C-Suite Talk Live 第19回 マニュライフ生命保険株式会社 常務執行役員 森田 均さん (3/4) | マーサージャパン

C-Suite Talk Live 第19回 マニュライフ生命保険株式会社 戦略企画、人事、コミュニケーションズ担当 常務執行役員 兼 ヴァイス・プレジデント 森田 均さん (3/4) - 人事はコミュニケーション上手であれ

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第19回 マニュライフ生命保険株式会社 戦略企画、人事、コミュニケーションズ担当 常務執行役員 兼 ヴァイス・プレジデント 森田 均さん
Calendar2010/05/12

人事はコミュニケーション上手であれ

古森そのベクトルをあわせる上で、人事部門の役割は重要ですね。

森田 ええ。人事部門の人間は、もちろん専門性も必要ですが、コミュニケーション力も同じくらい大事だと常々感じています。例えば人事制度にしても、どんなに意を尽くして設計しても、社員に趣旨が伝わってなかったら意味がないわけです。

古森人事には、「わくわく」を担う責任がありますね。人間にとって、「伝わる」「認識する」というのは、客観的事実そのもの以上に重要だったりします。マーサーではよく、「Perception is reality」(認識されたものが事実となる)と言います。

マニュライフ生命保険 森田 均様
森田 そうした視点からすれば、人事部門はもっともっと、レベルをあげていかなければなりません。弊社はカナダ発祥の企業ですが、日本の組織は旧第百生命をルーツとする部分が多くあります。一般的に、日本の伝統的保険会社の人事というのは、良くも悪しくも「こわい」存在だったわけです。今いる本人たちがそういうつもりでなくても、ともすれば社員との壁は高くなりがちです。

古森 動機が善であっても、壁は高くなる運命にあった。そういうことだと思います。そういう場合というのは、強い立場にあるほうから壁を崩していかないと、なかなか変化は起きてきませんね。

森田 単純に、まずコミュニケーションのスキル自体もレベルアップしていきたいと思っています。社員の方々へのコミュニケーション。トロントの本社や他の国々の人事部門とのコミュニケーション。色々な場面で、人事の仕事はすぐれてコミュニケーション業の側面があります。プレゼンテーションの能力や感性も含めて、非常に重要だと思っています。

古森 御社のようなグローバル企業の場合には、おっしゃるように、本社や他国の機能とのコミュニケーションも非常に重要ですね。マーサーもグローバル組織なので、よく分かります。コミュニケーション力が弱いと、結果として国内組織が無為に損をするようなことさえ、起こりえます。

森田 その通りで、今まさにグローバル横断で進んでいる人事関連のプロジェクトでも、それを感じています。トロントのほうでは、やはり向こうの描いている常識的な視点があるわけです。一方、そこから出てくる施策をそのまま受けてしまうと、日本の実情にあわないものもあり、場合によっては致命的な失敗になります。

古森 そういう場面、グローバル企業では日常茶飯事だと思います。人事でも経営企画でも、そういう場面に立ち会う人のコミュニケーションスキルによって、大げさな言い方をすれば、国内組織が大きなダメージを受けることもあるわけです。本社サイドにも悪意はなく、あくまでも無理解やたくまざる誤解ですから、きちんと主張すべきものは主張しないと、余計に難しいわけです。

森田 ですから、プロジェクトのメンバーには、「相手の土俵に安易に乗るのではなく、先に日本はこうだと説明しなさい」とアドバイスしています。これは、勝手な主張だとか、何でも反対だとか、そういうものとは次元が違いますよ。きちんと説明する。かつ、プロアクティブにこちらから説明する。そういうことです。

古森 森田さんご自身がこれまでグローバル企業で生きて来られたご経験が、そう叫ぶのでしょうね。

森田 これに関わらず、要するに、問題点を明示して、解決の方向性を示して、最終的にはその成果まできちんとプレゼンすることが大事です。それがグローバル企業における仕事の基本ではないでしょうか。

古森 グローバル社会では、発言されないものは、存在しないのと同じです。かつ、勝手な主張や感情的な言動はすごくマイナス。オトナの主張が必要です。その点は、私自身も過去10年のプロフェッショナル・ファーム生活で痛感しています。グローバル化の時代、日本の人事関係者も、コミュニケーション上手でありたいですね。

人事機能変革を基点とするチェンジ・マネジメント

古森 さて、人事部門のレベルアップの話になりましたが、人事という機能そのものについて、御社ではどのような位置づけですか。会社により、ここは様々なスタイルがある部分なのですが。

森田 それはGood Question です。今まさに、その人事機能の変革を進めているところなのです。

古森どのような取り組みなのでしょうか。

森田人事管理の主体を人事側からビジネス・ライン側に移す方向で検討を進めているところです。単なる仕組み変更ではなくて、これ自体が弊社における組織・人事面の大きなチェンジ・マネジメントになるのです。

古森 人事のあり方を変えれば、組織の風土や考え方、人々の行動まで影響を受けますからね。

森田 今回は特に、管理職のメンタリティを変える契機にしたいと考えています。新しい仕組みの中では、人事はより戦略的な「ビジネスパートナー」の機能を果たすようになります。欧米の大企業ではわりと一般的になっている形態ですが、弊社の日本の組織でも、そうした形態に意味のある時期が来ていると思います。

古森 ビジネスパートナー型の人事機能は、権威や権限よりも、まさにビジネス・ラインが戦略的にやろうとしていることに対して、「人」の側面からサポートをすることが命題になります。翻ってそれは、ビジネス・ライン側にも明確な事業戦略と人材マネジメント戦略の連動意思がなければ駄目だということでもあります。

森田 そうですね。伝統的な日本の人事、言い換えると中央化された人事では、ともすればビジネス・ラインの管理職は業務の「プロジェクト・マネジメント」に重きを置くようになります。人材マネジメントは、どの道中央が決めるのだから、「仕事の管理はするが人の管理は人事任せ」ということにもなりかねません。

古森 なるほど。

森田一方、ビジネスパートナー型の人事になると、ビジネス側の考え方も変化を迫られます。ビジネスに直結したプロジェクト・マネジメントを行いつつ、人材マネジメントも同様に積極的に考えていく必要があります。したがって、管理職の要件もおのずから変わっていきます。これは、大きなチェンジになります。

古森 構造には、それ自体人々の考え方や行動への意味合いが出てきますね・・・。人事機能の変革が、組織・会社の変革につながってくように、頑張りどころですね。