C-Suite Talk Live第6回 日本GE株式会社 取締役 シニアHR マネージャー 八木 洋介さん | マーサージャパン

C-Suite Talk Live第6回 日本GE株式会社 取締役 シニアHR マネージャー 八木 洋介さん

ライブラリ / 「経営×人・組織」視点の対談 C-Suite Talk Live / 第6回(5/5)

第6回 日本GE株式会社 取締役 シニアHR マネージャー 八木洋介さん
Calendar2009/10/08

GEの本当の強さとは

古森 GEの本質的な強さが、少し見えてきた感があります。やはり、考え方や道筋のようなものですね。それを学ぶべきであって、実際にGEがやっていることそのものは、時代ごとの表現手段に過ぎないのでしょう。ピカソの絵を真似してもピカソにならないのと同じで、GEの制度や仕組みを真似してもGEにはならない・・・。

八木 GEは、難しいことは何もしていません。面白いアイディアや発想が提案されることはもちろんありますが、実際にやっていることは皆が分かりやすい、シンプルな仕組みです。GEというのは、99%が「普通の人」で構成されている会社です。でも、その普通の人々が強烈なアウトプットを出す。ものづくりがあり、サービスがあり、腕まくりして汗かいて働いている人たちの集団なのです。その集団では、分かりやすくて当たり前のことがなされている、ということが大事です。

古森 この仕事を長くやっていますと、企業に訪問した際に感じる「組織風景」のようなものを感じます。GEの場合には、まさにダイバーシティで色々なタイプの人がおられますが、皆さん背筋がピーンと伸びて颯爽と歩いておられるという心象風景ですね。ウソのない環境で全力を尽くしているときには、人間は変なストレスは感じないものです。皆さん激務だと思いますが、鬱屈したものは漂っていない。プロのスポーツ選手の集団のような空気を感じます。

八木 GEの社員一人当たりの生産性は、競合他社の2倍くらいの水準です。同じ仕事を半分の人数でやっているということですね。ほどほどに勝つのではなく、オリンピックで金メダルを取るようなレベルで皆が頑張っているのです。普通の人が本当に力を出したら、生産性というのは何倍にもなりうる。これを実現するのは、人事制度などの仕組みではありません。社員のやる気を損なう理不尽さがない組織を作る。これに尽きると思います。

古森英語のニュアンスに忠実な意味での、"Integrity"という言葉が想起されます。よくある和訳の「誠実」とかではなくて、「誰かが見ていようといまいと、ヘンなことをしない、裏表がない」みたいなニュアンスですね。会社が大事にしているものが、シンプルでクリアで、かつ非常に厳しい。だから、無駄なことをやっている余地がない。自然と「勝ちの定義」に向けて本質的な行動に絞り込まれていく。

八木 誰一人として、完璧というものはありません。GEでも、今日お話したことが全部完璧に出来ていると言うつもりはないですよ。でも、それを強く志向して動き続けていることに、私は大きな意味があると思っています。

古森 学ぶべきものの多いお話でした。本当にありがとうございました。

~ 対談後記 ~
誰だったか、八木さんのことを称して「歩くGEバリュー」。まさに、そうなのだと思いました。「GEバリューとは」といった枠組み的な話にはほとんど触れず、結果として聴き手にGEの本質がじわりと伝わる。そんな質量感に満ちた対談でした。世界同時不況の中、アメリカ型がどうだ、日本型が云々・・・といった議論も耳にしますが、「ああ、GEはやっぱりGEなんだなぁ」と思います。国やカルチャーなど何かのモデルに依拠した経営ではない、あくまでもGEのロジック。颯爽と歩き、強い言葉で語り、暖かいまなざしで見送って下さった八木さんに、GEという会社のイメージが重なりました。

八木さん、有難うございました。