C-Suite Talk Live第41回 オーウェンス コーニング ジャパン 株式会社 石井 秀樹さん | マーサージャパン

C-Suite Talk Live第41回 オーウェンス コーニング ジャパン 株式会社 石井 秀樹さん

ライブラリ / 「経営×人・組織」視点の対談 C-Suite Talk Live / 第41回(3/4)

第41回 オーウェンス コーニング ジャパン 株式会社 人事総務部 部長 石井 秀樹さん
Calendar2011/03/01

全社員の継続的成長を求める会社

古森 オーウェンスコーニングという会社について、少し伺ってみたいと思います。色々とこだわりはおありでしょうが、端的に言えば、御社の組織・人事マネジメントの特徴はどのようなところにあると思われますか。

石井 そうですね・・・。やはり、個人の成長を徹底的に求めていくという点になるでしょうか。当社の場合、例えば目標管理の中でも、個々人の成長をきちんと見るようにしています。単にその年の業務面での目標を達成したかどうかだけでなく、個々人の成長テーマごとに、どれだけ努力したか、どれだけ成長したかにも光を当てた運営をしています。

古森 外資系というと、鋭角的な業績中心の成果主義を想起する人も多いかと思いますが、御社のスタイルは、ソフトとハードの両面を追っていくものなのですね。いうなれば、個々人の成長も、それぞれの人材としての成果の一つだと。

石井 そうした個々人の成長というものを、若手だけでなく、組織の全階層に対して求めていくカルチャーです。40歳になろうと、50歳になろうと、常にその人の現状よりも何らかの形で成長していくことが期待されています。私にも成長が求められていますし、日本法人の社長でも同じことです。

古森 この会社にいる間は成長をし続けることが、すべての人材への期待値なのですね。また、組織の上層部でも成長を求められ続けるという姿に、大きな意味があると思います。上が成長をやめて乗っかっているような組織では、若手の成長スイッチが入らないでしょう。個々の成長ということに関して、全員が良い意味でプレッシャーを受けている組織というのは健全ですね。

石井 卑近な例で言いますと、英語力の向上を成長目標に掲げる場合は、TOEICの点数でしっかりと見ていきます。700点を超えるまでは、会社負担で受験することができます。逆に言えば、それを超えるのが個々人の成長責任です。700点から先、どこまでを目指すかは個々人の自由です。仕事によっては、非常に高い点数を求められる場合もあります。

古森 個人的な成長目標に関しても具体的指標を持って、その達成を会社としても応援するというのは良いですね。

石井 もうひとつ重要なのは、個々人の成長と密接につながる話ですが、キャリアデベロップメントに関する考え方です。最近はとくに、当社の中でどのようなキャリアラダーがありうるのか、出来るだけ全従業員に見せていこうと取り組み始めました。また、全社的なグローバルな動きでも同様な動きを始めています。

古森 将来のキャリア展開の可能性を見せていくのですね。

石井 日本市場の先行きには楽観できないものがありますが、個々人の観点で見たときに、「この会社にいれば、自分には成長の可能性がたくさんある」と思えることが大事ですね。それが、リテンションにも意味を持ちます。また実際、私はこの会社に色々な可能性があると思っています。

古森 一人称で考えたときに、将来への可能性を感じる場所かどうかというのは、究極の問いですね。

石井 現場のマネージャーの役割も重要です。それぞれの組織員のキャリアの可能性を開いていくためには、基礎的なカウンセリングやコーチングのスキルを体得しておく必要があります。そういうもののレベルアップも含めて、会社としてのキャリア形成支援だと思っています。

古森 個々人のキャリア形成は、人事異動という形で、いくつかの仕事を経験していくことで実現される面が大きいと思います。このあたりは、何かポリシーはおありですか。

石井 当社では、育成視点でのジョブ・ローテーションをかなり意識的に、前向きに行うようにしています。こう言うと、「外資系でもローテーションがあるのですか」と聞かれることが多いですが、もちろんあります。入社時にはその時点での専門性や適性を判断してスタートするわけですが、その後は、実務の中で違った側面が見えてくることもあります。一旦会社に入ったら、そこから先は個々人のキャリアインタレストと、会社としてのニーズのすり合わせの中で異動が行われます。

古森 なるほど。しかし、ジョブ・ローテーションといっても、一定周期でどんどん定期異動が起きていくような運用ではないのでしょう。

石井 ええ、それは違います。こうしたジョブ・ローテーションの前提は、まず現職で目標に見合う実績を出していることです。パフォーマンスが出ない人を他にまわして行くというメカニズムではなくて、基本的には、パフォーマンスがしっかり出ている人をさらに育てていく営みです。

古森 成長を見込める人材への、会社としての投資行為という意味合いがあるのですね。

石井 そうなります。こうしたことを、出来るだけ従業員に見える形で進めていくようにしています。

古森 御社の場合、グローバル企業の特性を生かして、日本の外でのキャリア形成というのもありうるわけですか。

石井 当然あります。

古森 現実的な問題として、海外での仕事には興味があっても、海外に転居まではしたくないという人も世間一般には多いと聞きます。そのあたりは、ボトルネックになりませんか。

石井 そういう面も多少はあるかもしれませんが、当社では出来るだけ勤務地もフレキシブルに対応できるように心がけています。もちろんポストによりけりですが、転居しなくても対応可能な仕事であれば、日本にいながらにして日本の枠を超えた仕事をしていくことも可能です。

古森 例えば、どういうイメージになりますか?

石井 実例でお話しましょう。当社のアジアパシフィック・リージョンのヘッドクオーターは上海にありまして、ヘッドクオーターとしての事務インフラなどは、そこにある程度集約されています。例えば、ファイナンスのヘッドは上海にいます。一方、リージョンの役割を担う人物が全部上海にいるわけではなくて、リージョンの代表者は韓国にいますし、セールスのヘッドは香港ですね。

古森 必ずしも上海のヘッドクオーターにすべてのリーダーがいるわけではない、バーチャル型のリージョン統括機能ですね。そういえば、マーサーもそれに近い形になっています。

石井 リージョンの仕事になると、どのみち1年の半分くらいは出張だったりします。また、電話会議を上手に使えば、かなりカバーできる面があります。国外への転居を伴わない形で実現できるグローバル・キャリアパスが、当社にはあるわけです。色々なコンビネーションがありうるので、キャリアパスと言っても画一的なものではなく、「人」も見ながら運用していきます。

古森 そういう柔軟性というのは、これからは非常に重要ですね。働き方や居住環境への志向性などもダイバーシティの構成要素ですしね。