C-Suite Talk Live第54回 トレンダーズ株式会社 代表取締役 経沢 香保子さん

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第54回 トレンダーズ株式会社 代表取締役 経沢香保子さん
Calendar2012/07/23

すべてのものが真実に近づいている

古森 先ほど触れておられたソーシャルメディアなどがもたらした変化というものに、私も強い関心を持っています。単に便利になった、速くなったということではなくて、本質的に人類のコミュニケーションが変わったのだと感じています。創業以来10年以上世の中の変化を見つめて来られたお立場で、この点はどう思われますか。

経沢そうですね・・・。大きく分けて言えば、インターネット以前と以後と、ソーシャルメディア以前と以後とでフェーズが全然違うと思います。

古森変節点は、その2ヶ所。

経沢インターネットの登場によって、個人が得ることの出来る情報量がおそらく何十倍、何百倍にも増えていますよね。それと、即時性が高まったということ。それによって、コミュニケーションのあり方もだいぶ変わってきました。

古森それがソーシャルメディア以後の世界になると、さらに大変化するわけですね。

経沢ソーシャルメディア以後の世界の特徴は、「個人のメディア化」ですね。以前は世の中に認知される手段がなかったのが、今は誰でも発信できる時代になりました。タレント的な、読者モデルのような方々もすごく増え、メディアとして影響力をもっています。やはりソーシャルメディアによるところが大きいです。自分で写真を撮って、そのまま世界に発信できてしまうわけですから。

古森個人が世の中に発信できる度合いが劇的に増えていますね。

経沢要は、個々人がテレビチャンネルを持っているようなものと私は考えています。そのレンズが捉えるものが十分に面白ければ、本当に世界中から視聴者が集まります。また、その人気が個々人の口コミ的なネットワークを介して爆発的に広がりうるのです。私自身もずっとブログを書いていますが、やはりそれに助けられている面も大きいと感じています。

古森 「人生を味わい尽くす」ブログ、ですね。

経沢ありがとうございます。お恥ずかしい限りですが、それでもこのブログ、月間で100~150万PVぐらいあるのです。本当にたくさんの方々が読んで下さって、私のことを数多くの文脈ごと知ってくださっているというのは、まずもって有難いことです。それに、社員も同じブログを読んでいますので、「社長が何を考えているか」ということを読み取ってくれたりもします。ソーシャルメディアというのは、非常にパワフルな情報発信・共有インフラだと実感しています。

古森その話を伺って思いますのは、外向きと内向きのメッセージングの変化です。以前は、外向きのメッセージと会社の中に向けたメッセージとでは、使い分けるという常識もあったわけです。ところが最近では、その境界が薄れてきているようです。例えば私、サイバーエージェント人事担当役員の曽山さんのtwitterをフォローしていますが、明らかに社内向けのメッセージなどもそのまま外向けに流していますよね。外からも、どういう仕事をしているかがある程度見える状態。こういうことは、昔は考えられなかったですね。

経沢 今の時代、隠すことは出来ないですよね。何かあっても隠せない・・・。隠せないから隠さないし、もっといえば、隠す必要のあることは最初からやらないほうが良いのです。自分が透明で、どこを切られても平気な生き方をしていかないと、もはや飾り立てることは絶対に出来ない時代だと思っています。私は本当にもう、「自然体」っていうことを、ずっとメディアをやっている者として人一倍心がけているつもりです。そういう時代でもあると感じています。

古森 「どこを伝えるか、伝えないか」ということをいくら線引きしようとしても、基本的に最後は伝わってしまう世の中になっていると。

経沢 絶対に、伝わると思います。うそはつけないです。

古森 だから、生き方自体を、「いつ伝わっても良いように」透明にしておく必要がある・・・。

経沢 そうですね。例えば、私が社員に何かを言って、それが外で言っていることと違うとしますね。そうすると、矛盾点に気づいて違和感をもったり、ふとしたきっかけでソーシャルメディアで発信する人もでてくるかもしれません。そうすると、たちどころに内外の情報の整合性が取れなくなってしまいます。「どこを切っても一緒」という状態にしておかないと、すぐ不信感につながります。信用がすべてのビジネス社会ですので、不信をつのらせてしまうことがあれば、会社は存続できないと思っています。

古森裏表が見え隠れする経営者は、あっという間に社内外から信頼を失う時代。

経沢 社内も社外も全員が世の中に発信できる時代ですから・・・。私はポジティブに捉えていて、結局、ソーシャルメディアの発達によって、人間のあり方はより本質に近づいているのではないかと思います。裏表のない本物でないと、社内にも社外にも認められない。すべてのものが、真実に近づいている。そんな気がしています。