C-Suite Talk Live第41回 オーウェンス コーニング ジャパン 株式会社 石井 秀樹さん

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第41回 オーウェンス コーニング ジャパン 株式会社 人事総務部 部長 石井 秀樹さん
Calendar2011/03/01

実践的な英語力の向上が必須

古森 今、「電話会議を上手に使えば」という話がありましたが、日本の枠を超えたグローバル・キャリアに挑戦するにしても、日本にいて海外と関わる仕事をするにしても、英語というのは本当に必須の基盤ですよね。あらためて思いますが。

石井その通りで、先ほど申し上げましたように、TOEIC700点までは会社が費用負担をするというのも、そのあらわれです。

古森 組織全体の英語力向上に向けて、何か石井さんが取り組んでおられることはありますか。昨今、多くの企業で火がつき始めた分野ですが。

石井プレゼンテーションや電話会議など、実践的な場面で英語が使えるように、トレーニングプログラムを展開しています。切り口としては、「プレゼンテーショントレーニング」という形をとっています。2010年3月から、3ヶ月サイクルで実施してきました。

古森 どういうことが、そのプログラムで学ぶべき勘所になっているのでしょうか。

石井 手短に申し上げれば、「英語以前に、英語圏でのコミュニケーションの本質を理解しよう」ということになります。

古森 ああ、やはりそこから入りますか・・・。

石井 英語圏のコミュニケーションの原則は、「自分の意見を表明し、臆せず議論をする」ということにあります。洗練された語彙や正しい文法は当然望ましいことですが、まずそれ以前に、自分の意見をとにかく言おうとすること。そのスタンスが、絶対に欠かせません。逆に、それを理解せずにツールとしての英語だけがレベルアップしても、実践の場では役に立たないことが多いのです。

古森 実際に仕事で使われる場面、言い換えれば、そこに生きて動いている英語圏の人がいる場面で、同じ土俵の上で使えるかどうか・・・ですね。

石井 それをふまえた上で、話し方にも習熟していく必要があります。例えば、対面式のプレゼンテーションではアイコンタクトしながら話すのが基本です。スクリーンのほうを向いて、一生懸命読み上げていても、だめなのです。電話会議では、相手の顔が見えませんから、声のトーン、スピード、大きさなどで伝わるものが大きく変わります。そういうことまで含めて、英語力だと思います。

古森 同感です。電話会議などは、特に日本人が苦手とするところですね。世界的に見ても他人の表情や感情をすごく気にする部類に入る日本人が、よりによって相手の見えない状態でワイワイやらねばならないわけですから。相手が一人ならまだしも、複数国から異なるなまりの英語が同時に入ってきたりすると、お手上げという人も多いでしょう。やはり、実践性を重視した訓練が必要ですね。

学校教育の場にも伝えていきたい

古森 英語力に実践性を持たせるためには、「英語圏のコミュニケーションの本質」を理解する必要がある。その本質とは、「自分の意見を表明し、議論すること」ですね。しかしこれは、本来は企業だけで全部カバーできる問題ではないと思っています。家庭の子育てと学校教育もセットで変わっていかないと、なかなか根は深いですね。

石井 おっしゃる通りで、英語以前に、まず日本語の世界でそれをやるべきです。企業の日常の場面で、日本語で会議をしている際にも、意見表明を心がける必要があります。それは、英語圏のコミュニケーション云々以前に、仕事の基本なのではないでしょうか。学校教育でも、そういうオープンな議論が成り立つような種を、早い段階からまいていくべきです。

古森 帰国後に石井さんのお子さんが「落ち着きがない」と言われた話などは、その象徴ですね。授業の進め方にしても、何を持ってよしとするか。今日と将来の経済環境、就業環境から逆算して考えた場合、検討のポイントが多々あるように思います。子供達は将来に生きるわけですから、先を見た教育をしてあげないとかわいそうだと思います。

石井 そう思います。英語以前にまず、自分という個性を持つことや、ものを口に出して表明することの重要性をいかに子供たちに意識させるかですね。日本中の学校教育が一気に変わらなくても、PTAだとか地域の運動などを通して、草の根でやっていけることがあると思います。私も以前PTAの活動をやっていましたが、ビジネスの現場で学んだことを、私なりに学校という場に伝えてきたつもりです。挨拶運動など、形としてはとても単純なものから始まったりしますが、そういうことの積み重ねが大事だと思います。

古森 そういう活動、本当に意義があると思います。企業の現場で起きていることを知っている人が、色々な形で世の中にメッセージを出して行く。あるいは、行動を起こして行く。教育批判をする前に、まずそれが必要ですね。

そろそろお時間になりました。お話の中に、私も共鳴する部分がたくさんありました。石井さん、本日はどうも有難うございました。

~ 対談後記 ~
原体験のある人は、やはり自分の軸がぶれないのだなぁ・・・ということを、石井さんのお話を伺いながら感じていました。米国駐在時のご経験が、その後のキャリアにしっかりと生かされているのが良く分かります。カルチャーショックを受けた時、驚きやとまどいのまま「消費」して終わる人もいます。石井さんの場合は、自ら現地でネットワークを作り、未体験のアメリカという環境に、自分の意思と行動で溶け込んでいったわけですね。「こんなことしていいのかな」「他の日本人にどう思われるかな」などと考えていたら、出来ない行動です。人事機能のトップとして活躍されつつ、個人としてのさらなる成長を意識している石井さん。グローバル企業で働く日本人の、ロールモデルの一つだと思います。私も頑張らねば、と新たな刺激を受けました。

石井さん、有難うございました。