ライブラリ / 「経営×人・組織」視点の対談 C-Suite Talk Live / 第50回(1/4)
第50回 カルビー株式会社 代表取締役会長兼CEO 松本 晃さん

C-Suite Talk Live 第50回 ~対談エッセンス~
- 日本の人材がグローバル競争で活躍できない理由
- なぜ多くの日本企業の経営が傾いているのか
- ダイバーシティの本質とは、相手を理解すること
- 本当の意味でのCSRを考えるべき時
- 経営とは10区で終わらない箱根駅伝のようなもの
日本の人材がグローバル競争で活躍できない理由
古森本日はお忙しい中お時間をいただきまして、ありがとうございます。この対談シリーズ、3年ほど前に始めまして、今回がちょうど50回目になります。各界のリーダーの方々に「人・組織」にまつわるお話を伺い、読み手に何かヒントになるものが提供できれば・・・という思いで続けております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
松本 よろしくお願いします。どのあたりからお話ししましょうか。
古森 最初の切り口としましては、やはり「グローバル」というキーワードを聞いたときに、松本さんが何を想起されるかをお伺いしたいと思っております。松本さんは、外資系企業で長く経営の仕事をされ、今またカルビーという日本企業のグローバル経営を進化させていかれるお立場ですね。実際にグローバル組織での経営職をつとめて来られた皮膚感覚から、「人・組織」について思うところをお伺いできればと。

松本なるほど。そうなると、かなり厳しいことを言わせていただくことになりますね。最初に言っておきますが、私は「がんばれニッポン」というのが根底にあります。その上で、現実を直視して、厳しいことを申し上げます。
古森 ぜひ、よろしくお願いいたします。
松本 まず、「グローバル」というテーマの中で人材の話をする場合には、私は、現実的には日本と海外のことを分けて考える必要があると思っています。
古森 分けて考える・・・。
松本 一部の場面を除いて、私は現在の普通の日本人が、海外のビジネスでそんなに活躍できるとは思っていないのです。特に、現地の消費者の志向性を重視する業界の場合、基本的には海外の材料を使って、海外の機械を使って、海外の人を使って、海外で作って海外で売る・・・ということになります。海外の市場では、あまり日本人の出番はないですね。
古森 いきなりショッキングなお言葉ですが、なぜ「日本人の出番はあまりない」とお考えなのでしょうか。
松本 日本人は、勉強しないからです。
古森 勉強をしない。
松本 本当の意味での勉強をしない人が多いですし、働き方にも問題があります。その上、グローバル市場で俯瞰した場合には、人件費も非常に高いわけです。もちろん、個別に見て海外市場で通用する人材はそれなりにいると思いますが、日本人の平均的な姿を直視すると、このように言わざるをえません。
古森 そういえば、松本さんが「日本の経営者は勉強が足りない」と、どこかの講演でコメントしておられたのを記憶しております。
松本経営者に限らず、ビジネスをやる以上、一人ひとりがビジネスに関する実力をきちんと身につけておくべきだと思います。勉強と言っても、座学のことだけではありません。知識、経験、技能。それらを総合して高めていく努力をしていないと、この厳しい時代に価値のある仕事なんて出来ないと思います。
古森 ビジネスの実力につながる学びが足りない、その努力がなされていない、ということですね。
松本 中国のことわざの通りで、「思いて学ばざれば、これすなわち危し」です。「学び続けなければならない」と思っている人はそれなりにいるでしょうが、実際にそうするかどうかといえば、また別の話です。
古森 「Think」や「Say」ではなく、学ぶということに関して「Do」があるかどうか。
松本 例えば、新しい商品ひとつを世に出す場合でも、研究開発や設備、物流など色々な部分に投資が必要になりますね。投資しなければ、その先はないのです。これは人間でも同じことで、個人として成長したいと思うのであれば、投資が必要なのです。では、個人にとっての投資とは何か?学ぶということ以外にないでしょう。
古森 まさに、その通りですね。
松本 そのためには、学びのために自分の時間を作る必要があります。お金も多少は必要な場合があります。時間もお金も労力も、すべて自分への投資ですよ。それをしない日本人が多いと思います。私が目的の明確でない長時間労働を快く思わないのも、このためです。
古森 自分に投資をしようと思ったら、24時間の使い方は自分で責任を持ってコントロールせよと。
松本 そうしないと、今そこにある仕事を繰り返していくことになりがちです。自分の中に新しいインプットが入ってこなくなりますし、現業の生産性もあがりません。夜遅くまで働いていると、まず趣味はできませんね。家庭にも時間を使えません。勉強もできない。それらはすべて、人間として何かを学んでいく上で大切なものです。自分で自分に投資すると決めて、実際にそれにチャレンジしていかなければ駄目です。
古森 個々人が働き方を変えて、本当に自分に投資していくようにしないと、日本人がグローバル競争で活躍する機会は減る一方・・・というイメージですね。
松本 残念ながら、そう思います。だからといって、手をこまねいて見ているのではなく、経営者としてはそれぞれの持ち場で現状を変えていくための取り組みをしなければなりません。
松本 よろしくお願いします。どのあたりからお話ししましょうか。
古森 最初の切り口としましては、やはり「グローバル」というキーワードを聞いたときに、松本さんが何を想起されるかをお伺いしたいと思っております。松本さんは、外資系企業で長く経営の仕事をされ、今またカルビーという日本企業のグローバル経営を進化させていかれるお立場ですね。実際にグローバル組織での経営職をつとめて来られた皮膚感覚から、「人・組織」について思うところをお伺いできればと。

