C-Suite Talk Live 第11回 株式会社サイバード 執行役員副社長 兼 CSO 中島 謙一郎さん | マーサージャパン

C-Suite Talk Live 第11回 株式会社サイバード 執行役員副社長 兼 CSO 中島 謙一郎さん

ライブラリ / 「経営×人・組織」視点の対談 C-Suite Talk Live / 第11回(2/3)

第11回 株式会社サイバード 執行役員副社長 兼 CSO(最高戦略責任者) 中島 謙一郎さん第11回 株式会社サイバード 執行役員副社長 兼 CSO(最高戦略責任者) 中島 謙一郎さん
Calendar2009/12/10

「ぴかぴかの人材」を獲得するために

古森 そうは言っても、単に経営者が採用プロセスの各場面で時間を使うだけでは、不十分だと思います。極端な話、時間を使うだけなら、やろうと思えば誰でも出来ます。中島さんは、どのようにして本当に御社に必要な人材を見極めるのでしょうか。いわゆる伝統的な日系大手企業でも、最近は採用時の人材アセスメントなどのニーズが高まっていますが・・・。

中島弊社の人事ポリシーでは、「採用は来る人間を選ぶ作業ではなく、欲しい人材を採りに行く作業である」と定義しています。したがって、弊社では来てくれる人をアセスメントするのではなく、放っておいたら来てくれないような人をとりにいく仕事が、採用なのです。

古森 ハンターですね。アトラクションも見極めも、そのハンターがやるわけですね。

中島採用は、最も優秀な営業力をもっている人間がやるべき仕事です。普通の企業の考え方でいえば、パズルのピースのように欠員補充するのが採用の役割という面もあるでしょう。今の組織の状態で欠けているものを埋めるのが、一般的な採用の姿と言えるかもしれません。弊社の考え方は違います。弊社が成長して、10年後には自然に獲得できるかもしれない人材を今採る。これが採用です。

古森 御社の人事哲学、採用哲学のようなものですね。

中島だからこそ、「採用は待ちではなく攻めだ」ということを強調しています。弊社として持てる全てのリソースを使ってでも、欲しい人材を採りに行きます。そういう人材を採ろうと思ったら、夢を語らなければなりません。例えば、大手商社の内定を蹴ってでもベンチャーであるサイバードに来て頂くためには、今の会社ではなく10年後の会社の視点から語ることが必要です。

古森 なるほど、今はまだ見ぬ将来の可能性を、今、現実感を持って共有できるかどうか・・・ですね。

中島 そういう過程を経て採用した人材は、本当に「ぴかぴか」、優秀ですね。「優秀」の定義は公表できませんが、どこの大企業にでも入れる人材が、ベンチャーである弊社に来るのです。夢を語るベンチャーである弊社に対して、今の時点で就職の決断ができるという価値観を持っていること自体、既に素晴らしいと思います。

古森 不確実な環境下で、「自分ならやれる」と思える人材。

中島 それ自体が、能力の高さなのです。学生にとっての就職は、人生で初めて自分の人生を決める作業です。学生時代には、偏差値という共通のものさしがあります。でも、就職となると業界もバラバラ、レベル感もバラバラ。そこで初めて、自分でモノサシを見つけなければならない瞬間が来るわけです。

古森 その人の「個」が、覚醒を迫られる瞬間ですね。

中島 一般的には、「皆にとって良い会社に行くことが、最も良い」と思われがちですね。親や親族に「凄いね」と言われるかどうかなど。でも、「皆にとって良い会社」なんて存在しないわけですよ。「あなたにとって良い会社」しかないのです。そういう観点で選べる学生が欲しいですね。自分の足で立って、自分の物差しで選ぶことが出来る。決断できる。弊社としてはそうした人材に賭けたいのです。昨今の日本には、それが出来ない人も多いと感じますが。

古森 就職に関するノウハウ系の話が蔓延しているということも、今の新卒の傾向に影響しているだろうと思います。すごく狭い論点・視点で就職を考えている学生は多いですね。人生、色々あって良いはずですが、いうなれば学生が「面接サラリーマン」化しているのが、ここ10年くらいの傾向だと思います。経済的なこととか、親の賛成・反対などもあるでしょうが、「自分はこうだ」と思う方に歩いてみればいいのに・・・と個人的には思います。

中島 世の中の流れが大きく変わっていく中で、「自分の物差しでサイバードを選ぶ」という姿勢が重要です。サイバードしか選べない人材ではなく、他も選べるのに弊社に来る決断ができる人材。ただ、企業側も選ばれるための素材を提供することは必要です。格好良いことを言っても、実態がそうなっていないと意味がありません。

古森 その通りですね。御社から欲しい人材に向けてメッセージを伝えていく上で、どのような工夫をしておられるのでしょうか。

中島 学生さんも人生を決める話になるので、さすがに「どれだけ求人広告を打ったか」で決められるものではありません。やはり、彼ら・彼女らが納得できるストーリーが必要です。目指す大義名分を、納得感を持って説明できることが大事です。

古森 中島さんと向き合うと、学生の皆さんはどんな話を聞くことになるのでしょうか?

中島 つまるところ、その人が本当にやりたいと思っていることを一緒に探っていくような感じだと思います。決して、いわゆる採用面接っぽい会話にはなりません。

古森 一緒に探っていく・・・。

中島 例えば、ある商社に行きたいという学生さんがいる。その人は、弊社も来て欲しい人だとします。そんな時は、その人が商社に行って本当に何をしたいのか、とことん膝を突き合わせて話を聞きます。学生時代に頑張ったことなど、通り一遍の聞き方ではなくて、本当にその人の目線にまで降りて行って話し込みます。そうしたら、その人の本当に根っこの部分にある人間性のようなものが、見えてくるのです。そこまで話し込んでその人を理解して、根っこにあるやりたいことが弊社に合致するのであれば、私は自信を持ってその人に夢を語ります。

古森最近は、面接もどんどんノウハウ的なものが広がっていて、企業側もまたそれを知りつつ面接の技巧を凝らしたりしているように思います。なんというか、企業も学生も本当の姿でないところで何かをやりとりしているような・・・。採る側、採られる側という関係ではなく、学生さん個人にぐっと近づいて話し込むというスタンスは、非常にアナログですが大事なことだと思います。しかし、いかに時間を投入するとはいえ、中島さんだけでそこまでアナログな仕事を全部こなせるわけではないでしょう。採用に関して、御社の組織としてはどのようなことをしておられるのでしょうか。

中島 ヒアリングでは、通常一人に最低1時間をかけます。弊社内の最優秀人材を採用業務に充てます。実業で重要なミッションを持っている人材を、トップダウンの判断で何十時間、場合によっては年間100時間を超えるようなレベルで採用活動にあてます。リクルーターに研修にも、全員参加してもらいます。

古森 これは、経営そのものですね。

中島 足元だけをみると、そうした第一線の人材をこんな規模で採用に充ててよし・・・とは、なかなか言い難いでしょう。でも、それをやるのです。

古森10年先の人材を今日獲得するために、今日最大限に時間を使うということですね。経営として狙っているものに向けて、人事分野のアクションが鋭角的に連動しているような印象を受けます。戦略が、生きていますね。