がいいなあという日本人のマインドセットがまだ強いように感じるのは、私自身がバイアスをかけているのでしょうかね。

ロバーツ はい。でもそれは仕方がないですけれど、実際に労働力が足りなくなっていく中では乗り越えていくべき課題です。日本語がきちんと話せるロボットの方がいいですか?そんなことは絶対にないですよね。新聞とかメディアを通じたPRも、もっとやっていくべきだと思います。外国人の労働者がどれほど日本の社会に貢献してくれているかアピールしないといけないですね。

鴨居 たしかにその通りですね。

ロバーツ 残念ながら今までほとんどそうした取り組みはされていません。「外国人だから」とか「日本語がそれほど上手ではないので」というような心理的抵抗はアメリカにもあります。アメリカでは主に移民者が介護などを支えています。そういう方たちに助けていただき、徐々に信頼関係が築かれていきます。日本だけ特別というわけではありません。

鴨居 明らかに労働人口が減っていくわけですから。女性を活用する、中高年の人を活用する、日本人以外の方の労働力、活力も活用していくことでしか将来は作れないという意識付けは一般の社会に対してもう少し訴えていかないといけないですね。

ロバーツ ええ。とくに高齢化していく日本において、介護の部分はそうした海外からの若くて新しい力が必要です。

鴨居 若い人でないと出来ない仕事がありますからね。先ほどおっしゃたように短期的に労働力として受け入れるというよりは、これからの日本の未来を一緒に作っていくという気持ちを共有できるかどうか、大きなテーマですね。

ロバーツ そうですね。でも必ず意識の共有はできます。たとえば、外国人の保育士とか幼稚園の先生を受け入れてもいいと私は思うのですが。私が一度政府の方にその提案をしたときにはびっくりされました(笑)。「いや、それはちょっと」って。外国人の先生をそんな若年層のクラスに受け入れると、若年層への日本の文化の意識付けが出来なくなるという意見をお持ちでした。

鴨居 偏見があると議論の中に妙なハードルを作ってしまう傾がありますね。

ロバーツ 本当にその通りです。

鴨居 最後になりますが、このC-Suite Talk Liveは企業経営者の方たちに多くお読みいただいているものです。経営者の読者の方に何かお伝えしたいことがあれば最後にメッセージとして。

ロバーツ そうですね。将来を恐れずどんどん柔軟性のあるやり方を受け入れて欲しいと思います。

鴨居 経営者が変化に対する勇気を持つということでしょうか。

ロバーツ 勇気を持つ、そう思います。明らかに変化を起こしていかないと成長がないわけですから、偏見を捨てリスクの面ばかり見ず、もっとオープンで新しいやり方を考えてほしいです。

鴨居 わかりました。今日は貴重なご意見をたくさん聞かせていただき本当にありがとうございました。

ロバーツ こちらこそありがとうございます。とても楽しい時間でした。


 

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