C-Suite Talk Live 第16回 ガートナー ジャパン株式会社 代表取締役社長 日高信彦さん (1/4) | マーサージャパン

C-Suite Talk Live 第16回 ガートナー ジャパン株式会社 代表取締役社長 日高信彦さん (1/4)

ライブラリ / 「経営×人・組織」視点の対談 C-Suite Talk Live / 第16回(1/4)

第16回 ガートナー ジャパン株式会社 代表取締役社長 日高信彦さん
Calendar2010/03/11
C-Suite Talk Live 第16回 ~対談エッセンス~
  • グローバルビジネスにおける真の「共通語」
  • 英語の上達に欠かせないものは?
  • これからの時代、日本人が誇るべきもの
  • リーダーだけでなく、皆が「バス」に乗ること
  • 子供の教育・成長における示唆

グローバルビジネスにおける真の「共通語」

古森本日は、よろしくお願い致します。昨夏からこの対談シリーズを始めましたが、今回ではや16回目を数えます。会社のこと、個人的なこと、いずれでも構いません。何か良いもの、ヒントになるものを、世の中に伝えるのがこの対談のミッションです。

日高 こちらこそよろしくお願いします。

古森まず始めに、やはりガートナーさんといえばグローバル展開をしているプロフェッショナル・ファームですので、「グローバル」にまつわる思いや課題意識などをお聞かせ頂ければと思います。日本人が一般的に「グローバル」が苦手だと言われている中で、日高さんご自身は何を大事にしておられますか。

日高そうですね・・・。グローバル組織で仕事をするうえで非常に重要だと思っているのは、端的に言えば「コミュニケーションのあり方」でしょうね。日本人でも外国人でも、あるいは上司でも部下でも、普遍的に必要となるコミュニケーションの方法があるように思います。

古森言語の壁も越えた、普遍的な要素ということになりますね。

日高 ええ。言葉にすると平易に聞こえるかもしれませんが、それは「何か投げられたことに対して、いきなり否定はしない」ということです。私はまず、何か言われたら相手を受け入れることから始めます。絶対に、最初からNOとは言わないですね。

古森 「NOとは言わない」のであって、何でも「YESと言う」のとは全く違うわけですね。要するに、一旦聴いて受容する姿勢を見せるということですかね。そこに大いなる勘所があると?

日高 そうです。まず、聴いて受容するわけですね。その上で、自分の立場が「NO」の場合、必ず対案としての選択肢を提示するようにしています。そうすることで、コミュニケーションの好循環が生まれていきます。

古森なるほど。言われてみるとシンプルですが、本番の中で誰にでも出来るかどうかはまた別問題でしょうね。

日高例えば、私の今のレポート先はグローバル本社のCEOです。彼は、立場上当然のことながら日本のオペレーションについても色々な提案をしてきます。中には、理想として合理的であっても、日本の実情にあわない提案が出てくる場合もあります。

古森 グローバル企業では、しばしば見かける光景ですね。

日高 私はそういう場合、「様々な経験から的確な提案をしてくれて有難う」というところから入るようにしています。どんなに高い立場の人間でも、いきなり否定されたら感情的になりますし、その後の議論もうまくいかなくなります。

古森 それは分かります。CEOはCEOなりに、色々と考えて「良かれ」と思うことを提案してくるわけですからね。

日高 ですから、一旦受け止め、謝意も表した上で、当方の提案を投げ返していく必要があるのです。例えば上記の場面であれば、「狙いは理解している、でも日本でそれを実現するならこうしたほうが良い」「こういう手もある」といった感じでね。

古森そうすれば、ポジティブな形で議論のキャッチボールが生まれますね。

日高 その通りです。たとえ意味的には否定で始まった議論であっても、建設的なやりとりを経てたどり着いた結論には、双方がオーナーシップを感じることが出来ます。

古森双方が議論のプロセスのオーナーなわけですね。双方が「Respect」しあう形での議論だと言い換えることも出来るでしょう。

日高 このコミュニケーションの基本形は、人間というものを理解すれば、極めて普遍性の高いものだと気づくはずです。グローバル組織には多様なバックグラウンドの人々がいますが、この点は変わりません。

古森そのシンプルで普遍的なことを、実際にグローバル組織の現場で「やれるかどうか」ですね。否定をしないというのは、まあ日本人にはなじみやすい面もあると思います。しかし、速やかに自らの対案を出していくというのは、結構バーが高いですね。

日高 そうかもしれませんね。突き詰めていくと、「日本人と海外の人は違う」という感覚で接しているか、「違いがあるけれども、本質的には同じだ」ということに気づいているか、だと思います。私も最初からそこに気づいていたわけではありませんが、今は「人間は90%以上同じだ」と思っています。

古森 カルチャーも含め属性面での違いというものは、確かにグローバル・コミュニケーションの障害になりますね。実際、言語が脳に及ぼす作用も日本語は独特だと言います。しかし、根底にある衛生要因的な要素、あるいは損得勘定や認知欲などのレベルでは、私も人間は万国相通じる部分があるように思います。

日高 コミュニケーションにおいては、他にも普遍的に大事な要素があります。例えば、良い意味で「友人」になっているかどうか。海外の仲間と仕事をするとき、人間としての信頼関係があるかどうかというのは、非常に重要です。

古森 それは私も同感です。一度会って話した相手には、「I know him / her」という重要な感覚が芽生えます。お互いに。そうなると、顔の見えない電話会議やメールのやりとりが、プラス志向で進みやすいですよね。

日高 私はよく部下に、海外から人が来たら一緒にご飯を食べたり、飲みに行ったりすることを薦めています。人間誰しも、面と向き合って人間的時間をともに過ごしたら、「この人達は仲間なのか」「信じていいか」というのが、分かるはずなのです。

古森 「Trust」、ですかね。いわゆる「なれあい」とは別次元の話でしょう。認知し合っている間柄での真剣勝負には、無理や無駄がない。そういうことだと思います。グローバルビジネスにおける真の「共通語」があるとすれば、それは「言語」以前にコミュニケーションの「態度」や「姿勢」にあるのかもしれませんね。