C-Suite Talk Live第42回 三菱化学株式会社 取締役 常務執行役員 大平 教義 さん (2/4) | マーサージャパン

C-Suite Talk Live第42回 三菱化学株式会社 取締役 常務執行役員 大平 教義 さん (2/4)

ライブラリ / 「経営×人・組織」視点の対談 C-Suite Talk Live / 第42回(2/4)

第42回 三菱化学株式会社 取締役 常務執行役員 コンプライアンス推進統括執行役員 広報室、内部統制推進部、総務部、人事部、人材・組織開発部分担 大平 教義さん
Calendar2011/05/12

グローバル人材の前提は、「仕事が出来ること」

古森 ここ数年、多くの日本企業において「グローバル経営の推進待ったなし」という危機感があって、いかにそれを支えるグローバル人材を育成していくかが焦点になっています。大平さんは、グローバル人材の育成に関してどのような視点をお持ちですか。

大平 グローバル人材の育成は、弊社グループ全体の最重要テーマのひとつになっています。2011年4月から「APTSIS 15」という5ヵ年の中期経営計画をスタートさせましたが、その中では、「グローバル人材」の育成と「イノベーション」の重要性が強調されています。

古森 「グローバル人材」と「イノベーション」。それらは、ある部分でつながっているのでしょうね。

大平 そうです。これからのグローバル競争の中では、2番手、3番手では勝てません。新しい価値を生み出していく「人」をどう作るか。しかし、「人」は一朝一夕には育ちませんから、地道に経験値を積み上げていく営みが必要です。ですから、経営としても3年~5年の中期的視点で軸足をぶらさないようにしているのです。

古森 最近の日本の平均的な傾向として指摘されるのが、若者の「海外ばなれ」です。企業としてのグローバル人材のニーズがどんどん高まっている反面、これからグローバルで勝負していく世代がそれほど海外に対して前向きでないという話です。これについては、どう見ておられますか。

大平 その点に関しては、私は楽観的です。海外志向というのは、もちろん良いことだと思いますし、弊社に入社して来る若手の方々には、実際「海外で仕事をしたい」という方々も多数おられます。しかし、私は、海外志向を持っていることがグローバル人材の基本要件だとは思っていないのですよ。

古森 他に、もっと大事なことがあると?

大平 はい。日本でちゃんと仕事ができる人は、好奇心に溢れ、オープンマインドで、相手の人の話をきちんと聞ける、論理的に説明ができるといった特徴を持っていますが、こうしたコンピタンシーを持った人材は、海外でもちゃんと仕事ができると思います。日本は海外に比べて多様性が低いから、海外に出ると苦労するという声もあります。しかし、日本だって、本当にしっかりと仕事をしようと思ったら、日本なりの多様性と折り合いをつけながら仕事を進めなければなりません。多様性の中身が違っていても、やはり仕事を突き詰めていけば、多様性への対応力は身についてくるものです。

古森 なるほど・・・。

大平 結局、多様性への対応力というのは、相手の立場や気持ちを理解して動けるかというところに帰結すると思うのですよ。それは、日本でも同じことですからね。

古森 英語に関しては、どう思われますか。

大平 たしかに、英語は最初から堪能なほうが良いでしょう。また実際、最近入社して来る方々は、以前に比べると英語力もあがっていると思います。しかし、本質的には、グローバル人材の育成において英語が先に来るわけではないのです。英語が得意だからという理由で人を海外に出しても、うまくいきません。逆に、日本で仕事の本質を突き詰めた人材なら、英語は必要に応じて身に着いていきます。

古森 根底には、先ほどの「協奏」とも通じる思想があるように感じます。うまく言えませんが、仕組みとか形式要件よりも先に、まず有機的な「人」そのものの動きだとか、本質的な部分での成長を重視しているような印象を受けます。

大平 私としては、「グローバルな仕事を出来る人」がグローバル人材です。その人が日本にいようとシンガポールにいようと、同じことですよ。また、仕事によっても「グローバル」の持つ意味は様々です。色々な人の才能や持ち味を見出して、生かしていくことが基本だと思います。そのためには、まず、仕事の中で地道に実力を磨いていくことです。

古森冒頭に話しておられた、「お互いにわかりあう」という話を思い出します。日ごろからグループ内で色々な「人」を認識しているからこそ、適材を見出し、適所で経験を積んでいただくということが可能になるのですね。