C-Suite Talk Live 第30回  株式会社アドバンテッジ リスク マネジメント 鳥越 慎二さん

ライブラリ / 「経営×人・組織」視点の対談 C-Suite Talk Live / 第30回(4/4)

第30回 株式会社アドバンテッジ リスク マネジメント 代表取締役社長 鳥越 慎二さん
Calendar2010/09/06

日本人の「行動」と国のリーダーシップ

古森 どんどん話が大きくなりますが(笑)、今日の重要テーマの一つとして浮上した「行動」というものを、日本全体でもっと活発化していく必要もありますね。感情的には、ネガティブになっている人が多い時代です。それには、仕方ない背景もあります。でも、さっきのメンタルタフネスの話と同じで、そういう感情を行動のほうから変えていかないと、いつまでたっても建設的なことや挑戦的なことは起きないわけでしょう?

鳥越そうです。組織のOSになぞらえて国のOSという見方をすれば、日本全体で人々が「行動」しやすい環境になっているかという問題です。まったくそうじゃない。新しいことを始めて、いろんなことをやっていこうよという動きは、国のリーダーシップが必要なところだと思います。行動してもリワードがなくリスクが大きいという世の中になっているので、チャレンジするのがばかばかしくなっていますね。それが、若者が保守化した原因の一つだと思います。

古森 海外に行きたいと思わない若者が増えたとか、上昇意欲がないとか言われますが、そもそも国のOSに問題があると・・・。

鳥越当社も今年の4月から学卒の採用を始めたのですが、学生時代にはベンチャーの真似事のようなチームをつくって、色々と新しいことをやってきたような人もけっこういるのです。ところが、いざ就職となると、「大手○○に行きます」などという場合が多いですね。「なぜ?」と思いましたが、結局、彼らも国のOSを見ているのですね。チャレンジしても、今はチャレンジしがいがあるとは感じていないわけです。新規上場する企業も極端に減っています。

古森 起業して上場まで導いてこられた鳥越さんからすると、歯がゆいことでしょうね。

鳥越 やはり、「チャレンジのしがいがある社会」というのは、重要だと思いますよ。そういうものは、社会全体の仕組みだと思うので、政治のリーダーシップが必要ですね。もちろん、弱い人に光を当てることも大事です。しかし、伸びるほうの視点も同様に重要でしょう。メンタルヘルスの話と同じで、マイナスをゼロに戻すことは絶対必要ですが、やっぱり全体としてはゼロからプラス、プラスからさらにプラスへというところに光を当てないとだめですね。

古森 企業の場合は、組織のモデルは民主主義ではないので、行動を導きやすい面もあります。日本の国家は民主主義ですから、何か行動を導くためのリーダーシップをとるにも、また企業経営とは違った難しさがあると思います。そんな中で、何をするか・・・。

鳥越一つのヒントは、「不安を解消するだけでは、人間はポジティブ行動には出ない」ということです。不安を解消しながら、「行動したら良いことがあるよ」という何かが見えないと、人間はそっちには動き出さないのです。ですから、例えば消費を増やすためには、「お金を使うとこういう良いことがある」ということを、もっと強調した方が良いと思います。「使うことは良いことだ」という方向に皆の気持ちが行くように、いろんな政策を含めてやっていった方がよいと思いますね。

古森行動を促すには、何か目標を持つのも良いですね。

鳥越 それは、人間も国も同じでしょう。現実問題、今から所得倍増計画を書けとは言いませんが、日本経済が20年後は横ばいですと言われて、皆やる気になるのかということです。私は、目標が行動の多くを決めると思います。目標以上には、人間は素晴らしくはならない。100億円を目指す企業は、まかり間違って1,000億円の企業にはなりません。1兆円になりたいと思って始めて、1,000億円になる可能性が出てくる。目標のレベル感、どれくらいの高さのものに目標を置くのか。国もビジョンでも、それが大事だと思います。

古森 国のビジョンが、もっと目線をあげないと、国民の行動も活気が出ないよと。

鳥越 何かの分野で「世界一になる」でもよいが、皆が「すごいことだな」と感じられるような、夢が持てるような具体的な目標を一つでも二つでも立てて、そのために国家の資源を使います、という目標と行動が出てきて欲しいですね。

古森 あとは、やはりリーダーシップだと思いますね。結局はみんな人間ですから、「あなたが言うなら賭けてみよう」という要素が、必要だと思います。この場で政治的な支持、不支持の話は避けますが、日本のリーダーへの求心力が、本当に必要ですね。

鳥越 結局、構成員はぜんぶ人間で、感情で動きますからね。理屈もさることながら、その人が好きとか、いろんな感情でもって動くので、EQをコントロールできる人が国のリーダーにも必要だと思います。

古森 そろそろ時間になりました。企業のメンタルタフネスの話から、感情と行動の興味深い話、そして日本への問題意識まで、ぐぐっと膨らんだ刺激的な90分でした。鳥越さん、本日はどうもありがとうございました。

~ 対談後記 ~
鳥越さんは、やはり起業家なのだなぁと、しみじみ思いました。自分の感じることを、どんどん行動に移していく。その行動が、そのままアドバンテッジ リスク マネジメント社の行動になっていく。何かに取り組みながら、どんどん体験的に思考が発展していく。色々問題意識があっても、結局は前向きに考える・・・。組織・人事のコンサルティング界に身をおく者として、そして一個人として、色々な面で強い刺激を受けた対談になりました。

鳥越さん、有難うございました。