C-Suite Talk Live 第31回 ブリストル・マイヤーズ株式会社 執行役員 人事総務部門長 田島 房好さん

ライブラリ / 「経営×人・組織」視点の対談 C-Suite Talk Live / 第31回(1/4)

第31回 ブリストル・マイヤーズ株式会社 執行役員 人事総務部門長 田島 房好さん
Calendar2010/09/21
C-Suite Talk Live 第31回 ~対談エッセンス~
  • 戦略を体感できる会社
  • 「DAIモデル」と「カルチャー・アンバサダー」
  • 厳しさも戦略に沿って
  • 採用市場での手ごたえ
  • 「キャリア☆なび」~横方向の展開とジョブの透明性
  • 日本から世界へ人材を輩出したい

戦略を体感できる会社

古森本日は、お時間を頂きましてありがとうございます。この対談、広い意味で「人」に関わる分野で、何か良いこと、ヒントになることを発信したいとの思いで続けております。田島さんは昨年9月にブリストル・マイヤーズ株式会社に移籍して来られたと伺っておりますが、1年弱の期間を過ごされて、今どのような印象を持っておられますか。

田島そうですね・・・。私のキャリアは、三菱総研でのコンサルタントとしての経験、そしてファイザー、カプスゲル、ジンマー3社での人事部門の経験ということになりますが、これまでの中でもブリストル・マイヤーズというのは、際立った強さを持った会社だと実感しています。

古森 際立った強さ。どのような点でそう思われますか。

田島 グローバル全体で経営の戦略が非常に明確であること。そして、それに向けた人材マネジメント面での連動が非常にしっかりと行われているということです。

古森 なるほど。「戦略と実行」という、基本的にして非常に重要なことが、実際に体感できる会社、という感じでしょうか。詳しくお聞かせ下さい。

田島 まず、会社の戦略という点では、いわゆる「メガ・ファーマ」(注:巨大医薬品企業)の一角を占めるというかつての方向性から、「バイオ・ファーマ」(注:バイオ医薬を軸にした企業)のリーダーになるということで、明確に戦略を転換しています。2007年頃から、明示的な戦略転換が進められてきました。

古森 少し前まで医薬品の世界では、「規模」自体も非常に重要だと言われていましたね。今でも、規模の価値もそれなりにあると思います。「戦略とは捨てることなり」などと言われますが、御社の場合は、「規模」ではなく「バイオという分野」で勝つことを優先するぞという、思い切った方向転換だったわけですね。

田島そうです。例えば従業員数で見れば、弊社は日本法人でおよそ1,000人、グローバル全体でも約30,000人です。決して小さな企業ではありませんが、医薬品業界内の相対感でいえば中程度の規模です。ここから規模的な拡大を追うのではなく、戦略的独自性で勝負するわけです。バイオテクノロジー企業の革新的な良いところと、従来のファーマ(注:医薬品企業)の良いところをとって、新しいタイプのバイオ・ファーマ企業になるのだという経営のメッセージが、非常に明確です。

古森 先ほど玄関に置いてあった会社案内を開いてみたのですが、やはり「ミッション」の中の「コミットメント」のところで、「バイオ」という文字が明示されていましたね。その戦略の実行面では、どのような状況ですか。

田島 戦略の定義だけでなく、それを受けたアクションについても、様々な取り組みが同じ方向を向いて動いていますね。例えば、医療機器部門のコンバテックやニュートリション部門(ミードジョンソン)の分離、OTC部門の大正製薬への売却などを進めると同時に、小規模のバイオテック企業を9社買収するなどしています。戦略の転換とともに、迅速に事業構造の転換が進められてきました。現在も10の優先疾患分野を決めて、将来性のある企業との協働を追求しています。

古森 人材マネジメントの面では、戦略の転換に伴ってどのような「実行」が出てきているのでしょうか。

田島 色々ありますが、例えば「Talent & Capability」というテーマのもと、各種施策が進行中です。戦略的に特に重要な役割をきちんと特定して、その役割を担う人材を体系的に管理、育成していくという取り組みなどもその一環です。

古森俗にいうサクセッション・プランニングの一種でしょうか。

田島はい。問題は、それが実際に生きて動いているかどうかですね。「サクセッサーは誰か」を書類で整理する程度のことなら、多くの企業で行われています。しかし、そのサクセッション・プランに沿って実態としてのアクションが伴うかといえば、どうなのでしょうか。当社では、それが実際にできてきていると言えます。

古森 各組織の対外的な競争要因をきちんと認識して、それに沿って「実際に」人材マネジメントを行うということですね。もちろん完璧というのはないでしょうが、掲げたことに実態が伴うというのは、単純にして素晴らしいことですね。そこに御社のエッジがあるのですね。これは、グローバル全体の活動ですか。

田島 はい。グローバル全体の動きで、人材マネジメントを進めていく上でのプロセスやツールも統一されています。サクセッションが必要になったときに、その国の組織内にふさわしい人材がいなければ、グローバル・ポスティング(注:世界中にポストの空き状況を掲示すること)で人材を連れてくる仕組みもあります。

古森そうした異動・配置がダイナミックに行えるのは、グローバル展開している企業の強みですね。何より、戦略で掲げた方向に向けて人材マネジメントの施策が実態を伴って連動しているというのは、将来に期待が持てる話ですね。

田島房好さん プロフィール
田島さんは、1989年4月に三菱総合研究所株式会社でキャリアをスタートされました。
2002年5月のファイザー株式会社への移籍が、人事分野でのキャリアを深めていく契機に。同社在籍中の2004年9月より、グループ会社のカプスゲル株式会社へ出向をご経験され、人事分野への洞察を深められました。
その後も人事分野でのご経歴を重ねられ、2007年9月よりジンマー株式会社、そして2009年9月からブリストル・マイヤーズ株式会社にて現職、執行役員 人事総務部門長でいらっしゃいます。