C-Suite Talk Live第9回 日本郵船株式会社 経営委員 甲斐 幹敏さん | マーサージャパン

C-Suite Talk Live第9回 日本郵船株式会社 経営委員 甲斐 幹敏さん

ライブラリ / 「経営×人・組織」視点の対談 C-Suite Talk Live / 第9回(1/4)

第9回 日本郵船株式会社 経営委員 甲斐 幹敏さん
Calendar2009/11/12
C-Suite Talk Live 第9回 ~対談エッセンス~
  • 世界同時不況~「荒波が甲板を洗う」
  • グローバル経営 vs. 日本人のメンタリティー
  • グローバルIRの重責
  • イノベーションへの取り組み
  • ファシリテーションという役目の価値

世界同時不況~「荒波が甲板を洗う」

古森 日本郵船さんといえば、いわずと知れた日本の優良企業の一つです。創業は1885年、長きにわたり日本の通商を物流面から支えて来られました。多くの人が、この会社の名前とともに「海へのロマン」を漠然と想起します。でも、さすがに今回の世界同時不況の中では、難しい舵取りを迫られているようですね。

甲斐 ええ、今は世界経済の荒波にもみくちゃにされています。大きな波が甲板を洗っているような状況です。

古森 御社の場合は、海や航海のアナロジーが、まさにぴったりときますね。

甲斐この業界は、経済情勢が悪くなってモノが動かなくなると、当然キャパシティ(船腹)が過剰になって苦しみます。モノを作っているわけではありませんから、構造的に影響を受ける運命にあります。船腹過剰の中では、価格競争も激化します。今回は特に厳しいですね。昔は、地域間でのリスクヘッジがある程度機能していたという面がありました。欧米が悪くてもアジアが好調・・・といった具合に。今回は、ほとんどすべての地域で状況が悪化して、グローバリゼーションというものの厳しい一面を思い知らされました。

古森 好むと好まざるとに関わらず、難しい問題と向き合わざるをえない時代ですね。

甲斐 したがってこの1年間は過剰なものをいかに減らすかということに注力してまいりました。投資額が大きい新造船計画を見直したり、船齢が高くなった古い船をスクラップしたり、また、出張費などの一般管理費削減も全世界的に行っています。

古森 多くの企業が、今は無傷ではいられない状態です。

甲斐 当社は戦後に2回、大きな荒波を経験しています。最初の波は、1964年の東京オリンピックの年。中核6社体制ということで、日本郵船と三菱海運が合併しました。他にも大阪商船と三井船舶が合併して大阪商船三井船舶になるなど、政府主導で業界の整理統合が一気に起きました。

古森 業界としての余剰感、非効率があった時代ですね。

甲斐 二度目は、プラザ合意の後です。円高によって、こちらが何をしなくても一気に売上高が半分に目減りするという事態。国際競争で生き残るためには、コストのドル化が避けられないということで、日本籍船や日本人船員の大幅な削減をせざるを得ませんでした。大変つらい経験として弊社の記憶に残っています。

古森 今回は、当時よりもさらに事業がグローバル化しているために、まさに連結ベースでの大コスト削減・合理化という形になっているのですね。

甲斐 プラザ合意以後の世界では、日本の企業のオペレーションもどんどん海外に出て行きました。弊社はモノの流れについていきますので、当然この四半世紀の間に事業は大幅にグローバル展開しています。たとえば、日本発着のコンテナ貨物は、全体の荷動きの1割を切るところまで小さくなっています。

古森商流のほうを見ていますと、いわゆる三国間取引も活発化しているようです。日本発着のものが1割を切ったというのは、日本経済の今の姿を映す鏡のような話だと思います。

甲斐 海外のネットワークも自然と大きくなって、そこで働く人も増えてきました。そのような状況では、成長も縮小も、日本の枠組みを超えた視点で考えていかなくてはなりません。