C-Suite Talk Live第45回 フリービット株式会社 酒井 穣さん

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第45回 フリービット株式会社 酒井 穣さん
Calendar2011/12/26

サイズを大きく見せないことが大事

古森 しかし、ベンチャーといっても既にマザーズの上場企業で、組織も大きくなってきていますよね。今、何名くらい在籍しているのですか。

酒井 グループ全体で723名(2011年10月末時点)です。創業当初の組織規模からすると、もう100倍ぐらいの大きさになっていますね。

古森 今後、ビジョンに向かって成長していくうえで、さらに大きくなっていくのでしょうね。

酒井 当然そうなります。

古森 理念やビジョンなど、仕事の上位に来る考え方の濃さのようなものは、組織の拡大とともに薄れていくのが世の常ですね。ここは、ほとんどの企業が創業期から次の段階に入る際に苦労される部分です。フリービットでは、この点はどうですか。

酒井 そのリスクは認識しています。現在のところ創業の遺伝子というものは組織内に共有されているのですが、まさに今後の組織拡大の中でどうするかですね。これまでと違ったタイプの強みや特性を持った人材も組織に入れていかなければなりませんし、人材の多様性が高まれば、当然価値観体系の希薄化リスクは出てきます。かといって、それを恐れて新しいタイプの人材を採用・育成しないわけにもいきません。

古森 ビジョンに向かって成長していくからには、このリスクと向き合うしかないということですね。

酒井 ひとつ大きなプラスだと思うのは、社長の石田がいわゆる「上場に成功した創業社長」然とした振る舞いをしていないということです。それなりの富を手にしてもなお、インターネットの一般的ユーザーと等身大の生活をしなければ感覚がつかめないと言って、できるだけ普通の生活を心がけています。このあたりは、組織的施策ではないのですが、ベンチャーが創業期から次に行く際の価値観の希薄化に一定の歯止めにはなっていると思います。

古森 なるほど、それは大きいでしょうね。

酒井 それから、「インターネットをひろげ、社会に貢献する」という言葉の意味を、社内で噛み砕いて具体化する作業を進めています。かなりブレイクダウンされてきましたし、内容のアップデートもしています。こうした解釈・具体化の活動を組織拡大と平行して進めていますので、共通言語が出来てきましたね。

古森価値観そのものの解釈・具体化を有機的に進めておられるのですね。何か、組織・人事的な面で工夫しておられることはありますか。

酒井社外取締役の出井さんから頂いた示唆なのですが、「サイズを大きく見せないことだ」ということを意識しています。

古森 ははぁ、なるほど。御社のホームページに創業時の小さい所帯の頃の写真などがありましたが、あの雰囲気を残すべし・・・ということでしょうかね。会社全体として大組織になろうとも、個々のメンバーから見た場合に、大きく感じさせないような工夫が必要ということですね。

酒井 それを強く意識しなければならないと思います。それぞれのメンバーが、「自分たちがこのフリービットを動かしているんだ!」という気持ちになるような、そのブロックをどう作るかを試行錯誤しています。防水繊維で有名なゴアテックスは、人員が150名を超えたところで別の工場を建てて、150人までしか1箇所にいられない状況を意図的に作ったりしています。150名くらいまでで組織単位を考えるというのは、ひとつの参考にしています。

古森 そこに、先ほどの価値観の話もリンクしてくるのでしょうね。

酒井 その通りです。創業メンバー以外のリーダーたちが自分の言葉で価値観を語れる状態を作るということが非常に重要です。そういう語りのできる人物がリードする単位が、結局は実質的な組織の単位になっていきます。リーダー層における価値観の共有がうまくいけば、その価値観を維持した形での「大きく感じさせない」組織の運営が成り立つわけです。