C-Suite Talk Live第38回 ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 人事・総務担当 落合 亨さん | マーサージャパン

C-Suite Talk Live第38回 ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 人事・総務担当 落合 亨さん

ライブラリ / 「経営×人・組織」視点の対談 C-Suite Talk Live / 第38回(4/4)

第38回 ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 人事・総務担当 バイス プレジデント 落合 亨さん
Calendar2011/01/11

やはり、実績で語るしかない

古森 最後に、人事のプロフェッショナルとしての「落合さん像」に迫ってみたいと思います(笑)。グローバル企業の日本法人として、どのような心構えで仕事をしておられるのでしょうか。

落合 私の場合は、この会社がグローバル経営を進化させていく過程で、一緒に試行錯誤していく機会に恵まれたという幸運がありました。また、その過程の中でビジネスで成功するためのアイデアや意見をUS本社へどんどん具申してきました。

古森 いかに自由裁量を許容する社風であるとはいえ、「グローバル本社にモノ申す」ということ自体に、ステレオタイプの日本人とは違ったものを感じます。

落合 それはつまるところ、何か主張したらそれを実行して、その成果を実証としてみせるということでしょう。弊社の場合、グローバル本社機能はUSにありますが、その期待値をどれだけ理解して、それにどれだけ結果をマッチさせるかということです。

古森 語る権利は、実績で勝ち取ると。

落合 例えば、日本の実情にあわないことがUS本社から来たとします。それに対して、「ダメだ」というだけでは、認められないですよ。日本の市場の実情をよく知り、US本社が実現したいことも咀嚼して、「日本では、それを実現するにはこうすべきだ」ということを示していかないと。そして、実際それを実行して、期待されたような成果を見せていくことです。それが、信頼に繋がります。

古森 「任せる」という行為は、「信頼」と対になっているものですからね・・・。

落合 米国のグローバル企業に限らず、どこでもそうだと思いますよ。日本企業だって、現地法人を信頼して任せる際には、実績が鍵になっていると思います。やることやって、結果を見せて、初めて発言と考え方が通じていくものと思います。

古森そこは、グローバル共通ですね。ところで、最近は何かグローバル本社にモノ申していたりするのでしょうか。

落合 日本法人の人事では、社員向けに様々な研修を企画・実施しています。例えば、ディズニ-のマネジメントとして必要な知識や考え方、EQやコーチングなども含まれています。これを「マネジメントジャーニー」と呼んでいます。その他は、ワーキング・ウィズ・インテグリティとか、ブランドについてのトレーニングなど、これらは組織能力発揮のためのOSのようなもので、上位役職から一般社員まで全員共通のトレーニングとして参加必須で実施しています。

古森 なるほど。

落合 一方で、「リーダーシップ開発研修」のようなものは、私は意図的に日本では実施していません。やれと言われればもちろん出来ますが、これこそグローバルでやるべきものだと思うからです。米国のコーポレートレベルのユニバーシティーで主導して欲しいと主張しています。グローバル企業のリーダー層の育成というのは、やはりローカルな環境でやるべきではないと思うからです。実際、そういう方向でいろいろなプログラムが開発・実施されています。

古森 落合さんの、プロフェッショナルとしての明確な思考があって、グローバル本社との会話が成り立っている感じですね。これまで積み重ねた信頼も、後押ししていることでしょう。

落合今グローバルでやっているいくつかのトレーニング・プログラムも、実は以前日本で実施していたプログラムが採用されていったものも数多くあります。当時は、まだ各事業間で人事施策もバラバラだった時代がありました。日本は早くから独自のトレーニングプログラムを開発・導入していたので「ジャパンプログラム」と言われ、グローバルプログラムの参考にもなりました。

古森 US本社から見て「これはいい!」と思えるものを、落合さんが打ち出してこられたのですね。グローバル人事の分野で何が重要になるかを感覚として理解して、まさに逆輸出したというわけですね。これは、日本の人事パーソンに良いメッセージになると思います。

落合 もうひとつは、ビジネスへの理解が鍵だと思います。人事というのは、いうなればロジスティクス部隊ですので、フロントが何を求めているか良く知らないといけません。対グローバルでも同じことで、何を求めているかをビジネスの視点で理解して、それに向けて実績を作っていくということです。

古森 ビジネスに対する深い理解が、発言権のバックボーンになるのですね。言うは易しですが、深さが大事ですよね。

そろそろ、時間になってしまいました。落合さん、今日は色々と勇気のわくお話を聞かせて下さり、有難うございました。創造性のこと、実績で語るということ。どんどん情報発信するということ。私自身、感じ入るところが多々ありました。

~ 対談後記 ~
「厳しくもネアカの人事プロフェッショナル」・・・。対談を終えて、ふとそんな言葉が浮かびました。アメリカ西海岸で発祥した企業の中には、自由闊達さを重んじる企業がたくさんあります。ウォルト・ディズニー社もその一つでしょう。しかし、発祥地の文化だけで創造性が維持されたり強化されたりすることはないと思います。やはりそこには、経営としての絶え間のない挑戦がありますね。その一角を占める人事プロフェッショナルという存在の重要性に、改めて気づかされる対談となりました。

落合さん、有難うございました。