古森 ぜひ、よろしくお願いいたします。
松本 まず、「グローバル」というテーマの中で人材の話をする場合には、私は、現実的には日本と海外のことを分けて考える必要があると思っています。
古森 分けて考える・・・。
松本 一部の場面を除いて、私は現在の普通の日本人が、海外のビジネスでそんなに活躍できるとは思っていないのです。特に、現地の消費者の志向性を重視する業界の場合、基本的には海外の材料を使って、海外の機械を使って、海外の人を使って、海外で作って海外で売る・・・ということになります。海外の市場では、あまり日本人の出番はないですね。
古森 いきなりショッキングなお言葉ですが、なぜ「日本人の出番はあまりない」とお考えなのでしょうか。
松本 日本人は、勉強しないからです。
古森 勉強をしない。
松本 本当の意味での勉強をしない人が多いですし、働き方にも問題があります。その上、グローバル市場で俯瞰した場合には、人件費も非常に高いわけです。もちろん、個別に見て海外市場で通用する人材はそれなりにいると思いますが、日本人の平均的な姿を直視すると、このように言わざるをえません。
古森 そういえば、松本さんが「日本の経営者は勉強が足りない」と、どこかの講演でコメントしておられたのを記憶しております。
松本経営者に限らず、ビジネスをやる以上、一人ひとりがビジネスに関する実力をきちんと身につけておくべきだと思います。勉強と言っても、座学のことだけではありません。知識、経験、技能。それらを総合して高めていく努力をしていないと、この厳しい時代に価値のある仕事なんて出来ないと思います。
古森 ビジネスの実力につながる学びが足りない、その努力がなされていない、ということですね。
松本 中国のことわざの通りで、「思いて学ばざれば、これすなわち危し」です。「学び続けなければならない」と思っている人はそれなりにいるでしょうが、実際にそうするかどうかといえば、また別の話です。
古森 「Think」や「Say」ではなく、学ぶということに関して「Do」があるかどうか。
松本 例えば、新しい商品ひとつを世に出す場合でも、研究開発や設備、物流など色々な部分に投資が必要になりますね。投資しなければ、その先はないのです。これは人間でも同じことで、個人として成長したいと思うのであれば、投資が必要なのです。では、個人にとっての投資とは何か?学ぶということ以外にないでしょう。
古森 まさに、その通りですね。
松本 そのためには、学びのために自分の時間を作る必要があります。お金も多少は必要な場合があります。時間もお金も労力も、すべて自分への投資ですよ。それをしない日本人が多いと思います。私が目的の明確でない長時間労働を快く思わないのも、このためです。
古森 自分に投資をしようと思ったら、24時間の使い方は自分で責任を持ってコントロールせよと。
松本 そうしないと、今そこにある仕事を繰り返していくことになりがちです。自分の中に新しいインプットが入ってこなくなりますし、現業の生産性もあがりません。夜遅くまで働いていると、まず趣味はできませんね。家庭にも時間を使えません。勉強もできない。それらはすべて、人間として何かを学んでいく上で大切なものです。自分で自分に投資すると決めて、実際にそれにチャレンジしていかなければ駄目です。
古森 個々人が働き方を変えて、本当に自分に投資していくようにしないと、日本人がグローバル競争で活躍する機会は減る一方・・・というイメージですね。
松本 残念ながら、そう思います。だからといって、手をこまねいて見ているのではなく、経営者としてはそれぞれの持ち場で現状を変えていくための取り組みをしなければなりません。
松本 晃(まつもと あきら)さん プロフィール
カルビー株式会社 会長兼最高経営責任者(CEO)
カルビー株式会社 会長兼最高経営責任者(CEO)
1947(昭和22)年7月20日生
70年
京都大学 農学部 卒業
72年
京都大学 農学部 修士課程 修了
72~92年
伊藤忠商事株式会社
86~92年
センチュリーメディカル株式会社(100%伊藤忠商事株式会社出資会社) 出向
取締役営業本部長
取締役営業本部長
93~98年
ジョンソン・エンド・ジョンソン メディカル株式会社(現ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社)
代表取締役プレジデント
エチコン エンドサージェリー・ジャパン 事業本部長
代表取締役プレジデント
エチコン エンドサージェリー・ジャパン 事業本部長
99~07年
ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 代表取締役社長
08~09年3月
ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 最高顧問
09年6月~
カルビー株式会社 代表取締役会長兼CEO
(6月25日就任、現在に至る)
(6月25日就任、現在に至る)
05年9月~11年10月
中央社会保険医療協議会専門委員
08年4月~
国立大学法人東北大学 未来医工学治療開発センター 客員教授
09年4月~
米国医療機器・IVD工業会(AMDD)顧問
09年5月~
特定非営利活動法人日本から外科医がいなくなることを憂い行動する会 代表理事
09年11月~
京都府東京経済人会 会長