C-Suite Talk Live第51回 ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長 出口 治明さん

ライブラリ / 「経営×人・組織」視点の対談 C-Suite Talk Live / 第51回(2/4)

第51回 ライフネット生命保険 株式会社 代表取締役社長 出口治明さん
Calendar2012/04/16

リーダーシップの源泉は「思い」

古森 その「思う」ということを経営の軸足に置こうと思ったら、社長のみならず経営陣全体で本当に「思っている」状態が必要ですね。無理やり「思おう」としても難しい面もあるでしょうから、結局はそのように「思える」人を経営陣として集めるということになりますかね。

出口 思えなければ、同じチームで経営などできませんね。逆に言えば、やっぱり、リーダーにとって本当に重要なのは「思い」です。「何をしたいか」。それがリーダーシップの根本ですね。

古森「こうしたい」という本音の思いがあることが、リーダーの条件だと。

出口 「思い」のない人はリーダーになるべきではありません。一方、リーダーがすべてをこなすのは無理ですから、自分が何をしたいかをきちっと説明したうえで、人々からの共感を集め、旅の仲間を募ることも必要です。

古森その「思い」に人が集まってくる・・・。

出口 仲間を募ったら、旅を続けていくためには統率力も必要でしょう。「思い」「共感力・説得力」「統率力」がリーダーシップの3要件だと私は常々言っています。ただし、3つ均等に重要なのではありません。一番大事なのは「思い」を持つことです。価値には序列があります。「思い」があれば、チームを作って足りないものを補完することができます。

古森 「思い」を持つということは、必ずしも組織のリーダーでなくても重要なものですよね。

出口 そのとおりです。「人間が生きるということは、本来どういうことか」「働くとは、どういう意味があるのか」といったことについて、それぞれが自分の「思い」を持つべきだと思います。

古森 自分の世界観、哲学のようなものですね。

出口人間は、要するに動物です。人間が生きるということはまず、「自分で食べる」ことができるかどうかです。動物ですから、その部分のウェイトは非常に大きいのですよ。だから、大学を出て社会人になるということは、「自分の食べるものを自分で稼ぐ」ということにほかなりません。

古森 まずそうした根本的なところが満たされる必要がありますね。

出口 それを、企業側から見れば、収益をあげてスタッフにちゃんと給与を支払うということです。まずそこができていなければなりません。「衣食足りて礼節を知る」です。

古森昔から言われているわけですね。

出口 そうです。菅子に書いてあるとおりです。ただ、人間はご飯を食べるだけで満足するかというと、そうでもない。そこは「人はパンのみにて生きるにあらず」なんですね。

古森 それも古来言われていることですね。

出口 「人はパンのみにて生きるにあらず」という言葉を、僕は、「世界経営計画のサブシステムを生きることだ」と言い換えて理解しています。この世界をどう理解し、どこが嫌で、どこを変えたいと思い、自分は何をすべきかを考える。それが、人間が「生きる」ということの意味だと思います。

古森 単に生物、動物というのとは、そこが違うと。

出口 それがすべてです。世界への理解、変えたいという気持ち、何が自分の得意分野で、世界を変えるために自分は何ができるのか。これが「仕事をする」ということであり、「生きる」ということです。リーダーシップ云々以前に、人間として誰もに必要なことなのです。ましてやリーダーともなれば、その思い、「何をしたいか」がなければ、人の上には立てません。それがない人には、誰もついてこないですよ。

古森 その本質的に「何をしたいか」を伝えて、「この指とまれ」をするのがリーダーですね。思いにはいろいろなものがあって良くて、それに共感する人が集まって動いていく。それが本来の組織の姿だということですね。