C-Suite Talk Live第29回 新社会人養成塾BOOSTER 代表理事 田尻 邦夫さん | マーサージャパン

C-Suite Talk Live第29回 新社会人養成塾BOOSTER 代表理事 田尻 邦夫さん

ライブラリ / 「経営×人・組織」視点の対談 C-Suite Talk Live / 第29回 (1/4)

第29回 新社会人養成塾BOOSTER 代表理事 田尻 邦夫さん
Calendar2010/08/23
C-Suite Talk Live 第29回 ~対談エッセンス~
  • BOOSTER設立の経緯
  • 就職活動への現実的アドバイス
  • 君たちの上司は日本人じゃないかもしれないぞ!
  • 回り道をしなさい
  • BOOSTERの将来展望
  • 日本はもっと良くなる

BOOSTER設立の経緯

古森こんにちは、少しご無沙汰致しました。以前田尻さんによくご参加頂いていたC-Suite Clubの発展形で、昨年の半ばにこの対談シリーズを始めました。テーマは、広い意味で「人」に関わること、あるいは、社会への問題意識やご自身の生き方などでも結構です。田尻さんは、デサントの社長業から卒業されて、最近は「BOOSTER」というNPO法人の代表もしておられますよね。そのあたりの話を中心に、色々とお聞かせ頂ければと思っております。宜しくお願い致します。

田尻 デサントの社長を退任したのが3年前ですから、BOOSTERも3年目に入りました。名称からして何をやっているのかとよく聞かれるのですが、端的に言えば、若い世代の成長を促す場の提供ですね。

古森 いつ頃から、設立を考えておられたのでしょうか。

田尻 問題意識そのものは、かなり以前から持っていましたよ。伊藤忠でもデサントでも、若い社員を見ていて本当に優秀だなと思いました。でも、人間関係がうまくいかないなどの理由で、挫折してしまう人が意外に多いのです。ちょっと弱いところがあります。企業にとっても、本人にとっても、もったいないことです。

古森実際に経営者として企業の組織を見てこられて、やはりそのように感じますか。

田尻 折れてしまう人を責めても始まりません。我々のような世代は、「やればかなう」という経験を持っている人間が多いのです。例えば勉強に努力したら、その分良いところに就職できました。しかし、最近の就職はまったく事情が違っていて、自分が頑張っても希望先には入れないことが多いですね。また、就職が難しいために、決まったら安心して拍子抜けしてしまうケースもあります。そんな背景もあって、会社に入って数年で折れてしまう人が多いのです。

古森以前の大学受験が、今は就職という関門にシフトしたかのような印象です。

田尻 学校教育があって、会社は会社の教育があるわけですが、その間の橋渡しをする役割が必要だと以前から思っていました。会社から見ても、それは意味のあることです。「経営は人なり」と言いますが、まさに伊藤忠でもデサントでも、過去に危ない状況から立ち直って企業として生き延びてきた背景には、「人づくり」があったわけですよ。それを、今日的環境もふまえて支援できないかと。

古森 学校、企業という別々の世界で「人づくり」をするのではなく、その間をつなぐ存在。確かに、そういった機能は今の日本に重要ですね。企業の世界で求められることを現実的な形で学生世代に伝えることが出来たら、会社に入ってからギャップで折れてしまう人を減らせるかもしれません。

田尻 そんなことをずっと考えていたのですが、3年前に就職戦線が一時期売り手市場になったことがありましたね。ちょうどその頃、内定が早く決まりすぎて拍子抜けした学生たちが、「残りの大学生活をどうしたらよいか」「こんなにうまくいって良いのだろうか」と悩んでいたようです。たまたま知り合った人たちから、「田尻さん、何かアドバイスできないですかね」と聞かれたことがきっかけで、活動を立ち上げることになったのです。

古森 もともと田尻さんの中に思うところがあって、その機が熟したのが3年前だったということですね

田尻 それで、「やるからには、君たちが主体となるべきだ」ということで、組織を作り、NPOを申請してスタートしました。今のところ、早稲田、慶応、明治、上智、中央の学生が核になって活動を展開しています。あくまでも学生の主体的活動が中心で、私はそのサポーター役です。一線に並んで何かをやるよりは、「会社に入ったら、わっとスピードをもって変化していきたい」という現代っ子的な発想もあって、名称は「BOOSTER」になりました。

古森 命名の段階から、学生の皆さんの主体性や思いを大事にしておられたのですね。実際の活動は、どのようなところから始められたのでしょうか。

田尻最初は、私が知っている範囲で、社会人として成功している方々に話をして頂く機会をつくりました。会場も、各大学の持ちまわりです。大人数の講義ではなく、せいぜい30~40名の規模で、車座になって話を聞くというスタイルです。だんだん大学の輪も広がってきました。

古森人数を絞って濃密に、というところが良いですね。有機的な感じがします。その方が、聞く話にもリアリティが感じられるでしょうしね。

田尻 それから、そうした話を聞く機会にあわせて、ネットワーキングの仕掛けも組み合わせています。会の終了後に交流の機会を設けたり、BOOSTERのOB・OGと現役世代がつながるように手助けしたり。会社に入ると、どうしてもしばらくの間は社内の人間関係が中心になりがちですからね

古森 確かに、人間関係が社内に閉じた状態になっていると、会社で煮詰まってしまったときに閉塞感から抜け出せない一因にもなるでしょうね。就職前の段階からネットワークを作っておくことができれば、とても良い財産になりますね。

田尻 外部の人の話を聴いたり、ネットワークを作ったりということの価値は、これも以前から感じていましてね・・・。BOOSTERとは別に「経営塾25日会」というものもやっているのですが、これは経営者ほか社会のリーダーを養成する活動です。ほぼ月一回講師を呼んで物事の本質を勉強することにしています。これが非常に良いと感じています。BOOSTERに集う人々は、もっと若い世代ですが、大事にすべきものはやはり同じだなと思っています。学生の皆さんが色々な大学の仲間や、様々な考え方を持った社会人の先輩たちと接触することが、それ自体勉強になるはずです。

田尻 邦夫さん プロフィール
1966年に慶応義塾大学経済学部を卒業され、伊藤忠商事株式会社に入社されました。1996年に同社取締役、1998年には常務取締役に就任され、経営企画担当を始め数々の要職をご歴任。英国現地法人の経営も経験されています。
その後、2001年6月に株式会社デサントの代表取締役副社長に就任され、2002年6月には同社代表取締役社長に。難しい時期の経営の舵取りを成功させ、経営トップとしての手腕をいかんなく発揮されました。
2007年にデサントの社長を退任された後、NPO法人BOOSTERを設立、現在もその代表をつとめておられます。2009年6月には、デサントの相談役を退任されて田尻事務所を設立。新たな道へと踏み出されました。