C-Suite Talk Live第43回 ノードソン株式会社 代表取締役 副社長 内田勝さん

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第43回 ノードソン株式会社 代表取締役 副社長 内田勝さん
Calendar2011/10/13

マネジメント職のドアは常に開かれているべき

古森 「人材育成は経営者の重要ミッション」という言葉自体は、それに違和感を覚える人は少ないでしょう。ただ、内田さんのように非常に具体的なところまで入っていって真剣勝負で取り組んでいるかどうかといえば、世間の経営者のすべてがそうではないと思います。一概にどういうスタイルが良いとは言えないのですが、内田さんには内田さんの確固たる思想があるのだと感銘を受けました。でも、そのようにきめ細かなスタンスで組織と接していると、キャパシティマネジメントが大変ではないですか?

内田 それはそうです。人材育成以外にも色々とやらねばならないことがありますし、経営者ですから重要なことだけ選んで時間を使えば済むというものでもありません。ただ、経営者として何を大事にすべきかについては、正しいと信じるものを守りたいのです。

古森経営者として、他にはどのようなことを特に重視しておれますか。

内田 そうですね・・・。人材育成に近い話かもしれませんが、「人々の相談に乗る」という役目も、私は大事にしているつもりです。これは、経営者のあり方にとどまらず、マネジメント職全般に当てはまることとして、社内でも日頃から言っていることです。

古森相談に乗ることもマネジメントの仕事のうちだと。

内田 はい。例えば、私の組織に50人のメンバーがいるとしましょう。その時に、私にとっては50人でも、彼ら・彼女ら個々人から見れば私は1人なんですよね。その1人に対して、50人のうちの誰かが「内田さん、話がしたいんですが」と言ってきたときに、「いや、今は忙しいから」とやってしまったら、どうなるでしょうか。こういう反応は、私は絶対にやらないようにしているのです。どんなに締め切りに追われていても、どんなに忙しくても、私は「内田さん、ちょっと相談があるんです」「報告したいことがあるんです」と来る人がいれば、「何があったの」と話すようにしています。そのために私は朝7時に会社に来て仕事のキャパシティを空けるようにしています。いつでも相談に「Ready」な状況になっておきたいからです。

古森 素晴らしいですね。組織を構成する個々人にとってみれば、1人しかいないマネジメント職は、その人にとって100%なわけですね。その相談ニーズにちゃんと応えていこうということですね。

内田 「私は忙しいから」と言っているうちは、マネジメント職としてはまだ自分中心、不十分なのです。マネジメント職になったら、部下という「相手」の立場を考える必要があります。彼ら・彼女らにとっては、「何がなんでも今、相談したい」という場合があるわけで、そのタイミングを逸することは避けなければなりません。

古森 しかも日本の場合、一応気を遣うはずですから、そうやって直接来るということは、やっぱりどうしても話したいことがあるという場合が多いでしょうね。

内田 会社にとって重要かどうかは別にして、個々人にとっては非常に重要な相談なわけです。だからそれを理解してあげる優しさを持たなければ、マネジメント職はつとまらないと思っています。

古森 そういう姿勢というのは、マネジメントのスタイルとして万国共通な部分があると思います。これも冒頭に出た「聴く」という姿勢の一つだと思います。グローバル企業のマネジメント層の人間でも、よく「My door is always open.」などと言いますね。これは、部屋のドアが本当に開いているかどうかではなくて、「いつでも相談においで」という意味ですよね。そして、メールを出したり電話をしたり、あるいは実際に会いに行くなどすれば、離席中でない限りは何らかの形で話せるようになっているものです。

内田 一人の優秀人材が一生懸命動いたとしても、大きな企業組織の単位で見ればたかが知れているわけです。マネジメント職としては、大きなプレッシャーを背負いながらも、組織にいる人々のモティベーションを上げるために工夫をこらすべきで、そのほうが結局は近道なのですよ。グローバル企業ともなれば、トップの資質というのはこれが出来るかどうかに収斂すると言っても過言ではないと思います。

古森 予期せぬ相談を持ちかけられることで、マネジメント職側にもメリットが生まれる場合があるのではないでしょうか。

内田 まさにそうです。私はどんな人の話でもきちんと聴くようにしていますが、そうすると、目から鱗が落ちる場面が本当にあるのですよ。だから、絶対に人々の話をオープンに聴くことには意義があります。経営にとって重大なヒントが潜んでいることがあるのです。

古森 日本人の「真面目な」メンタリティの裏返しとして、「相談を受けたら何か答えを出さねばならない」という脅迫観念もあるかもしれませんね。忙しいときは答えを出すだけの余裕がないので、「今相談されても困る」という思考回路になってしまうとか・・・。本来は、相談事を「聴く」ということと、それに対して「答えを出す」ということとは、一対一対応ではないと思うのですよ。

内田 その通りです。営業活動でも一緒で、まずは「問題の共有化を図れ」ということです。そこから一歩が進むわけです。ただ、そんなことをいつも言っているものですから、本当に問題ばかり寄せられてしまって、「たまには良い話も持って来てよ!」なんて冗談を言ったりするのですが(笑)。

古森 そういう内田さんのオープンなキャラクターがいいですね。仮に日本を離れて海外の職場でマネジメントをされるようになっても、内田さんは今と同じようなスタンスで人々に接していかれるのではないかと想像します。

内田 それは、そうだと思います。私は別に、シンガポールに行こうが、中国であろうが、マネジメントせよと言われればやれるという自信があります。私なりに現地の世界に入って行って、そこにいる人々の話を聴き、理解しあいながら仕事を進めていくだけです。そういう部分は、普遍的だと思います。

古森 そろそろ、時間になりました。今日本の企業にいて今後のグローバル化を考えている人々も含めて、多くの人々に示唆のあるお話を伺うことができたと思います。内田さん、本日はどうもありがとうございました。