C-Suite Talk Live第46回 NPO法人 クロスフィールズ 小沼 大地さん、 松島 由佳さん | マーサージャパン

C-Suite Talk Live第46回 NPO法人 クロスフィールズ 小沼 大地さん、 松島 由佳さん

ライブラリ / 「経営×人・組織」視点の対談 C-Suite Talk Live / 第46回(4/4)

第46回 NPO法人 クロスフィールズ 代表理事 小沼 大地さん、理事 松島 由佳さん
Calendar2012/01/19

「枠を超える」経験をもつ人材を増やしたい

古森 2012年の夏に、創業一周年になりますね。まだ始まったばかりでしょうが、今後の展望はどのような感じでしょうか。

小沼 2012年に関しては、まずは年間で15人の実績・・・というラインを目指しております。あくまでも質を重視して立ち上げて行きたいと思っていますので、そのくらいの規模が現実的だろうと。

古森 でも、本当に15人が深い経験を積んで帰ってきて、企業の中で何かを動かし始めたら、決して小さな話ではないですよね。

小沼 本当にそう思います。そして、これは計画というよりはアスピレーションなのですが、2020年には2,000人というところまで行きたいと思っています。

古森 2020年に2,000人。これは毎年、1年間にということですか?

小沼 そうです。1年間あたり2,000人ですね。

古森 それで毎年人材を輩出していくと、かなりの数になりますね。5年で1万人・・・。そこまで行くと、社会的インパクトが出てくるのではないでしょうか。

小沼 そういうレベルのことを考えています。荒唐無稽な話ではなくて、今アメリカでパートナーになって頂いている団体が、ちょうど年間2,000人ぐらい派遣しているのです。国は違いますけれど、そういう規模感での人の動きというのは実際にあるわけです。それに、日本の青年海外協力隊が年間1,700人ですよ。そのレベルを超えてみようという目線です。

古森 今の日本を前提にして現実的に考えれば、企業の組織の内側に「青年海外協力隊」的な世界を作らない限り、覚醒した個人がアウトローになってしまって、活躍の機会自体がまわってこないのでしょうね。考えようによっては、大きな社会的ロスかもしれません。

小沼「最近の若手は・・・」とよく言われますけれども、若手の多くは「挑戦したい」「新しいものを吸収したい」と間違いなく思っています。ただ、大きな企業組織に入って数年経って、挑戦の機会をしばらく与えられないでいると、せっかくの情熱も冷めていってしまうのです。そうして、多くの人が情熱にフタをして生きていくか、そうではない場合には、今いる企業の外に解を求めて転職していくのです。優秀な人になればなるほど、いうなれば「枠を超える」経験を求めて外に出て行く傾向が強いと思います。

古森 「枠を超える」、ですか。

小沼クロスフィールズのコンセプトの一つは、その「枠を超える」経験を、現在の勤務先にいながらにして実現するお手伝い・・・ということになります。「枠を超える」という原体験をいかに提供できるか。

古森 「枠」にも色々ありますね。

小沼 あります。国境を超えるというのも、その一つです。あるいは、セクターですね。「営利」という概念を一回超えてみる。「既成概念を超える」というのも、すごく大事だと思っています。今の自分の「枠」になっているものを一回超えるような経験を、20代~30代の頃に持つことによって、キャリアの活性度が大きく変わるだろうと思います。そういうことは、必ずしも転職しなくても実現できるはずです。逆に、転職すれば実現するというものでもありません。

松島そういう「枠を超える」ということ自体への意義を感じている人が企業内に増えていけば、やがて大きな変化になっていくと思うのです。

古森 素晴らしいですね。ただ、「鶏と卵」の関係かもしれませんが、今現在、企業内にそうした「枠超え」の皮膚感覚を持った人が少ない場合には、なかなかこの「留職」という発想が理解されないかもしれませんね。総論は賛成でも、実際の動きにはつながりにくいケースが出てくるでしょうね。

松島 それを嘆いても仕方がありませんので、出来るだけ組織内にこのプログラムに関するリテラシーを形成できるような仕掛けも考えているところです。実際に「留職」された方の経験を、ケーススタディにして社内研修などの場面で共有するようにしていきます。今、いくつかの企業さんとその準備討議を進めているところです。

古森なるほど、まずは少数でも派遣してみて、その経験を共有することで、企業内の多くの人々が疑似体験できる場を作っていくわけですね。ケースの内容にリアリティがあって、いいですね。

松島 やはり、本当に行った人々に直接会って話をすることで、内容面もさることながら、その人の顔の表情の変化ですとか、仕事のやり方の変化ですとか、そういった色々な部分で何か違いを感じてもらえるようにしたいと思っています。また、そういう場を作ることで、目覚めて帰ってきた人たちに、主体的な情報発信と、それに対する認知の機会を与えることも出来るはずです。

古森 私がずっと思っていることの一つに、「人材育成こそがCSRだ」というのがあります。どこかの山に植林をしていても、人材をスポイルしているようではCSRなんて空虚な響きですよ。逆に、お金をかけて育てた人が社外に出てしまった場合というのは、見方を変えれば大きな社会貢献ですよ。日本という国の最大の資源は人材なのですから。

小沼 まさに、社会的視点で見て、企業における人材育成が非常に大事だと思います。企業内の覚醒した個人は、一企業の枠を超えて、社会全体のアセットになるはずです。それが、われわれがクロスフィールズに込めた思いなのです。

古森 その思いが、どんどん形になっていくといいですね。

ああ、もう時間になってしまいました・・・。今後の活動の進展が、本当に楽しみですね。心より応援しております。ぜひまた、情報交換させて下さい。本日は、どうも有難うございました。