C-Suite Talk Live第45回 フリービット株式会社 酒井 穣さん

ライブラリ / 「経営×人・組織」視点の対談 C-Suite Talk Live / 第45回(1/4)

第45回 フリービット株式会社 酒井 穣さん
Calendar2011/12/26
C-Suite Talk Live 第45回 ~対談エッセンス~
  • 創業の遺伝子が生きて動いている会社
  • サイズを大きく見せないことが大事
  • アイディアだけではなく「実装力」を
  • 人類は新たな言語を手に入れた

創業の遺伝子が生きて動いている会社

古森 本日は、お忙しいところを有難うございます。この対談シリーズ、何かの答えを求めるものではなく、読まれる方々が考えを深めたり行動を始めたりするヒントになるものが出せればいいな、と思って続けています。よろしくお願いいたします。

酒井 どうぞよろしくお願いします。

古森 最初に、フリービットという会社のこと、そして、酒井さんがどのような思いでこの会社に参画されたかをお聞かせいただけますか。起業家タイプの酒井さんが、フリービットという組織に身を置く上での思いはどのようなものなのだろうかと、常々思っておりました。まずはそのあたりから・・・。

酒井 そうですね、まずはそこからですね。

古森 長くなりそうな予感が・・・(笑)

酒井 手短にお話します(笑)。フリービットという会社は、「インターネットをひろげ、社会に貢献する」というのを理念に掲げた企業です。

古森 シンプルな理念ですね。

酒井 はい。シンプルなのですが、含意は深いものがあります。まず、ここでいうインターネットというのは、いわゆる「Webブラウザ」の世界に限定したことではありません。弊社では、あくまでもインターネット本来の潜在性を、インフラの視点から引き出すことを目指しています。

古森 インターネット本来の潜在性。

酒井 ご存知の通り、インターネットは1969年にアメリカ国防総省のプロジェクト(ARPANET)を起源とし、1993年にアメリカで開発されたWebブラウザに端を発して爆発的に普及してきたインフラです。今やWebは世界中に広がって、あらゆるところに浸透しつつあります。しかし、「Webブラウザ=インターネット」という見方をしてしまいますと、インターネットの潜在性を見誤ることにもなります。Webブラウザというのは、あくまでもその潜在性の一部を使いやすくした画期的なアプリケーションの一つに過ぎないのです。

古森なるほど、そうなのですね。

酒井 ですので、Webブラウザというのはインターネットの発展に大きく貢献した一方で、見方を変えると、インターネットの成長をむしろ制約する面もあるのです。いわゆる「IT革命」ですとか、「Web2.0」といった動きは全てWebブラウザという一つのアプリケーションの中だけの出来事に偏重していて、まだまだインターネット本来の力や可能性を引き出したものではないのですよ。

古森そういう見方があるのですか・・・。インターネットの潜在性がいかんなく発揮されていくと、どういうことが起きるのでしょうか。

酒井 本来のインターネットの姿というのは、人間同士だけではなくて、たくさんのモノとモノが互いに結びつくためのアーキテクチャなのです。あらゆる機器が安全・安心な状態で自由につながって、かつ、それぞれがアクティブにコミュニケーションをとるような状態が実現されたとき初めて、インターネットは本当の力を発揮したことになります。

古森なるほど。もっともっと、色々なものがつながった世の中が出現してくるのですね。人類社会のあり方が、大きく変わりそうですね。その中で、フリービットという企業の存在意義はどのあたりにあるのでしょうか。

酒井 目指すべきインターネットの姿を実現するためには、いつでも、どこでも、何からでも、プロバイダや国境さえ越えて、直接かつ安全につながる環境を構築する事が必要になります。弊社では、既存のインターネットアーキテクチャを考慮しつつ独自技術を使った次世代のインターネット環境を架設しています。

古森 技術の詳細には今日は立ち入りませんが、本来のインターネットの可能性発揮を実現すべく新しいインターネット環境自体を生み出していくのがフリービットという会社なのですね。

酒井 そうです。Webを「2.0から3.0に発展させる」という軸で考えるのではなくて、日本の特徴ともいうべき緻密さ、勤勉さを生かして、「Web(クモの巣)をSiLK(絹)のようになめらかにする」という言い方をしています。インターネットがもっと人間の暮らしに役立つように、フロンティアを切り開いていくという意識で皆が動いています。理念であり、同時に執念ですね。

古森 そこに酒井さんが参画された理由というのは?

酒井それはですね・・・。やはり創業メンバーが依然としてそのまま活躍しているということが大きかったですね。創業期にアパートの一部屋を共有して、寝ないでプロダクトを作ってきたような人たちが、まだほとんどそのまま活躍しているのです。今お話した理念的なものも、生きたままそこにある感じです。

古森 酒井さんご自信も、以前ベンチャーを立ち上げておられましたね。

酒井 はい、オランダ時代に少しやっていました。自分は起業家タイプだと思っていますし、ベンチャー経営以外にも、これまでの仕事の選び方や生き方は起業家的であったと思います。しかし、社長の石田に会ったときに、私はものすごい衝撃を受けまして・・・。

古森ものすごい衝撃。

酒井 大げさに聞こえるかもしれませんが、石田は歴史に名を残す傑物だと思っています。これはお世辞抜きに、です。私は、人の下で働くよりも自分で起業したいタイプなのですが、石田に会ったとき、「スケールが違うなぁ」と思いましたね。それで、「是非ビジョンを一緒に追いかけさせてもらいたい」と思ったのが正直な気持ちでした。

古森 それで参画を決めて、オランダから帰って来られたのですね。

酒井 そうです。ビジョンとして考えていることにも、私は共感を覚えましたね。石田は「創業50年でソニーになる、5兆円企業になる」と言っています。もちろん、ソニーと同じ企業になるという意味ではありませんが、ひとつの象徴として、ですね。

古森 わかります。

酒井 でも、荒唐無稽なビジョンではないと思っています。あと39年、年率15%で成長していけば到達できるわけですから。この会社の創業メンバーたちは、「今あるリソースから将来を考える」のではなくて、「ビジョンから逆算して今何をすべきかを考える」というスタンスです。ここにも、強くひかれるものがありました。