C-Suite Talk Live第50回 カルビー株式会社 代表取締役会長兼CEO 松本 晃さん

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第50回 カルビー株式会社 代表取締役会長兼CEO 松本 晃さん
Calendar2012/04/05

経営とは10区で終わらない箱根駅伝のようなもの

古森 さて、そろそろお時間が近づいて来ました。まだまだ色々なお話を伺いたい・・・という衝動にかられますが、最後にひとつ、お聞きしたいことが。

松本 何でしょう。

古森 松本さんが経営者という仕事をするうえで、大切にしておられるスタンスといいますか、ご自身が理想にしておられる経営者像のようなものがあれば、お聞かせ願えればと思いまして。

松本 そうですね・・・。「10区で終わらない箱根駅伝」みたいなものでしょうか(笑)。

古森 10区で終わらない箱根駅伝!

松本 箱根駅伝は、どんなに激走しても10区で勝負がつきます。しかし会社の経営というのは、11区、12区と、終わりなく続いていくものです。

古森 なるほど。自らが走るのをやめない限り、あるいは、傷ついて走ることが出来なくなるまでは、ずっと続いていくものですね・・・。

松本 箱根駅伝でたとえて言うなら、会長である私はカルビーの経営の5区を走っているようなものです。5区の坂道。社長は、6区の走者。坂道を走るのはつらいですよ。でも、その坂道を登り切って、たすきを次の走者に渡したら、5区走者としての私の仕事は終わりです。そこから先は、6区を走る人に全部任せるしかない。私がずっと一緒に走るわけにはいかないですから、たすきを渡すところまで一生懸命走るのです。

古森そのようにして、その時々の区間を必死に走りぬいて、たすきを次の走者に渡していくのが経営者の姿だと。

松本 私はそう思っています。次の走者の走りは、知ったことじゃない(笑)。次の走者にもまた、全力で走ってもらうしかないでしょう。「任せる」ということは、任せた後のことについては良い意味で関心を持たないことです。

古森なるほど・・・。

松本 ところが、日本の企業では、えてして前の区間の走者が次の区間も伴走していたりします。良く見ると、その前の区間の走者たちも数名一緒に走っていたりして(笑)。気持ちは分かりますが、私のスタイルではないのです。やっぱり、区間を全力で走って、次の区間は次の走者にしっかり走ってもらうほうが良いと思います。

古森そうすると、大変孤独な役回りですね。

松本 孤独です。かつ、嫌われ者になりますね。先ほどの「学び」の話もそうですが、私のことをうるさいやつだ、うとましいやつだ、と思っている人は多いと思います。

古森 厳しいこと、耳の痛いことをおっしゃいますからね。

松本 でも、経営をしている間に嫌われ者だった人というのは、辞めた後には意外に嫌われていないものなのですよ。逆に、経営者として現役時代に好かれていた人というのは、辞めた後に悪く言われている場合が多いですね。結局、甘やかしても最後に不幸になるだけなので、残された人はやがてその不幸に気づき、甘やかした経営者を恨むわけです。好かれていては、経営者は仕事になりません。

古森 そのお話は、私自身、心に思い当たるものがございます。十分に嫌われ役を演じ切れているかどうか・・・。

松本さん、本日は経営を考える上で数多くの示唆に富んだお話を頂戴し、本当にありがとうございました。この記事を読まれる方々にも、きっと随所に発火点があるのではないかと思います。また是非、お話の続きを聞かせてください。