C-Suite Talk Live 第1回 株式会社ニューオータニ 代表取締役CFO 川野 毅さん | マーサージャパン

C-Suite Talk Live 第1回 株式会社ニューオータニ 代表取締役CFO 川野 毅さん

ライブラリ / 「経営×人・組織」視点の対談 C-Suite Talk Live / 第1回(1/4)

Calendar2009/08/10

第1回 株式会社ニューオータニ 代表取締役CFO 川野毅さん

C-Suite Talk Live 第1回 ~対談エッセンス~
  • 危機の中で、真摯に振り返る
  • 愚直に続ける「スマイルリーダー」~継続は力なり
  • ボスではなく、リーダーを育てることの重要性
  • ホテル経営におけるダイバーシティの価値
  • コミュニケーションの型よりも信憑性が問われる時代

危機の中で、真摯に振り返る

古森 経済危機から世界も日本も徐々に回復途上にあり、色々な指標に前向きな兆しも見えて来ました。しかし私は、「いつ回復するか」といった類の議論よりも、今般の変化に関して「どのような時代観を持つべきか」、「どう活かすべきか」という角度での議論が重要だと感じています。川野さんは今般の経済危機に関して、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

川野足下の状況は厳しいですが、そもそもこの流れは1年半前程から兆候があり、世界的にきな臭い雰囲気がありました。今はまさに、中期の計画が非常に立てづらい、経営の舵取りが難しい時期です。そうした中で、私達は過去10年にやってきたことの振り返りを行いました。「宿泊単価の低下」「外国人宿泊客の動向変化」「9.11事件」「震災」・・・など、10年分の主要な出来事を客観的に振り返ることで、何かが見えてくるのではないかと考えたわけです。

古森危機に際して10年を振り返る。なかなか勇気のいる活動ですね。それで、何か見えてきましたか。

川野 ええ、私達に足りなかったものが浮かび上がってきました。それは、「顧客の視点」です。もちろん、サービス業である以上、顧客の視点がないという話ではありません。しかし、振り返れば「ニューオータニがこうあるべきと思うこと」「マーケットに対して提供したいと思うこと」を起点に動いてきた面が多々あったと気づかされたのです。顧客の視点で見て「他のホテルよりも絶対的優位にあるものは何か」「他のホテルと比べて顧客は何に失望してきたのか」について、私達の認識不足が浮き彫りになってきました。

古森 「何に失望してきたのか」・・・。重い言葉ですね。その時代ごとに皆さんが一生懸命に努力してもなお、何かが抜けてしまうということなのでしょう。

川野 ホテルの人材は総じて、「顧客サービスが好きだ」という点で同じ素質を共有しています。それは非常に重要な素質で、「座学よりも現場で顧客におもてなしをして感謝されたい」という思いを持った人材が多いですね。ところが一方でそれは、物事を客観的に分析して、白紙から何かを進めていくような思考プロセスを阻害する方向に作用することもあるのです。また、現在の組織の中核を担う人材の多くが好況期に経験を積んで成長してきたことも、「将来に向けてなすべきことを考える」という思考プロセスが組織内に生まれにくい一因になっているかもしれません。いずれにしても好況期には、私達の持つ一見良いカルチャーの裏側に潜む、思いがけない負の側面には気づきません。今般、自らを振り返る中で気づいたことです。

愚直に続ける「スマイルリーダー」~継続は力なり

古森そうは言いましても、これまでにも一定の意識的努力はしてこられたのだと思います。例えば、御社には「スマイルリーダー」という活動がありますね。顧客目線を現場に根付かせるうえで非常に重要な取り組みだと聞いていますが、具体的にはどのようなことをされているのでしょうか。

川野 スマイルリーダーというのは、簡潔に言えば顧客視点での部門横断型の情報交換活動ですね。スタートして4年になります。毎月一回、宴会場の一部屋を使い、フロント部門、レストラン部門、調理部門、経営管理部門など、各職場のリーダーが総勢30名ほど集まって、お客様からのサンクスレターや苦情を紹介したり、各セクションで共通の問題や取り組みについて話し合ったりします。総支配人と私、それに部課長クラスも何名かオブザーバーとして出席しますが、あくまで20代のリーダーたちが主役でオブザーバーに発言権はありません。会議は人事の研修部門が事務局になっていて、身だしなみや挨拶などその月のテーマを決めて、現状の問題点や今後の取り組みのあり方などについて、皆で発言しあうわけです。

古森 偉い人がきちんと時間を割いて毎回参加している、しかし議論の主役は奪わない・・・という点が、重要なポイントですね。実際、ここでの議論が現場の活動につながっていったりしていますか。