C-Suite Talk Live第45回 フリービット株式会社 酒井 穣さん

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第45回 フリービット株式会社 酒井 穣さん
Calendar2011/12/26

アイディアだけではなく「実装力」を

古森 リーダーの話が出ましたが、フリービットでは価値観の視点以外にどのような要素をコア人材の要件として考えていますか。

酒井今後人材ポートフォリオが拡充していく中では、単線的に同じ要素をすべてのリーダー層に求めていくことは適切ではありません。しかし、明らかに重要なことは、いくつかあります。

古森 是非お聞かせ下さい。

酒井まず、「早く動いて、早く失敗して、早く修正する」という考え方。弊社の社是の一部なのですが、とにかく、アクションのスピードが重要です。これは考え方であるとともに、行動特性として出来ていなければなりません。

古森 飛びぬけて変化の速い業界ですから、スピードの視点は欠かせないのですね。単に「速く」というのではなくて、考えから行動に移る初動の部分と、その後の試行錯誤、修正・改善のそれぞれを速く!と言っているところに、磨きこまれた言葉の力を感じます。

酒井昔に比べると、マネジメントやリーダーシップに関する知識の底上げというのが起こっていて、「何に気をつけなくてはいけないか」ということは、多くの人が認識しているのが今の世の中です。知識としては、ですね。一方で、実際の行動はまだまだ・・・という場合が多いでしょう。弊社では、動きにスピードが出ない人には社内からの認知が集まらないですね。

古森他にはどんなことを重視していますか。

酒井今のスピードの話にもつながるのですが、「実装力」という視点を大事にしています。

古森 実装力。

酒井 例えば、何か新製品のアイディアが浮かんできたとしますね。それで、そのアイディアを組織の場に提案していく際にどうするか・・・。弊社では、「こんなアイディアはどうでしょう。エンジニアの人、作ってもらえますか」というスタンスでは、歓迎されません。アイディアを出すだけでは、だめなのです。やはりテクノロジー企業ですから、プロトタイプくらいは自分で作って欲しいという期待値があります。

古森 テクノロジー自体に皮膚感覚がないと、だめだと。

酒井 それが希薄だと、競争力のあるアイディアが出ないと思います。技術に対する知見がないまま出てくるアイディアに、価値がまったくないとは言いませんよ。でも、そういうアイディアというのは、他の誰でも思いつく可能性が高いわけです。出てくるアイディア自体に差別化できる要因がなければ、これだけ競争が激しい業界ですから、厳しいと思います。

古森 技術だけでもなく、着想だけでもなく、技術的感覚を伴った着想が重要なのですね。

酒井 アイディア一発で勝てる世界というのは、もうあまり残されていないのではないかと思うようにしています。そうなると、アイディア形成の段階で、アイディアを出す人が実際に形にしながら作っていくものが非常に重要なのです。それを「実装力」と呼んでいます。もちろん、世の中すべてがそうだと言うつもりはありませんよ。色んなビジネスがありますから。

古森フリービットが定義する競争優位性の源泉の一つは、ここにあるのですね。

酒井 今後の市場展開のことを考えても、これは必須の差別化要素です。ソニーに匹敵する企業になろうと思ったら、海外市場は避けて通れませんから。インフォメーションテクノロジーによって何かを生み出している会社というのは、世界で価値を提供することが出来ます。そのテクノロジーを本当に好きなエンジニアが時間をかけて自作したものが持つ差別化力というのは、特許にもなりますし、そう簡単にはコピーできるものではありません。ここはやはり、それなりに時間がかかります。

古森 そこを作ってしまえば、世界市場を相手に本当に競争優位に立つことが出来ると・・・。

酒井 ですから、人の採用にもこだわっています。特に新卒のエンジニアの場合は、インフォメーションテクノロジーが好きでたまらないような人を採用しています。この業界、1人のエンジニアが100人のエンジニアに勝ててしまう世界ですから。エンジニアに関しては、本当にもう、「ぶっ飛んで優秀な人」を採用しなければなりません。幸い、今はそういう方々に来て頂けています。