C-Suite Talk Live第15回 ベネッセホールディングス取締役副社長内永 ゆか子さん

ライブラリ / 「経営×人・組織」視点の対談 C-Suite Talk Live / 第15回(1/4)

第15回 ベネッセホールディングス取締役副社長 ベルリッツ インターナショナル インク 代表取締役会長兼 社長兼 CEO 内永 ゆか子さん
Calendar2010/02/23
C-Suite Talk Live 第15回 ~対談エッセンス~
  • 「グローバル」への肌感覚
  • 「グローバル」に込めた意味
  • 好むと好まざるとに関わらず・・・
  • 「肌感覚」を生むために
  • リーダーの育成とダイバーシティ
  • ダイバーシティの前提は?
  • 「個」に立脚したネットワークを

「グローバル」への肌感覚

古森こんにちは。今日はお忙しいところ、本当にありがとうございます。難しい世の中だと言われておりますが、この対談では、「何か良い話」「ヒントになる話」にスポットをあてていきたいと思っております。考えたり気づいたりするきっかけを、読み手に提供できたらいいなと思っています。宜しくお願いします。

内永 こちらこそ宜しくお願いします。でも、「良い話」って少ないですよね。「苦労話」でもいいのかしら(笑)。

古森 もちろんです(笑)。それもきっと何かのヒントになります。ところで、ベルリッツさんもマーサーも、日本企業のグローバル化に伴う人材課題に接しているという点では、仕事の文脈に共通点があるように思っています。今日は「グローバル」というキーワードを意識しながら、色々なお話を伺えればと思います。

内永 「グローバル」にまつわる課題は、深く多岐にわたりますよね。ベルリッツの提供するプログラムにも、その課題認識に立脚したものがたくさんあります。

古森 「グローバル」の定義自体にも色々あるのですが、まず内永さんが「グローバル」という言葉に付随して、日頃から感じていらっしゃるのはどんなことでしょうか。そのあたりから、ざっくばらんにお話しを伺えればと思います。

内永 今、日本の多くの企業が、グローバル化にどう対応していくかという問題意識を強く持っておられますね。輸出型の企業だけでなく、これまで国内ビジネスが主体で成功されてきた企業でも、グローバル化というのは大きなテーマになっています。

古森 マーサーも、同じ景色を見ています。好むと好まざるとに関わらず、「グローバル」という言葉は意識せざるを得ない時代ですね。

内永色々な企業でわりと共通して言えるのは、「グローバル」という言葉で想起するイメージが、意外にも本当の意味での「グローバル」ではないことがある・・・ということです。

古森 意味の定義が曖昧ということでしょうか。

内永 それもあるとおもいますが、一番大きいのは、「グローバル」を考える際の、日本の人々の肌感覚不足かもしれません。

古森 肌感覚。

内永 例えば、大学を卒業した社会人の国境を越えての移動に関する経済協力開発機構(OECD)のデータがあります。どの国も大体10%から15%ぐらいの流動性があります。多い国では、20%くらいある。一方、日本はというと、出も入りも少ない。もちろんゼロではないですが。

古森 旅行などの短期の移動ではなくて、ある程度「現地での生活を伴う」移動を見た数字なのですね。

内永 そう。“Resident”での出入り。私は、このデータに重大な意味があると思うんです。生活体験を伴うレベルでの人の流動性が少ない日本のような国にいると、世界のことについての肌感覚を持つのは難しくて当たり前なんですね。

古森 感覚的にはそうかなと思っていましたが、数字で見ると歴然とした差があるのですね。なるほど・・・。

内永「グローバル化」といっても、外国人と話をするとか、それくらいにしかイメージしていない人も結構多いのです。言葉を理解し、文化を理解し、商習慣を理解して、という言葉の裏にあるイメージが分からないと、真の意味での「グローバル化」の理解には及ばないとおもうのです。

古森 肌感覚というか、身体感覚というか。「グローバル」なるものを実体験の中で感じる機会というのは、確かに少ない国なのかもしれません。実際の経済は、とっくに「グローバルの中の日本」として動いているにも関わらず・・・ですね。

内永 異なる民族、宗教、歴史、文化背景を持つ個人個人が、それぞれの主張をする。多様な意見の飛び交う中で、それらを偏見なく受けとめ、そこから何らかの方向性を作っていく。「グローバル」の世界では、そういう場面がたくさんあります。ある種の精神的な耐性も求められます。その上、多くの場合、英語でこれをやらなければなりません。

古森 単に語学力ということではなくて、もっと本質的で深いところに、日本の人々が抱える「グローバル」課題があるようですね

内永以前から、「グローバル化が問題ですよ」と多くの方々がおっしゃってきましたが、実は、その問題意識の感覚自体が多くの難しさを内包しているということなのです。これは、本当に根深い課題です。

「グローバル」に込めた意味

古森日本人を評して、「井の中の蛙」と呼ぶ人がいます。その表現が良いかどうかは別にして、私はその「井戸」の中でも、さらに「グローバル」のイメージが違うと感じています。

内永 なるほど。

古森 「グローバル」という言葉で想像しているものが、人によってかなり違うのです。個人の考えが違うこと自体は良いのですが、会社の戦略や方針の中で、「グローバル」の解釈が人によってバラバラだという場合には、大きな問題になります。

内永 確かに。

古森例えば、「グローバル」と聞いて、「日本人が出て行って海外市場を開拓する」ことを想像する人がいます。「外国人が日本の組織でも働くこと」を想起している人もいるでしょう。あるいは、「社内言語が英語になるんでしょ」と思う人もいるわけです。肌感覚が持ちにくい上に、意味や解釈を明示すべき場面においても曖昧さが多いというのが、この「グローバル」という言葉の現実だと思います。

内永まだら模様ですね・・・。

古森 いまどき、中期経営計画等に「グローバル」という言葉の入っていない企業のほうが珍しいでしょうが、いざ実務的にそれを解釈しようとすると、はたと立ち止まらざるを得ない。企業ごとの「グローバル」の意味については、やはりそれぞれの企業として明確に示さなければならないと思うのです。